価格高騰が止まらない !? 「ニッポンのスポーツカー」が英国オークションに登場

Keith Mulcahy (c)2022 Courtesy of RM Sotheby's

「JDMレジェンドが出品される!」といったニュアンスのタイトルが付けられたニュースレターがRMサザビーズから送られてきた。ロンドンからブライトンへ向けて走る「ヴェテラン・カー・ラン」という世界最古のラリー・イベントの一環として、来る11月5日にRMサザビーズがロンドンでオークションを開催する。そこに日本が誇る伝説のスポーツカー4台が出品されている、という案内だった。

日産スカイラインGT-R V-Spec II Nur、マツダRX-7スピリットRタイプA、トヨタスープラRZ-Sツインターボ、ホンダNSXタイプTと錚々たる面子が揃っている。どうせならNSXタイプTより、NSXタイプRのほうがレジェンドっぽいが… そして、RX-7、スープラ、NSXは輸出モデルも存在した。元来「JDM」とは日本市場のみで販売された国産車を意味していたが、最近は「日本国内仕様」という意味合いでも用いられている様子。

いずれの出品車両も2017年~2019年にかけて香港のバイヤーが日本で購入したものだという。明記こそされていないが、おそらく、とある一人の香港人のコレクションが放出されているのだと推測される。

2002年 日産スカイラインGT-R V-Spec II Nur


日産スカイラインGT-R V-Spec II Nurは2002年式で、走行距離は6万1234km。スカイラインGT-R最終記念モデルとして生産された、Nur(ニュルブルクリンク)のなかでもV-Spec IIは718台、Mスペックは285台が生産された、とRMサザビーズの資料には記載されている。



©Black Cygnus Limited

最大の特徴はニュルブルクリンク24時間耐久レースやスーパー耐久などを想定したN1仕様のエンジンが搭載されていること。シリンダーブロック、ピストン、コンロッド、ウォーターポンプ、エキゾーストマニホールドはN1専用部品で、タービンもハイブーストを想定したメタル軸受タイプに変更されている。ベース車両と比較して最高出力に変更はないが、600psまで対応できるポテンシャルを秘めている、といわれている。

©Black Cygnus Limited

2002年 マツダRX-7スピリットRタイプA


マツダRX-7スピリットRタイプAも2002年式で、走行距離はたったの5762km。こちらも生産終了間近に販売された、記念モデルだ。BBS社製17インチホイール、レッド塗装ブレーキキャリパー、専用のソフト塗装インテリアパネルなどで仕上げられている。スピリットRは「タイプA(2シーター)」、「タイプB(4シーター)」、「タイプC(AT仕様)」の合計1500台が生産された。

Keith Mulcahy - RMS

Keith Mulcahy - RMS

タイプAはレカロ社製専用レッドフルバケットシートを装備し、車両重量が約10㎏軽量化している。また、ドリルド(穴あき)タイプ大径4輪ベンチレーティッドディスクブレーキ、高剛性ステンレスメッシュブレーキホースの新採用により、制動性能を強化。“「スピリットR」タイプAは、RX-7史上最も走りの性能を高めたモデルであり、最後の限定車にふさわしい究極のRX-7である”とマツダが謳っていたことが懐かしい。

Keith Mulcahy - RMS

Keith Mulcahy - RMS

2002年 トヨタ・スープラRZ-Sツインターボ


トヨタスープラRZ-Sツインターボも2002年式で、モデルライフ最終期に生産されたもの。限定車の類ではないものの、走行距離は8293kmと少ない個体だ。



©Black Cygnus Limited

2JZ-GTEツインターボエンジンにゲトラグ製6速マニュアルトランスミッション、という組み合わせだけで、JDMファン垂涎の的である。予想落札価格の記載はないが…、新車のフェラーリ296GTBと変わらないくらいで落札される予感がする。

©Black Cygnus Limited

2001年 ホンダNSXタイプT


ホンダNSXタイプTは2001年式で、走行距離は3万5905km。モデル末期のモノでもなければ限定車でもなく、どういう理由で購入に至ったのか取材してみたいくらいだ。ただ、タイプTとしては比較的珍しい6速マニュアルトラスミッションを搭載している。



©Black Cygnus Limited

なお、紹介文には一切触れられていないが、ご丁寧に日本でのオークション出品表まで写真掲載されていて「R点」評価(修復歴アリ)であることが分かる。また、「走らせるには整備が必要」との記載があった。

©Black Cygnus Limited

2017年~2019年にかけて収集されてきた、日本のスポーツカーたち。この香港人オーナーが香港で走らせていたか定かではないが、恐らく自宅ガレージにでも飾っていたのだろう。“あの頃”の国産スポーツカー相場、日本でも異常なまでに暴騰している。純粋な“クルマ愛”でのコレクションだったのが、投資目的だったのか我々には知る由もないが、保有期間3~5年でどれほどの“利益”がもたらされるのか、見ものだ。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司(自動車王国)

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