カタログスペックに偽りなし!フランスの老舗。サンジェの電動アシスト自転車でヴェルサイユ宮殿へ

Tomonari SAKURAI

フランスの老舗自転車ブランド、アレックス・サンジェ。オーダーメイド専門のランドナー、ツーリスト自転車のブティックだ。このサンジェで電動アシスト自転車を登場させたのは2年前。そう、ちょうど2年前の今頃にここでお伝えした。僕自身がサンジェに乗っていることもあり、電動アシストモデルに乗る機会がなかった。ところが、先日自分のサンジェでいつもの近所のコースを走っていると、リアから異音がしたことに気が付いた。そこは長い下りで、かなりのスピードが出るところ。枯れ葉が積もっている部分もあるので少し抑え気味に走っていた。

マッドガードとタイヤの間に小枝でも噛んだのかな?と思い見てみると、何とそのマッドガードは垂直に真上を向いちゃってるじゃないか!?アルミなので手で押し戻してそのまま走り続けて無事に帰宅してきた。しかし、よく見るとマッドガードはかなりあちこちで曲がり、折れ、一部は裂けている。…ということで、サンジェの棟梁オリヴィエに交換をお願いしたのだった。その代車としてこの電動アシストサンジェを借りる機会を得て、ようやくじっくり向き合うことができた。

電動アシストサンジェも軌道に乗り始め、笑顔で作業をする棟梁のオリヴィエ。ひとつひとつ彼の手で作られていくのだ。

パリではハイブリッドを含め化石燃料の車両を閉め出す方向で動き出している。フランス全体で電気自動車に舵を切った。クリーンな電気自動車というわけだが国民全部が電気自動車にしたら原発10基追加が必要だとも言われている。先日マクロン大統領はそれを見越して7基の原発を新造を発表。原発先進国であり、それを国の商品としていることもあって、原発推進を背景に電気自動車の普及を進めているのかという思惑が見え隠れした。

パリ市内はすでに車は最高速度30km/hという馬鹿げた規制が敷かれ、車線は潰され、自転車専用道路も増えてきた。そうなると気軽に乗れる電動自転車の需要も高まってくるわけだ。僕の家から自転車で出かけようとするとどのコースを取っても上り坂を免れない。いつものコースに向かうと最初の3km、時間にして最初の15分は結構きつい上りがつづく。この準備体操が終われば後はなだらかな道、そして帰りは登った分下りになるわけだが。こういった上りがなければもっと気軽に自転車で出かけられる。そう考えると電動アシスト自転車はかなり便利だと思えてくる。

20世紀が始まり、第二次世界大戦終戦まで、まだ車が高価だったころ庶民は自転車でどこにでも出かけた。通勤通学からバカンスを家族連れで。シクロツーリズム文化を生み育んだフランス車は舗装路であろうとなかろうと走るのは当然。こういった森の中を走るのも何も特別なことではない。

ようやくじっくり乗れる機会だ。せっかくなので自宅からその3kmの上り坂を越えてみよう。森を抜けてヴェルサイユ宮殿に向かいその庭園をぐるっと回って戻ってくるという全行程で、ほぼ40km。試すのにちょうど良い距離だろう。正直に言うと電動アシスト自転車自体、試乗会程度の経験しかなく他と比べるというわけには行かない。普通の人力自転車と比べるしかないのを了承いただきたい。



で、早速のその3kmの上り坂。これが当然ながら楽なのである。とはいえ、ペダルを漕いでいる感覚がしっかりとあり、普段なら心拍180になるような場所すら、平地を走っているような感覚で登り切った。平坦な道に出るとこれならグイグイ行けると思いペダルを踏み込むが、ある程度のスピードが出たところでアシストがなくなる。おそらく25km/hあたりだろう。これは無理な速度が出ないための安全措置というわけだ。スタイルからしてスポーツモデルではなく、タウンユースな自転車であるから余計だ。変速機無しで走り続ける。それなりに足に負担がかかっているのが分かって、しっかりとスポーツしている気になる。

モーターなどリアハブに納められスタイルも美観を損なわない。変速機つきもオーダーできる。

フランスは石畳が多い。それを考慮したタイヤサイズ650を装着したモデルを借りたおかげで、途中通過する小さな村の石畳やヴェルサイユ宮殿敷地内の石畳も、普段乗っている700とは比べものにならない快適さだ。フレームチューブがクロモリのレイノルズ525を使用しており、バッテリーを含む重量も14kgほどと、普段乗っているサンジェと大差ない。そのため違和感なく載れるのも良い。

バッテリーはフル充電するとインジケーターが青く光る。それがやがてグリーンから赤に変わっていく。ちょうど30kmを過ぎたあたりでインジケーターが赤になった。幸い、その時点ですでに上り坂は終わっていたので、ここでバッテリーが切れても大丈夫だ。このサンジェはバッテリーが切れても、バッテリーを外しても、普通の自転車として走ることができる。上り坂などの走行条件によってバッテリーの消耗具合は変わるが、おおよそ40kmということで、そのカタログスペックはウソではなかった。逆にバッテリーなしでも普通に走れるため、バッテリーをこまめに切ったり入れたりすれば(辛そうな上り坂だけにするとか)すればトータルでもっと遠出はできそうだ。

40kmほどを走り終えるとうっすらと汗をかき、ちゃんと走った満足感もある。電動アシストがサンジェの自転車の味を損なわない絶妙な味付けをしているのだ。発表から2年経ってそれが認められたようで、アトリエでは通常のオーダー車と並行してこの電動アシストサンジェの生産に追われている様子。今回は借り物なので仕方ないが、乗っているうちに「サドルはイデアルにして、バーテープはコットンのセラニックニス。どうせならブレーキはマファックに。チェーンリングはTAかな?そうしたらさらに面白い自転車にできる…」などと悪い虫が動き出した。とはいえ、吊しの状態で売られているのではなく、購入するときはオーダーとなる。色を指定するのは当然だがコンポーネンツを指定することもできるのだ。スポーティで快適、そしてエレガントという言葉がよく似合うサンジェの電動アシスト自転車なのだ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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