『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でジェームス・ボンドを乗せた車がオークションに

Bonhams

イギリスを代表するモータースポーツイベント、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」が6月23日に開幕を迎え、26日までの4日間にわたって開催された。全長1,867mのヒルクライム競技や旧車から最新型のハイパーカー、未発表の新車、F1マシンなど幅広い車の展示やデモ走行が目玉となっている。

地元の観客のみならず、もはや世界各国から車好きが訪れるイベントになっており、秋にはクラシックカーがメインの「グッドウッド・リバイバル」も同地で開催される。主催者は第11代リッチモンド公爵“個人”である、という点もなかなか凄い。

そんな世界的なモータースポーツイベントの開催地では、ほぼ必ず自動車のオークションが併催される。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードではボナムスが「コレクターズ・カーズ&メモラビリア」と銘打ったオークションを開催した。なかでも注目を集めたのは映画「007シリーズ」に登場したいわゆる“劇場車”がオークションに出品されていたことだ。

2019年式のアストンマーティンDBSスーパーレッジェーラは「No Time to Die」にてラシャーナ・リンチが演じる英国秘密情報部00部門の新たな諜報員、ノミが運転していたもの(ジェームス・ボンドは助手席に座った)。



撮影時、アストンマーティン社に貸し出せる車両はなく、なんと個人オーナーに声を掛けて撮影とプロモーションのために貸し出してもらったのだという。その期間、実に2年。納車された時点で走行距離50マイル、貸し出し中に走った距離800マイル、というから個人オーナーの太っ腹さに感心してしまった。

撮影とプロモーションには2台のアストンマーティンDBSスーパーレッジェーラが用いられ、もう一台は撮影プロダクションが所有するもので現在も展示されているという。サイドシルには2台の劇場車両のうちの1台である記念プレートが配されるほか、エンジンルームには“ダニエル・クレイグが最終チェックした”ことを記すプレート、そして映画に登場した際のナンバープレート「KY19 KHO」も装着している。



出品カタログには予想落札価格40万~50万ポンドと記されていたが、41万4000ポンド(約6800万円)で落札された。日本におけるDBSスーパーレッジェーラの平均中古車価格が現在、3400万円程度なので、やっぱり劇場車としての付加価値は強い。


もう一台の劇場車は「Spectre」に登場した2014年式ランドローバー・ディフェンダーSVXであった。通称“ビッグフット”はランドローバー社とボーラー・モータースポーツ社が映画のために2014年に10台製作。当該車両は現存する7台のうちの1台である。



映画のなかでは悪役が乗る車としてカーチェイス・シーンで大活躍したが、当該車両、もともとは撮影機材運搬車両として海外で登録された、という面白いヒストリーを持っている。2018年にはイギリスに“輸入”され、登録されている。



主人公が乗る車ではなかったが、クラシカルなディフェンダーが迫力ある姿に仕上がっていて記憶に残っていることだろう。15万~20万ポンドという予想落札価格に対して、15万5200ポンド(約2600万円)で落札された。

この手のヒストリーを持つ車は、年を重ねるごとに付加価値の重みが増す。今後の価格推移からも目が離せない。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

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