フランス国防省のイベントで見た、特殊用途の車両たち|ユーロサトリ

GMディフェンスのコンセプトモデル。サスにはFOX、シートにはレカロ。エンジンはコルベットLT4、6.2Lスーパーチャージャー付きV8エンジンで650馬力というものだ。ギアボックスは10速(Tomonari SAKURAI)

4年ぶりに行われたユーロサトリ。フランス国防省が全力を挙げて開催するイベントだ。ウクライナのこともあり、初日はマクロン大統領も乗り込み武器ビジネスを大々的に押し広げていくと報道陣の前で声高に語った。このイベントは国防省が主催で2年毎に行われるが、前回はコロナの影響で中止となったため4年ぶりの開催となった。

会場はフランス軍、憲兵隊、警察、パリ消防隊(パリの消防隊は国防省管轄で兵士同様ライフルを支給され訓練も行っている)のブースを中心にヘリコプターや戦車、ミサイルに銃などの見本市。世界中(ロシアを除く)からの出展者と来場者で大賑わいだ。大きな特徴はライブデモンストレーションがあり、会場に接する空き地で戦車や装甲車などがその性能を実際に動かしてアピールすること。「この戦車にご興味のある方はホール5のブース123まで。今なら戦車一台につき5発の弾をプレゼント」といった具合でアナウンスが流れている。

さて、そんなイベントの中でオクタンとしては、やはり車両を見ていきたい。命がけの戦場で活躍する車両につぎ込まれるテクノロジーはやがて一般車両にもフィードバックされるだろう。

コッカリルのインターセプター。用途に合わせて武装システムを交換出来る戦場を駆け抜けるためだけにデザインされたモデル。そんな車もこれだけスタイリッシュになっている。

車両の多くは軍用で大型な4輪駆動車から戦車までがほとんどだが、一般車を改造しヘビーデューティにしたモデルも多く見られる。それは地雷を踏んでも大丈夫な強健なボディに補強されたり、防弾仕様になったりしている。そのベース車両のほとんどがトヨタのランクルなのだ。元々中東でも(ありがたくないことだが)武装グループなどはトヨタのみを使用している。それだけトヨタのランクルは信頼性が高いという物だ。ライブデモンストレーションではフランス特殊部隊GIGNが実際にその運用を披露した。

トヨタランクルベースの特殊車両。GIGNが採用するモデルで2mの距離で6kgのTNTの爆発に耐えることができ、もちろん窓は防弾。相当な重量が増えているはず。安全に包まれながら快適な乗り心地がこのランクルなら実現できるとのことだ。

トヨタのランドクルーザーをベースとした特殊車両。フランス国家憲兵隊の対テロ特殊部隊GIGNによるデモンストレーション。射撃の精度で有名なGIGN。デモンストレーションの間実弾も射撃。終わった後は耳が聞こえなかった。

GMにはディフェンス部門があり、そのコンセプトカーなども展示された。戦場などの特殊な使い方をされる車両でありながらスタイリッシュでシートもレカロなどを使用している。

タイヤメーカーのミュシュランもブースを持つ。やはりパンクをしない次世代タイヤを紹介していた。

ミシュランのブース。なので車ではなくタイヤをご覧いただきたい。

空気を必要としないタイヤだ。そのためパンクの心配がない。悪路を走り、パンクが命取りとなる軍用車両。数年前からハッチンソンをはじめこのエアレスタイヤが登場しているが耐久性などもあり未だ実用されていない様子。

軍用というと独特の世界だが、その中で車両に注目してちょっと覗いてみるのも普段と違って面白いものだ。メルセデスやロールス・ロイスなどよく知っているはずのブランドの違う一面を覗くことができるのだ。

メルセデスのブース。Gクラスがメインだ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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