驚異の速さ!ランボルギーニ 12気筒エンジンを搭載した水上のモンスター

RM Sotheby's

その名を聞いて知らない人はいないほど、世界を代表するイタリアン自動車メーカー ランボルギーニ。元を辿ればトラックを作っていたメーカーであったが、野心的な男 フェルッチオ・ランボルギーニによってトラックはトラクターに発展し、トラクターはエキゾチックなスーパーカーに発展し世界中の人々を魅了した。

独創的で高性能なモデルを数々生み出してきたランボルギーニが、陸ではなく水の世界に進出するのは時間の問題だった。水上でも速い乗り物を作りたいと野望を抱いたフェルッチオはランボルギーニ創設から5年が経った1968年、イタリアのボートメーカーであるリーヴァ社に特別なアクアラマを発注した。このアクアラマは、ボートメーカーの標準的なV型8気筒エンジンではなく、ランボルギーニのパワフルなV型12気筒エンジンを2基搭載し、フェルッチオの願望通り史上最速のアクアラマとなったのである。それからちょうど10年後、ランボルギーニは苦境に立たされ、異なる市場への進出を模索していたところリーヴァのアクアラマをミューズに、由緒あるV型12気筒の大排気量バージョンを、プレジャーボートと高性能レースボートの両方に向けて製造することを決断した。こうして、モトーリ・マリーニ・ランボルギーニS.p.A.が誕生した。



この写真のランボルギーニ製 パワーボートは、スイスの実業家が注文し、実際に操縦していたものである。1992年、彼はイタリアの伝説的なボートビルダーであるルチーニ社に、北イタリアのコモ湖で開催されるセントミリア・デル・ラリオ(「湖の百マイル」)に出場するため驚くほど速い競技用ハイドロプレーンの製作を依頼した。燃料噴射式デュアルオーバーヘッドカムシャフト、8.2リッターV型12気筒のランボルギーニ社製マリンエンジンを搭載し、最高出力は850馬力、時速230キロ以上を発揮するといわれる圧倒的なパワーを発揮した。船体には、当時一般的だったグラスファイバーではなく、マホガニーが使用されていたのも特徴的だった。写真をご覧いただければ、船内にマホガニーが贅沢に使われていることがよくわかる。



ランボルギーニ ボートは最終的に、1992年、1993年、1995年の計3回、セントミリア・デル・ラリオ賞を受賞しており、製造された目的は果たしたといえよう。また、信じられないことに、このレーサーは28年経った今でも195.434km/hのスピード耐久記録を保持しているというのだ。コモ湖での成功だけでなく、このボートは長距離の陸上イベントにも数多く参加し、成功を収めている。



競技終了後、このボートは個人のコレクションに収蔵され、その後2017年にまた違う個人コレクターが購入した。この新しいオーナーのもとで、このボートはサッカ・レーサー・ミーティングやカンピオーネ・ディタリア・グラン・プレミオ・モンディアーレF2などの歴史的なレースイベントにも出展されている。また、ヨーロッパで開催される車のイベントにも時々姿を現し、そのユニークな歴史と人目を引く外観で、大きな注目を集める存在となっている。航海レースの歴史を物語るこの記録的なマシンは、ボート愛好家だけでなく、特別な作品を求める本格的なコレクターにもおすすめといえるだろう。



現在スイスで開催されているオークションにこのパワーボートは出品されており、78,000ユーロ~という具体的な値段も公表されている。ランボルギーニのヒストリックモデルがどんどんと高騰を見せる中でこの船に関しては意外と安いと思う方も多いだろう。このパワーボートを手に入れれば、車とはまた違ったランボルギーニらしいおもしろさを体感することができ、真のランボルギーニファンといえるかもしれない。次のオーナーがどのような目的で使用するかは分からないが、ぜひどこかの海で駆けている姿を見てみたいものだ。

オクタン日本版編集部

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