かなりマニアック!?フランス警察組織向け製品の展示会に潜入

Tomonari SAKURAI

フランス内務省が主催するイベント「MILIPOL(ミリポール)」が、10月19日から22日までシャルル・ド・ゴール空港にほど近いヴィルパンで開催された。ミリタリーとポリスを合わせたネーミングだが、内務省主催ということで警察関係がメインのイベントだ。フランスでは「ユーロサトリ」という国防省主催のイベントがあり、ミリポールと交互に1年おきに開催される。本来なら今年はユーロサトリの年だが、昨年のコロナ禍でキャンセルとなったミリポールを今年開催するということになったのだ。

ちょっとフランスの警察組織の話をしておきたい。警察ではフランス国家警察とフランス地方警察に大きく分けられる。ややこしいのは、フランスには憲兵隊があることだ。憲兵隊は国防省管轄となる警察組織で、国家警察とは基本的にテリトリーで分けられている。都市部は警察。田舎には憲兵隊というのが大きな分け方だ。パリ周辺だとスピード違反の取締は警察がおこなうが、少し地方へ行くとそれを取り締まるのは憲兵隊となる。ただし、憲兵隊は国防省管轄なので武装も軍に近く、大規模なデモがあるとまずは警察で警備に当たるが、それが激しくなると憲兵隊の出動となる。

そのほかには税関だ。税関といえば、日本では空港などにいる税関職員というイメージがあるが、フランスでは陸続きで密輸されるものを阻止する必要などもあるため武装しており、ヘリコプターなども所持しているのだ。

フォルクスワーゲンのID.3を採用しているフランス税関。

これらの組織向けの製品の展示会がミリポールだ。小火器や、センサーなどの電子機器、制服などの装備品をはじめ昨今ではドローン、ロボットの展示も多い。そして忘れてならないのは車両だ。最近では憲兵隊がアルピーヌA110を採用したという発表があったので、それが見られるかもしれないと期待していたが、今回は展示されていなかった。

フランスの警察関係で使用されるオートバイはBMWが圧倒的だが、XJR1300からヤマハのオートバイを多く採用している。ヤマハはフランスに工場を持っており、そこで作られたマシンも多い。ヤマハは日本のブランドであるが、ここではメイドインフランスであることを売りとして展示している。

BMW R1250RT-P。ポリス仕様でPの文字が着く。フランス警察のいわゆる白バイに採用されている。

ヤマハフランスから。XJR1300はBMWR1250RTと並んで白バイのように使用されているがそのほか、テネレ700を地方警察などでも採用している。

フランスの自動車事情においては、化石燃料からもっともエコでクリアーな電気自動車へ移行していこうというわけだが、フランスの自動車がすべて電気自動車になると原発を10基新設しなければならないと言われている。実際に早くも7基を新規で設置する発表があった。地震と津波のないフランスで原発は安全なエネルギープラントだという。警察関係の車両も電動へとシフトされていくのだ。

そして、この種のイベントで見かける特殊車両といえば防弾装備の車だ。よく映画の中で、銃撃戦で車の陰に隠れるシーンを見たことがあるだろう。だが、実際にはライフルの弾であれば車のエンジン部分でも貫通する。銃撃戦に巻き込まれたら車の後ろに隠れるのは避けよう。つまり、防弾ガラスだけでなくボディ自体にも防弾処理をすることが必要だ。そして、ボディの下には地雷などの爆発物からのプロテクションを施す。防弾ガラスは厚さが5cm近くになり、そのガラスを備えたドアを開けるとかなりの重量を感じる。

実際に各種の銃、弾薬で射撃したドアを展示している。すべての弾頭を停めて貫通を防いでいる。ドアそのものの重量はかなりのものだ。

そのほか、対テロ特殊部隊の突入用の車両などが展示された。防弾処理を施されたはしご車といったところで、建物の2階などに直接突入したり、ハイジャックなどの飛行機に直接アクセスできるというものだ。

1994年のエールフランスのハイジャックで突入したことで一躍優目になった憲兵隊の特殊部隊GIGNや警察特殊部隊GIPN、RAIDなどが採用する突入用の車両。ハシゴを伸ばした状態。

メルセデスGシリーズをベースにブラバスの設計によるボディシェルで乗員の命を守るINVICTO。

このような展示会が開かれたのはほぼ2年ぶり。コロナ禍で中止や延期が続いていた中でようやく開催に踏み切れた。フランスでは現在、ワクチンパスポートを提示することを前提に野外ではマスクなし、公共機関やショップではマスク着用という状況になっている。ミリポールも入場の際にワクチンパスポートの提示が必要だ。ただ、マスク義務づけというものの7割以上がマスクをしていない。それを取り締まる警察機関の人たちもマスクをしていないのだから良いのだろう。このあたりがフランスらしいところだ。

このミリポールがコロナ禍を乗り越えて普段の生活への第一歩のひとつとなるイベントであることを祈っている。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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