「エリーザ」のための「エリーゼ」|ロータス・エリーゼ最後の1台を手にするに相応しい女性

Octane UK

26年という長い歳月を経て、ロータスは正式にエリーゼの歴史に幕を閉じた。このチャンピオンシップ・ゴールドの“エリーゼ スポーツ240 ファイナルエディション”が顧客向けの最後の1台となる。この車はエリーザ・アルティオーリという女性の元へと届けられた。

エリーザ・アルティオーリはエリーゼの熱狂的なファンだ。エリーゼは彼女の人生に多大な影響を与えた。それは当然のことで、彼女はロータスの前会長ロマーノ・アルティオーリ(彼はブガッティEB110をこの世にもたらした人物でもある)の孫娘であり、1995年にロータス・エリーゼが発表された際に非常に重要な役割を果たした人物である。当時3歳半だった彼女は、エリーゼを覆うカバーの中に隠れていて、アンベールされた瞬間に「私はエリーゼです!」と飛び出してきたのだ。もちろん、エリーゼは彼女にちなんで名付けられたものだった。





1997年、彼女が運転できるようになるよりもずっと前に、エリーザは祖父からエリーゼ・シリーズ1をプレゼントされた。そして、彼女は免許を取得してからもずっとそのエリーゼを所有し続けている。イタリアのドロマイト山地の麓に住んでいるということは、他の誰よりも定期的にステルヴィオ峠を訪れることを意味する。エリーザによると、彼女のシリーズ1はさまざまな旅を重ね、年間約10,000kmは走行したという。ロードトリップに魅了された彼女は、“Delightful Driving” の小さなチームで、他のエンスージアスト達のためにロードトリップの開催サポートもしている。

エリーゼの生産終了を知った彼女は、新たなエリーゼを買うために自分に残された時間が残り少ないことを悟った。「数年前に見たのは”Cup 260”で、そのとき私は、それを手に入れるにはもっと働かなければと思ったんです。エリーゼ生産終了の可能性を聞いたときには、最後の一台を購入したいとすぐにロータスへ伝えました」

ファクトリーとの交渉や担当のドイツのディーラーでの調整を経て、最終的にその願いが叶えられることが決まった。エリーザは2021年にファクトリーを訪れたが、完成形と初めて対面できたのは2022年2月の納車時のことだった。

それは素晴らしいものだった。「私はジョン・プレイヤー・スペシャルのテーマカラーであるブラックとゴールドが大好きで、いつもブラックとゴールドの服を着ています。私のエリーゼ・シリーズ1のシルバーカラーにもよく合いますね。エリーゼとしてはこのカラーリングは少しめずらしいかもしれません。エアコンも付いているので、シリーズ1と比べるとイタリアの暑い夏の日のドライブも快適です」



ヘセルでの内々の式典の中で、エリーザは次のようにコメントした。「私は3歳半のときにすでに車の発表を体験していますが、今日という日は本当に大切な日です。エリーゼは私の人生を変えてくれました。そのエリーゼの歴史の幕が閉じるこの日に、私はこの場所にいたかったんです」



へセルでは新型エミーラの製造が本格化しており、最後のエリーゼの発表はロータスにとって一つの時代の終わりを告げるものとなった。1995年に初めてのエリーゼ・シリーズ1が組み立てられてから35,124台、そして同じ “小さな自動車プラットフォーム” から50,000台の車が派生した。エキシージ、340R、ヨーロッパ、2イレブン、3イレブン、さらにはボクスホールVX2000、オペル・スピードスターやオリジナルのテスラ・ロードスターといった、サードパーティー・メーカーでの生産車両にも貢献している。

エリーゼの最後の1台が製造ラインを出たのは2021年末であり、2022年2月のエリーザ・アルティオーリへの引き渡しが公式の最終納車となった。その後、エリーゼは登録のためにドイツへと輸送され、そこからイタリアの家へと向かう。エリーザはすでに、ステルヴィオでの特別な旅を含むいくつかのロードトリップを計画している。最後のエリーゼが、これ以上ない相応しい持ち主のもとに渡ったことは、ロータス・ファンにとっては非常に喜ばしく、素敵なストーリーだ。




文:Matthew Hayward まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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