アメリカで日本のクラシックカー価格が高騰中|スープラの値段が14カ月で3倍に跳ね上がった理由とは

BRING A TRAILER

日本のクラシックがどこよりも高騰しているのがアメリカだ。7月にそれを証明したのが、魅力的だが完璧にはほど遠い状態の1997年トヨタ・スープラ・ターボで、オークションにおいて23万ドル(7月25日のレートで約3140万円)の高値を付けた。その理由についてオークションアナリストで、米国のクラシックカーオークションに詳しく、『Hagerty Price Guide』を発行しているデーブ・キニーが考察する。



4代目のスープラは1993年に登場し、アメリカとヨーロッパでは1998年に販売を終了したが、日本では世紀が変わってからも販売が続いた。洗練された技術、秀逸なハンドリング、高性能仕様のシーケンシャル式ツインターボなどで、エンスージアストにとっては格段に魅力的になったものの、販売台数は先代を大幅に下回った。理由のひとつは価格だ。7月にブリング・ア・トレーラーで落札されたこの1台のように、装備の充実したターボモデルは、新車で5万ドル近くに上った。1997年当時は大変な金額だ。





それから25年、今や4代目スープラは、多くのコレクター垂涎のモデルとなっている。このスープラは、着脱式ルーフを備える15周年限定仕様車。2021年5月に、グッディング&カンパニーの「ギアード・オンライン」オークションに出品されたときは、7万7000ドルで落札された。スープラとしては破格の金額である。価値あるMTではなく、過去のオーナーは3人で、非常に小さいとはいえ事故歴も2回ある。サスペンションもアフターマーケットだ。



今回の落札額は、まったく不釣り合いな23万ドルに上った。14カ月で3倍に跳ね上がった理由は何だろうか。最も単純な答えは、お金のあり余ったあまりにも多くの人が、あまりにも少ない台数を追いかけていることだろう。二つ目の理由は“FOMO(「Fear Of Missing Out」の略)”だ。今飛びつかなければ二度と手が届かなくなるという焦燥感である。考えられる理由はもうひとつある。ブリング・ア・トレーラーは、確実に利益を上げられる“金の卵”を売買する格好の場所と捉える人が増えていることだ。では、4代目スープラが新たな300SLになったのかといえば、私には長期的な現象とは思えない。これがスープラのピーク、市場もおそらくピークに達したというのが私の意見だ。


Words:Dave Kinney Translation: Megumi KINOSHITA
Images: BRING A TRAILER

Words:Dave Kinney

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