ヴィンテージカーでチャリティ活動を!|フランス版24時間テレビ「テレトン」と旧車がタッグを組む

Tomonari SAKURAI

日本でやっている24時間テレビのようなチャリティの番組。これは1950年代にアメリカから始まったものらしい。フランスにもそのアメリカのコンセプトを参考にして始まった、テレビとマラソンを掛け合わせた「テレトン」というものがある。このチャリティにヴィンテージカーが協力している。フランス最大級のヴァンセンヌ旧車クラブだ。本拠地であるヴァンセンヌとヴァンセンヌの森を挟んだシャラントン=ル=ポンという街の2カ所同時にヴィンテージカーを展示して、それを見に来た人たちに寄付を募ろうというものらしい。ふたつの街とテレトンの協会、そして旧車クラブがタッグを組んだイベントだ。希望に応じて、旧車でぐるりと一周してくれる(もちろん寄付をして)。そんなボランティア活動に参加している旧車クラブの様子を覗いてみた。

シャラントン=ル=ポンの賑やかな交差点。ちょっとした広場になっており、フリーマーケットなども開かれる。

この日は雨の予報。たしかに朝から雨。ふと窓の外を見ると、なんと陽がさし、青空がチラリと見えている。今がチャンス!とバイクに跨がり会場へ向かった。…と、出た途端に土砂降り。着いたときにはすっかり濡れネズミになっていた。ヴァンセンヌ旧車クラブの僕を知るメンバー達が「よくこの雨の中バイクで来たな」とあきれ顔。

このイベントのためのプレートをつけたプジョー203。

シャラントンの会場を撮影するときにはシトロエン2CV分解時間記録保持者のブブさんが傘をずっと差していてくれた。交差点と、バス停、メトロの駅が重なり賑やかな所もあり、雨の中足早に帰りたい親たちとは裏腹に興味津々の子ども達。

2CVのベテラン、ブブさんが持ち込んだ新車のような2CV。雨の中でも気にせず展示されている。

土砂降りでも傘を差さないのがフランス。足早に早く帰りたい親を尻目に子ども達は車に夢中。

一通り撮影したら今度はヴァンセンヌだ。このヴァンセンヌという街は、僕にとってはフランスに移り住んだころにしばらく住んでいた街なので懐かしい。ヴァンセンヌに着くと雨は気にならない程度になり、少し落ち着いて撮影することができた。

並んだフィアットの2台。

と思ったらフィアット1200の横にいたのはザスタバだ。195年代からフィアットのライセンスを受けて作られたユーゴスラビア製のザスタバ750SE。ザスタバは現在銃など小火器を製造している。

車の前でスケッチをする女性や買い物帰りの家族連れ。お父さんが、車の解説を子ども達にする風景も見られる。ここは都市高速鉄道A線の終着駅から教会へ繋がるの商店街のそば。ここもまた賑やかだ。花屋の前ではクリスマスツリーをびっしりと店先に並べている。フランスはクリスマスツリーといえば毎年、本物のツリーを購入して飾るのだ。そんなクリスマスの色に染まりはじめた街角に旧車が彩りを添えるのはとても美しい。それに合わせてそれがチャリティになっているというのもいい。化石燃料の車を閉め出し、原子力発電所を7基も増設して電気自動車だけにしようとするフランス。そんな中で旧車が温かいクリスマスを演出しているのだった。

クリスマス前に彩りを加える旧車たち。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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