映画『カーズ』の名脇役、ドック・ハドソンの「実車」がオークションに|大物俳優のサイン入り

All images copyright and courtesy of Gooding & Company. Photos by Mike Maez.

2006年に公開された映画『カーズ』に“ドック・ハドソン”というキャラクターで登場していたのが、アメリカにかつて存在したハドソン社のホーネットだった。声優はハリウッドの名俳優、ポール・ニューマンが務めていたことでも話題になった。

そんなハドソン・ホーネットの「実車」がグッディング&カンパニーが今夏ペブルビーチで開催するオークションに出品されている。当該1951年式のハドソン・ホーネットは、アメリカのクラシック界隈では“ヒストリアン(歴史家)”として知られているだけでなく、エンジンビルダーとしても有名なデイヴ・ボンブライト氏がオーナーであり出品者でもある。



ハドソンはデパート経営で財を成したジョセフ・L・ハドソンと7名の仲間たちが出資して、1909年にデトロイトに誕生した自動車メーカーだ。ハドソンのピークは1923年で年間30万台を生産しフォード、シボレーに次ぐアメリカ第三位の自動車メーカーと言われた。生産拠点はアメリカのみならず、ベルギーやイギリスにも構えるほどにまで成長した。

しかし第二次世界大戦後、売り手市場から買い手市場へと消費者動向が変わり、ハドソンは潤沢な資金力を誇ったフォード、GM、クライスラーとの競争に苦戦を強いられてきた。そして1954年、ハドソンはナッシュ・ケルビネーター(ナッシュやランブルを生産していたメーカー)と合併し、アメリカン・モーターズ・カンパニー(AMC)になった。

ちなみにAMCは、後にカイザー・ジープ、ウィリーズ・オーバーランドなども参画したり、ルノーが大株主になったり紆余曲折を経て、最終的にはクライスラーに吸収合併されるに至った。

この1951年式ハドソン・ホーネットはディズニー・ピクサーの協力のもと、出品者であるデイヴ・ボンブライト氏が作り上げた。そして、この車両が映画『カーズ』のプロモーションのために全米各地を周った。車両のサンバイザーにはカーズの監督/ストーリー原案/脚本を手掛けたジョン・ラセスターと、ドック・ハドソンの声優を務めたポール・ニューマンがサインしている。



なお、当該車両は、大の車好きで知られるアメリカのコメディアン、ジェイ・レノ氏のYouTubeチャンネルにも登場し、実に200万回以上再生されている。ジェイ・レノ氏によると、ポール・ニューマンはほとんどサインをすることがなく、この車にサインが入っていること自体、貴重だと明かしていた。



ハドソン・ホーネットはセダン、2ドアクーペ、コンバーチブル、そしてハードトップ・クーペがラインナップされていた。オークションに出品されているものは2ドアクーペで、ディーラーがオプション設定(後にメーカーオプション)していた「ツインHパワー」と呼ばれた、キャブレター2基を装着したものに仕上げられている。



ハドソン・ホーネットはパワフルな5リッター(当時の量産エンジンとしては大排気量)直6エンジン、軽量ボディ、低重心設計で“現行モデル”のときにはNASCARで1951年、52年、53年に優勝、54年に2位を飾ったほか、様々なレースシーンで活躍した。そんなレース参戦車両が、当該1951年式の車両ではしっかりと再現されている。



落札予想価格は9万~12万ドルとなっているが… 落札金額の一部はポール・ニューマンが創設した「シリアスファン・チルドレンズ・ネットワーク」と呼ばれる慈善団体(全米30箇所で展開)に寄付されるという。アメリカではこの手のチャリティ行為には財布の紐が緩みやすいので、落札予想価格を大幅に上回る可能性もある。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)
All images copyright and courtesy of Gooding & Company. Photos by Mike Maez.

文:古賀貴司(自動車王国)

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