世界限定20台!最終にして最高のW16エンジンを搭載するブガッティの集大成が日本初お披露目

Octane Japan

少量生産ラグジュアリーハイパーカーブランド、ブガッティのシロンの新規受注受付が今月末をもって締め切られることが先日発表された。また、ポルシェAG、ブガッティ、リマック3社の合同プロジェクトとして、ブガッティ-リマックの合弁会社のスタートもこの11月に発表されたばかりだ。EVハイパーカーであるネヴェーラを擁するリマックとタッグを組むことで、ブガッティも転換期を迎えている。

そんな中、1500馬力以上の出力を誇る大排気量8.0リッターW16気筒+4ターボエンジンが搭載されるシロン・スポーツの集大成ともいえるモデルがブガッティ東京において日本初公開された。



その名は「Les Légendes du Ciel(レ・レジェンド・デュ・シエル)」。特別なこのシロン・スポーツの販売価格は288万ユーロ(税抜)、世界20台のみの限定生産モデルである。

「レ・レジェンド・デュ・シエル」とは「空の伝説」という意味で、1920年代からブガッティで活躍したレーシングドライバーやパイロットへのオマージュを捧げて製作された。ブガッティの創設者であるエットーレ・ブガッティは、1915年頃には自ら航空機のエンジンを設計している。1937年からは速度記録の更新を目的とした航空機を開発したものの、第二次大戦によって中止を余儀なくされた。しかし、エットーレと航空機の結びつきは生涯を通じてゆるぎないものだったという。

このような背景から生み出されたこの限定モデルのボディカラーは“Gris Serpent”というマットグレーを採用。1920年代の航空機のカラーを現代的に解釈したこの色は、光線の具合や見る角度によってブラウンやカーキがかった色にも見える非常に上品なカラーだ。

これまでのシロンの特別限定モデルといえば、カーボンを際立たせた、ハイパーでレーシーなイメージのものが多かったが、この「レ・レジェンド・デュ・シエル」の印象はまったく異なり、内外装ともにクラシカルな芸術作品を思わせる意匠が随所に散りばめられている。

グロスブラックで仕上げられたフロントグリルは、アルミをレーザーカットしたもの。平行線が扇形に広がるようなデザインは、航空機の編隊飛行をイメージしたものだという。



また、ドアの内側にはオリジナルのイラストがハンドペイントされている。「ブガッティT13」と戦闘機「ニューポール17」が描かれているのがおわかりいただけるだろうか。ドアを開ければプロペラ機をモチーフにしたロゴのライティングが投影され、フロントフェンダーにも同様のロゴがあしらわれる。このように各所に航空機へのオマージュが捧げられているモデルなのだ。







インテリアも非常にシックで美しい。ライトブラウンのレザーで仕上げられた室内を見渡すと、ヘッドレストに専用ロゴが描かれている。「1/20」のシリアルナンバーが記されたアルミ部分の削り出しも独特で、1920年代の戦闘機やレーシングカーのようなウロコ状の仕上げがされており、往時の精神を現代に伝える一翼を担っている。



ブガッティ本社のあるフランスのモールスハイムは独特の雰囲気を持つ町だという。ドイツでもフランスでもない独自の風土があり、多様な民族にも文化にも寛容な町。豊かな自然の彩りが芸術的なインスピレーションを与え、のんびりした土地柄は手仕事にじっくり取り組むことができる、ものづくりにとっては最高の環境だ。そんな環境で製造されたこのシロン・スポーツにはフランスのトリコロールカラーがサイドシルにあしらわれている。ドアのラインと合わさった3D曲面にここまで精緻にハンドペイントするところにも、手作業でのものづくりへの情熱を垣間見ることができる。



この限定モデルはすでにとあるオーナーへと納車されたもので、今回はブガッティ東京で特別に実車を見せていただくことができた。そこで伺った納車時のエピソードが、この「レ・レジェンド・デュ・シエル」の魅力を見事に表しているのでご紹介したい。

オーダーから1年ほどの製作期間を経て実車とオーナー氏が初対面したとき、そこに“数秒間の沈黙”があったという。芸術に造詣の深いオーナー氏の心に、この「レ・レジェンド・デュ・シエル」のもつ芸術性が響き、感性を震わせ、言葉にならない(できない)時間が生まれたのだろう。

芸術家でもあったブガッティ家の伝統とエッセンスが、112年の歴史を経て最新モデルに反映されている。「億超え」のハイパーカーが登場するはるか昔から、その時代における最高の車を、最高の素材と最高の技術で造り続けているブガッティ。そのDNAがぎっしり詰まったこのシロン・スポーツは、内燃機関の集大成であり、最終にして最高のW16気筒エンジンを搭載する芸術品なのだ。

オクタン日本版編集部

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