オンラインでは味わえない、美味しいイベント|「サロン・ド・ショコラ」2021年の様子は?

Tomonari SAKURAI

10月には毎年楽しみにしているイベントがある。サロン・ド・ショコラだ。諸聖人の祝日を絡めてフランスは2週間の秋休み。そんなこともありパリもなんとなくワクワクした雰囲気に満ちている。昨年はコロナ禍で中止となったサロン・ド・ショコラは、甘い物好きには待ちに待ったイベントだ。前夜祭に足を運んだ。前夜祭は本開催前日の午後7時から11時までだが、午後6時にはすでに長蛇の列が!

入場にはワクチンパスポートか、陰性証明書の提示が義務づけられている。確認が済むと“サロン・ド・ショコラは安全なイベント”と書かれたリストバンドが装着される。このバンドがなければ入場券のチェックに進むことができない。フランスはまだ、屋内のイベントではマスク着用が義務づけられているが、ここでは「マスクの着用義務はなし。ただしマスク着用をお勧めします」に変わっている。会場で味目などすることも多いための特別措置なのだろうか?

中に入るといつものようにチョコレートの香りに包まれた会場。チョコレートで作られた彫刻が目を惹く。そして、「味見をしてください」と笑顔で振る舞われるチョコレート。ここで注意。食べた後に「1個50セントです」と請求が来ることが多々ある。無料というのが非常に希なのもフランス流だ。

世界最大のカカオの生産国コートジボワール。国章にも使われている、また象牙海岸でも知られるようにこの国を代表する象をチョコで作った彫刻はリアルで見事。

フランスの中南部オーベルニュ地方にあるBertrand Chocolatier。このボールのようなチョコの中にシロップが詰め込んである。これが何ともチョコとマッチングしておいしい。薄手のチョコからとろけ出すシロップが絶妙に融合してチョコの別世界に!

会場を半分ほど回ったところで、先に全体を見てしまおうと決めた。ところが、いつもの半分程度の面積がすべて!? これまでの開催年は、別の階にも会場が広がっていた。それもなく、1階の半分ということは、規模としては1/4程度だ。

フランスで成功した日本「sadaharu aoki」はいつも賑わう定番のブース。今年はそれもない。多くの日本からの出展社も多いこのイベントに日本から出展したのは、今年はなんと1店舗のみ!

唯一日本からのブースではチョコではなくチョコに革命を与えるマシン!通常カカオを焙煎して摩砕(グラインダー)する。チョコが抽出されるのに通常は1時間とかと気には数時間かかる作業をこのbeyondCというグラインダーマシンで1分ほどで抽出してしまう。時間を短縮することで風味などを失わない。また手軽に出来るので自分だけのオリジナルブレンドなんて楽しみ方も広がる。デザインにも遊び心があり、チョコをイメージしたカラーに操作ダイアルがガチャガチャをイメージさせたものだそうだ。www.dari-k.com

1884年創業のフランスのチョコの老舗Bonnatは健在。

派手なパッケージで展開中のLe Chocolat des Francais。

工具の詰め合わせも。

フランス国内からもお気に入りのショコラトリーも来ていない!何とも寂しい。この出展社数でよくぞ開催に踏み切ったものだと驚く。例年であれば、「こんなに食べられるのか?」と言うほど買い込むのだが、今回は手ブラで帰ることとなった。ル・マン24時間レース公式チョコレートなどを発見したりできる楽しいイベントなのに。一般公開をこれまでと同じ入場料14ユーロ(約1850円)というのはかなり強気ではないだろうか?とも思う。

残念だけど来年また、多くの国からたくさんのショコラトリーがやってきて、「こんなチョコもあったのか!?」という驚きのあるイベントに戻ることを祈るしかない。こうやって味わいながらのイベントは決してオンライン開催というわけにはいかないのだから。


写真・文:櫻井朋成 Photodraphy and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photodraphy and Words: Tomonari SAKURAI

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