いったい誰が何のために作ったのか・・・想像力は無限!リムジンと化した12気筒フェラーリ

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いくら熱心な車好きでも、ストレッチするフェラーリを所有したことはないだろう。フェラーリはリムジンのような商用車を売りにしているわけではなく、流麗で美しいスタイリングのスポーツカーが売りなのだからそれもそのはず。しかし、車の可能性が無限に広がるアメリカでは、その想像力に限界はなくフェラーリすらストレッチさせてしまう。

今回の主役であるリムジンフェラーリは、グランドツアラーの400iをベースとして作られている。全長4,810mmの初代400iはボンネットの下に、排気量4.8リッター V12エンジンを搭載し、当時としては誇らしい約310psのパワーを発揮した。1976年から1985年まで1300台弱しか生産されていない。400iのデザインはピニンファリーナが手がけているが、好き嫌いがはっきり分かれやすい。"エレガント"という人もいれば、"モックアップのよう"ともいう人もいる。どう思うかはそれぞれの自由だが、少なくともこのストレッチされた400iを見てエレガントだという人はいないだろう。



このリムジンフェラーリは、誰が何のために作ったのか詳細は分かっていない。作られた時期としては1980年代(車は1981年式)ということまではわかっている。正確な長さも不明だが2022年2月に車を出品したオークションサイトによれば6.5m以上ある。フロントとリアのデザインはオリジナルに忠実だが、ルーフは1970〜80年代のリムジンによく見られたブラック・キャンバスで覆われている。また、当時のフェラーリによく見られた5本スポークのカスタムホイールを装着し、エクステリアの雰囲気が引き締められている。ちなみに、2021年11月にもオークションに出品され無事落札に至っているのだが、どういう訳かまたすぐにオークションに姿を現した。11月に購入した人物は、買ってみたは良いものの用途や保管場所に困ったのだろうと推測できる。その時の落札金額は2万ドルだった。



そして、その3ヵ月後のオークション時では走行距離約24,000kmで出品された。この数字は11月とほぼ変わらない。24,000kmが実走行かは確かでないが長距離ドライブするような車でもないため、そうだとしても何ら不思議ではない。しかし、整備はしっかりとされているようで、全フルード交換、プラグ交換、タイミング調整、バッテリー交換、オイル交換、ラジエーター洗浄、タイヤ&ブレーキ点検などが最近おこなわれている。また、サビの問題を抱えることが多い車であるが、このリムジンに関してはダメージがすべて修復されており再塗装もされているという。“長くない”400iだったとすれば、コンデションも良く狙い目の一台になっただろう。



リムジンとなると気になるインテリアは、80年代風のシックな空間に仕上げられている。ツートンカラーのレザーが印象的。車内にはリムジンらしく冷蔵庫やライトがあり、最大6人で楽しむことができる。運転席と助手席はカスタムが施されていないため、ノーマルの400iと同じだ。派手過ぎずないところに400iというモデルらしさをイメージしているのだろうか。

こんな姿にしてしまってせっかくのフェラーリが台無しだと思う方もいるだろう。とはいえ、ノーマルの400iにおける相場を踏まえると安いため、良い買い物なのかもしれない。少なくとも、2月のオークションでの落札額の2倍以上にあたる5万2800ドルで落札されたのだから、前オーナーにとってはとても良い買い物となったに違いない。

オクタン日本版編集部

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