東京、南青山で「アストンマーティンに暮らす」ということ

No.001 MINAMI AOYAMA



ついに日本にも「アストンマーティンの邸宅」が登場


そして、いよいよ日本・東京でもアストンマーティンが手掛ける邸宅の建設着工が明らかになった。しかも、アジア初の試みである。建設予定地は東京でも有数の高級住宅地、港区南青山で『No.001 MINAMI AOYAMA DESIGNED BY ASTON MARTIN』と名付けられている。4階建てとなるこの邸宅にはオートモーティブギャラリー、ワインセラー、ホームシアター、ジム、プライベートスパを備え、アストンマーティンのデザイン理念が随所に反映されるという。



「このプロジェクトにはデザイナーが3チームいます。我々のデザインチーム、日本の設計事務所、そして、建設予定地である南青山の土地です。土地を“デザイナー”と呼ぶのには、そのユニークなロケーションが理由です」

聞けば南青山の高台に位置するこの土地、4階上部にはルーフテラスが設けられ、東京の素晴らしい景色を一望できるのだという。“正面”玄関からは3階建てのように見えるが、傾斜を利用して“反対側”からは4階建てという建物になる。1階のいわゆるガレージの奥にはガラス越しにリビングダイニングのスペースが“一段下がった”カタチで設けられるのだが、そこに座ると目線の高さでクルマを見られる。まるでアートオブジェを眺めるかのように、ガレージ内に収まる車を見られるというユニークな工夫が凝らされている。「オートモーティブギャラリー」という名称は、単にファンシーな響きが与えられたのではないのだ。



「東京は誰もが憧れる、流行に敏感な国際都市です。南青山は日本古来の伝統と外国文化が融合し、新たな価値が創造される街です。新しさを追い求めながらも、古い価値をも尊重するスタンスは、アストンマーティンのデザイン哲学にも相通じるものがあります。そしてNo.001 MINAMI AOYAMAは、東京のスカイラインに一石を投じるものとなるでしょう」

2023年11月完成予定ながら、すでに購入者は決定済み。オートモーティブギャラリー、ワインセラー、ホームシアター、ジム、プライベートスパを備える。VIBROAの吉田CEOは「VIBROAは世界最高級の商品とサービスを通じて、高級不動産の世界における貴重な体験と付加価値をお客様に提供することに全力を注いでいます。このたび、アストンマーティンのような超高級ブランドの象徴とも言える存在と協業できることを嬉しく思います」 とコメントしている。


東京という街は、じっくり眺めてみると実にコントラストに富んでいる。近代的な高層ビルがそびえたっているかと思えば、古くから続く神社仏閣が時代の変革に動じることなく現存している。どんどん新しくなっていく街並みがあるかと思えば、まったく変わらぬ昭和の原風景が残っていたりする。それこそ大名屋敷の名残が残っている場所もチラホラ。事実、「青山」という地名は、江戸時代に大名を務めていた青山家の下屋敷があったことにちなんでいる。そういう意味で東京は、寛容性に富んだ街であるのかもしれない。

「私たちのアイディアが構造計算上、制約を受けることがありました。でも、それは自動車のデザインにおいても法規制を満たすために、制約を受けることがあるのと同じです。決して妥協をするのではなく、解決策を地元に精通したパートナー建築事務所と一緒に見出すことに、我々のチームとしての能力が発揮されたと思っています」

No.001MINAMI AOYAMAをデザインするにあたって印象的だったことを聞いてみると“エントランスホール”という面白い答えが返ってきた。

「今回の仕事をして初めてエントランスホールに椅子を配置する、ということを学びました。玄関で靴を脱ぎやすいように配慮してくれ、というオーダーは私達には新鮮でしたし、南青山を皮切りにほかの日本でのプロジェクトでも参考になります。あとオーナー様が特別に発注した家紋は、我々にとって大変興味深く美しいものでした」とラフナン氏。

今回、邸宅には紋章上繪師・波戸場親子によるオリジナルの家紋が誂えられる。

アストンマーティンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマンは、No.001 MINAMI AOYAMAについて次のように述べている。

「外観はすっきりとしたラインとシームレスな境界線を持つ、印象的な建築フォルムを創り出しました。内装は五感に訴えるようなエレメントと素材のホリスティックな組み合わせで、落ち着きとくつろぎの空間を創り出しています」ハンドメイドであること、過度なまでの作り込みや細部への徹底的なこだわり、普遍的な美しさの追求は、アストンマーティンが109年間、重んじてきたことであり、No.001 MINAMI AOYAMAでも存分に発揮されるだろう。なお、No.001 MINAMI AOYAMAはすでに個人オーナーに販売済みで、2023年12月には完成する予定となっている。この邸宅の建設着工を機に“デザイン・バイ・アストンマーティン”の住居は、デザインコンシャスな富裕層から一気に注目を浴びそうな予感がする。


文:古賀貴司(自動車王国) 写真(イベント):高柳健
Words:Takashi KOGA(carkingdom) Photography(reception):Ken TAKAYANAGI
参考材料(ライヒマンインタビュー):
https://media.astonmartin.com/aston-martin-applies-its-design-mastery-to-first-luxury-home-in-japan/


取材協力
アストンマーティンジャパン
https://www.astonmartin.com/ja
株式会社VIBROA
TEL: 03-5860-6851
https://www.vibroa.com/

文:古賀貴司(自動車王国)

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