世界シェアNo.1のペイントプロテクションフィルムとは|XPEL JAPAN

Takaaki MIURA

いまフェラーリ、ランボルギーニやマクラーレン、アストンマーティンなどのオーナーが新車を購入するとこぞって施工するというPPF(ペイントプロテクションフィルム)。キズの自己修復機能を備え、世界No.1のシェアを誇る米国XPEL社のフィルムを国内展開するXPEL JAPAN代表の飛鳥田氏に、その魅力とこれからの展望について聞いた。



ラッピングフィルムとペイントプロテクションフィルム(PPF)は、実は似て非なるものだ。前者は塩ビ素材で、厚みは約50ミクロン。全塗装することなくボディカラーを変えたり、宣伝車やレースカーなどのようにデコレーションすることが主たる用途。

一方でPPFは、素材はポリウレタン、厚みは約150ミクロンで、ものによっては200ミクロンのものもある。透明なフィルムでボディを覆ってオリジナルの塗装を保護することを目的としている。また紫外線を99%カットする特性を備えており、カーボンなど炭素繊維素材の劣化を抑制する効果もある。

一般的にフィルムといえば、米国3M社が有名だが、いま自動車用PPFで世界ナンバー1のシェアを誇るのは、米国XPEL社だ。自動車関連サプライヤーにはよくある話だが、そもそもPPFとは、ヘリコプターのローターやキャノピーなどを保護するための軍事用として開発されたもので、それが民生用として発展してきた歴史をもつ。XPELの製品も自動車用にはじまり、船舶やオフィス、住宅用などへと用途を拡大している。

2011年にXPELは世界初の自己修復機能をもったPPFを発売。ULTIMATEシリーズと名付けられたその商品は、飛び石や虫の酸、鳥の糞、花粉、黄砂、雨染みなどから塗装面を保護するだけでなく、洗車時などに起こる擦れや軽い傷からボディを守ってくれる機能を付加したことで、この業界に革命をもたらした。実際にワイヤーブラシで傷つけたボディ表面にドライヤーで熱を加えると、みるみると傷が癒えていくから驚きだ。

静電気による埃の堆積を防ぐため床には水が張られ、清潔に管理されたリフトのある施設で、XPELのプロテクションフィルムは施工される。

フロントパネル、バンパー、ヘッドライト、ロッカーパネルと、美しいフォルムをそのままに、耐久性も飛躍的に向上しているXPELは、コストパフォーマンスにも優れている。

きめの細かい作業が続く。インストーラーが最も集中できる高さにリフトを調整し、施工する。

大きなボンネットフードも、XPELの72インチフィルムで施工すれば継ぎ目なく施工することができる。

XPEL JAPAN代表の飛鳥田秀樹氏は、およそ四半世紀にわたってフィルム業界でビジネスを営んできた人物だ。XPELとの出会いをこのように振り返る。

「2007年にアメリカのSEMAショーでXPELの製品に出会い、翌年には輸入代理店の契約を結びました。当時はまだ従業員数が20名にも満たないテキサス州のサンアントニオにある小さなベンチャー企業でしたけど、社長が私と同じ年齢で若くて情熱的で、PPFに特化していて専門性が高く、そしてもともとDAP(デザイン・アクセス・プログラム)の企業だけに、データ作成のスピード、正確性、使いやすさが群を抜いていた。これは絶対にマーケットを取れるだろうと感じたんです」

DAPとは、モデルごとの3Dデータを1Dへと変換したカットパターンデータのこと。車種によって異なるが1つのモデルは30〜50のパターンによって構成される。施工者(インストーラー)はそのデータを使えば、無駄なく効率的にフィルムを貼ることができるというわけだ。グレードによる形状の違いはもちろんのこと、コーナーセンサーやカメラの有無など、仔細な違いもすべてデータ化されており、15万車種以上のデータを保有する。

飛鳥田氏の睨んだとおり、その後のXPELは右肩上がりで成長を遂げ、2019年にはナスダックへ上場。いまや世界6カ国に事業拠点を置き、従業員の数は700人を超える。

ポルシェやマクラーレン、アストンマーティンの一部の貴重なモデルでは、メーカーの工場ライン内でXPELを施工している。フォードGTでは標準装備品として、インストーラーまで指名されているという。日本でも一部のレクサスディーラーがオプション装備として採用しており、またランドローバーディフェンダーなどでも純正オプション品となっている。将来的にはより多くのインポーターに純正採用され、国内のPDIセンターなどでXPELを施工することを目標として掲げている。

近年はSTEALTH(ステルス)というマットのフィルムも登場。オリジナルの光沢塗装面の上から施工すれば塗装を保護するだけでなく、愛車をマット塗装のように変更することも可能となりXPELの人気をより高めた。さらに従来は実現が困難とされていた透明ではない色つきのPPFだが、ブラック仕様が登場したことで色替えも可能となり、さらなる展開をみせはじめている。

XPEL JAPANとしては、フィルムの輸入販売はもとより、デモショップとして役割や、またトヨタセンチュリーなど国内専売車のデータ作成なども行う。そして、いま尽力しているのが、特約店の拡大およびインストーラーの育成だ。本国にならった講習プログラムを実施している。アメリカでは女性インストーラーの活躍もめざましく、コンテストでの上位入賞者の多くを女性が占めているという。

XPELが誇る世界最大の車種別カッティングデータパターンのデータベース「DAP(デザイン・アクセス・プログラム)」には、様々なカッティング技術が蓄積されている。

フィルムを施工するインストーラー向けに、施工技術向上のためのトレーニングを行っている。

飛鳥田氏はこのように展望を語る。
「塗装は、自動車100年の歴史において、いまだ未完成のものと言えるかもしれません。そうしたなかで、このPPFは将来的に塗装にとってかわる、男性女性に関わらずビジネスとしてもっと発展していく可能性を秘めたものだと思います。現在の我々の顧客は、スーパーカーやラグジュアリィカーなど高価なモデルのオーナーがメインですが、今後はPPFをもっと一般的なものとして広めて、マツダロードスターや日産Zなど、もう少し身近なモデルのオーナーにも喜んで使ってもらえるものにしていきたいと考えています」

オクタン日本版として気になるのは、古い車には使えるのかということだが。
「PPFには寿命があり、将来的には剥がして貼り直すことを前提としています。ワランティは、本国では10年、日本は四季があって酸性雨や花粉など環境が異なるので5年と短めにさせてもらっています。古い車はオリジナルの塗装が剥がれてしまうことも想定されますし、ご相談の上で施工することになります。いま考えているのが、ヘッドライトなど貴重なパーツに部分的に貼ることです。例えばメルセデスの縦目のヘッドライトなども年々部品供給が減っていますし、PPFであればキズや汚れを防止することが可能です」

オクタン日本版も協力する10月のRALLY NIPPONに参加予定の方も、ぜひお試しあれ。

四半世紀にわたってフィルムビジネスを営んできた飛鳥田秀樹代表


XPEL JAPAN
エクセルフィルム株式会社
〒252‐0132
神奈川県相模原市緑区橋本台1丁目9 - 7
TEL:042-703-3788 
FAX:042-703-3766


文:藤野太一 写真:三浦孝明 Words:Taichi FUJINO Photography:Takaaki MIURA

文:藤野太一 写真:三浦孝明 Words:Taichi FUJINO Photography:Takaaki MIURA

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