子供専用!クローズドボディのミニ・カウンタック。いわば「ランボルミーニ」?

Tom Hains ©2022 Courtesy of RM Sotheby's

昨年、個人が所有する“お宝”を鑑定するテレビ番組に登場したのがフェラーリ・テスタロッサの「ジュニアカー」だった。本人評価額は70万円、鑑定人による評価額は300万円でスタジオが沸いた。

ジュニアカーとは、その名の通り実車の“ジュニア版”で動力源を積んでいる。つい先日、フェラーリがイギリスのザ・リトル・カンパニーとタッグを組んで、「テスタロッサJ」という電動ジュニアカーを投入したことが記憶に新しいかもしれない。299台限定、お値段は・・・9万3000ユーロ~と“玩具”であっても玩具らしからぬ高級品だ。

来る2月1日、RMサザビーズがフランス・パリで開催するオークションにも、ジュニアカーが出品されている。イタリアのジュニアカーメーカー「アゴスティーニ・アウト(Agostini Auto)」が1984年に製造したもので、ランボルギーニ・カウンタックの1:1.5スケールのジュニアカーである。



ブリッグス・アンド・ストラットンの399ccエンジンを搭載し、2速トランスミッションが組み合わせられている。カウンタックらしい跳ね上げ式の“シザー”ドアや特徴的なシートも見事に再現されている。珍しいのはオープンボディではなく、クローズドボディとして作られていることだろう。オープンボディであれば、窮屈ではあっても大人が座ることができるが、クローズドボディは完全に子供向けとして誕生している。





なお、出品者は5歳のときに誕生日プレゼントとして、このカウンタック・ジュニアカーを贈られたそうだ。カウンタック・ジュニアカーの“新車時価格”は明確に示されていないが相当、高額であったことは想像に難くない。



というのも1987年、アゴスティーニはイギリスの高級デパート「ハロッズ」で“最も高級な玩具”としてジュニアカー(前述のフェラーリ・テスタロッサ)を販売していた。1ポンド約235円の時代に、なんと3万4680ポンドで販売されていたのだ。日本円にして約815万円。参考までに当時、トヨタクラウンの最上級モデル(3.0ロイヤルサルーンG)の新車時価格は443万2000円だった。開いた口が塞がらない。



アゴスティーニ・アウトを調べてみても、最近の情報は見つからない。しかし、オークション出品履歴を見る限り、ジュニアカーでは一世を風靡した様子だ。まずはいわゆる“カート”にポルシェ911のボディを被せたジュニアカーで成功し、後にフェラーリやランボルギーニなどのジュニアカーへと進出したようだ。

© Bonhams

動力源を積むジュニアカーだが、公道走行できるものではなかった。つまり、ターゲットは自宅に広い敷地を有する富裕層だったのだろう。今まで出品されたアゴスティーニのジュニアカーの紹介文を読むかぎり、自動車メーカーと正式なライセンス契約を結んでいたそうだ。富裕層向けゆえに、法令遵守した正統派玩具だったのだろう。

ちょっとインターネットで検索してみると、アゴスティーニ・アウトが手掛けたカウンタック・ジュニアカーを6万ドルで販売しているサイトにも出くわした。しかも、そちらはクローズドボディではなく、オープンボディ。両ボディタイプ合わせて、アゴスティーニ・アウトのカウンタック・ジュニアカーは20台のみが生産されたそうだ。明確なデータこそないが、クローズドボディを有するものはごく僅かだったとか。ボナムズのオークションでどれほど“化ける”のか、気になるところだ。

なお、ジュニアカーは「ル・マン・クラシック」の“リトル・ビッグマン”というカテゴリーにて、7歳~12歳までなら参加資格を有する。



© 2023 Le Mans Classic

© 2023 Le Mans Classic

文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司(自動車王国)

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