「ボルボC40 Recharge」EVであることは、その魅力の一部に過ぎない

Masaya ABE

ボルボ初のBEV専用モデル


ボルボは2030年までに新車販売の100%を電気自動車(BEV)にすると宣言している。そのボルボが日本市場に初めて投入したBEV専用モデルがC40 Recharge(リチャージ)だ。2021年11月に100台限定でサブスクリプション、つまり月額固定料金のリース販売を開始し、6倍もの申し込みを獲得した。その後、オンラインでの一般販売もスタートし、この2022年3月からは一部仕様変更のうえ、AWDのツインモーターに加えて前輪駆動のシングルモーターモデルも追加されている。今回は仕様変更前のツインモーターモデルのインプレッションをお届けしよう。


EVではなく新しいボルボのクロスモデルに見える




C40 Rechargeのアピールポイントは数多くある。まずはそのスタイリッシュな外観が何より素敵だ。XC40などと共通のデザイン言語で構成されながらも、薄く滑らかなルーフラインやCピラー以降のスマートなデザイン処理で、BEVであること以前に自動車としての魅力を十分に放っている。特に斜め後ろからのC40 Rechargeはハッとするほど印象的な好デザインだ。

フロントも片側84個のLED光軸をもつ「ピクセルヘッドライト」が先進的な印象をC40 Rechargeに与えている。このヘッドライトはハイビーム時に5台の車を遮ることができる優れものでもある。EVの証としてあえて付けられたフロントのグリルカバーにはやや違和感を覚えたが、そうでもしなければEVには見えないからなのだろう。いずれにしてもC40 RechargeはEVとしてではなくボルボの新しいスマートなクロスモデルとして、試乗の会場となった横浜のみなとみらいの新しい街並みにも、山下公園周辺の古い街並みにも、よくマッチしていた。ちなみに既に発表されている23年モデルはブラックアウトされていたルーフピラーや個性的な造形のスポイラーがボディ同色となる。個人的には22年モデルの仕様の方がスポーティで好ましいと感じた。


高い環境意識がインテリアの質感を妨げていない




インテリアにもこれから先のボルボが目指す方向がハッキリと打ち出されている。最新モデルらしくGoogleと共同開発されたインフォテイメントシステムは日本語対応がなされた音声操作とタッチコントロール付きの9インチセンターディスプレイを通じて最先端のデジタルテクノロジーを提供する。



しかし、なんといってもトピックなのは、よりエシカルでサスティナブルなラグジュアリーの一歩目として、本革を採用しない初のボルボ車となったことだろう。代わりに使われているのは合成素材とアナウンスされているが、シートはもちろん、ステアリングやトリム類の手触り、見た目とも安っぽさは微塵もない。カーペットにも100%リサイクル素材が採用されているが、試乗車のそれはブルーだったこともあって洒落た印象だ。高い環境意識をプロダクトにいち早く落とし込むあたりが実にボルボらしい。そしてそれを理由にした質感の低下を感じさせないのもボルボらしい。



ダッシュボードのデコラティブパネルにも新しい試みとして、半透明のバックライト付き3次元装飾が施され、スウェーデンのアビスコ国立公園の山々を再現した地形図模様が浮かび上がる。標準装備される大開口の固定式パノラマガラスルーフにはシェードが付いていないが、赤外線反射コーティングされた濃色ガラスが採用され、UVも赤外線もその大半を遮断する。大きなガラスルーフは開放感を提供するだけではなく、太陽熱放射の約80%を遮断し、同時に冬の冷たさも防ぐことでエアコンへの負荷軽減にも貢献するとアナウンスされている。

文:馬弓 良輔 写真:阿部 昌也 Words: Yoshisuke MAYUMI Photography: Masaya ABE

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