完全新開発!ランボルギーニ史上、最高スペックをもつアヴェンタドール後継モデルのパワートレーンとは?

Automobili Lamborghini S.p.A.

1963年の創立以来、ランボルギーニといえばV12エンジンを搭載するモデルをフラッグシップとしてきた。1971年にカウンタックがデビューすると、それはブランドのコアイメージとして強力に定着し、その後のディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールはすべてその発展形と呼ぶべきものだった。

そしてちょうど創立60周年を迎える今年、ランボルギーニはまた新たな歴史を刻むことになる。3月末にいよいよ、アヴェンタドールの後継モデルがワールドプレミアされるのだ。

LB744。正式デビューを控えて公表された次期フラッグシップのコードネームである。発表に先立つこと約1カ月前、世界から限られたメディアをサンタガータ本社のチェントロスティーレに招き、まずは注目の新開発パワートレーンが公開されたのでその報告をしたい。これが第一弾の発表であり、この後、3月末のワールドプレミアまで第二、第三の情報公開が予定されている。

ステファン・ヴィンケルマンCEOはかねてから「新型フラッグシップにはV12自然吸気エンジンが継承され、それはプラグインハイブリッドシステムと組み合わされる」、そう明言していた。技術プレゼンテーションに先立ちヴィンケルマンCEOはサスティナビリティが今後、スーパースポーツカー界においても重視されると明言する。そのための第一歩が彼らのいうHPEV=High Performance Electrified Vehicle、プラグインハイブリッドシステム搭載のLB744というわけだ。

心臓部は完全新開発の6.5リッターV12自然吸気エンジンで、型式名をL545と呼ぶ。アヴェンタドール用に比べて17kgも軽い218kgに収められた。最高出力はなんと9250rpmで825cv。9500回転まで許容するというからかなりのハイレヴィングなエンジンだ。もちろんランボルギーニ史上、最高のスペック。最大トルクは725Nm/6750rpm。サウンドにも相当こだわったと開発部門を率いるルーベン・モールCTOが胸を張る。



これに組み合わされたのが前2+後1の電気モーターとリチウムイオンバッテリー、そして新開発8速DCTだ。もはや前輪と後輪との物理的なつながりはないものの、ディアブロ以来となる4WDの伝統もまた継承されている。



注目すべきはエンジン+トランスミッションの搭載方法だ。これまでとは180度逆に、つまりキャビンからみてエンジン→ミッションと常識的な配置とした。これはセンタートンネルの巨大なミッションの代わりに重量物で嵩張るリチウムイオンバッテリーを置いたから。とはいえリアに積むミッションはできるだけ小さくしたい。そこでシャフト数に工夫を凝らした軽量かつコンパクトなDCTを自社で新たに開発(サプライヤーはグラツィアーノ)、1つの電気モーターを真上に載せた形でリアアクスル上に配置した。



リアモーターのスペックは110kW/150Nm。スターターやジェネレーターとして機能するほか、必要に応じて後輪の駆動を手助けし、センタートンネルのバッテリーを通じフロントモーターへ電力も供給する。2つのフロントモーターはそれぞれ110kW/350Nmで、前輪を駆動するほかトルクベクタリングや回生ブレーキとして働く。電動走行は基本、フロントモーターが担う。つまりはFFだ。走行モードや状況に応じてリアモーターも駆動に関わる。完全電動の4WD走行も可能というわけだ。後進ももちろんモーターで行う。

CFRPで覆われたセンタートンネルに鎮座するVALMET製リチウムイオンバッテリーは、4500W/kgという高出力密度を誇り、容量は3.8kWh。PHEVというには低容量(フェラーリSF90の約半分だ)に思われるかもしれないが、無闇に重くするよりも走行中における充電時間を短くすることで繰り返し最大性能を得られることの方を重視したという。ちなみにプラグインはフロントブートを小さく開けて(その位置でロックされるから心配無用)行う。



気になるLB744のシステム最高出力は大方の期待通りに1000cvを超えてきた。なんと1015cvである。重量は未発表(アヴェンタドールより少し重いらしい)ながら、ヴィンケルマンCEOによるとパワー・ウェイト・レシオが大幅に向上したという。0→100km/h加速は脅威の2.5秒というから、今から試乗が楽しみでならない。


文:西川 淳 写真:ランボルギーニ
Words: Jun NISHIKAWA Images: Automobili Lamborghini S.p.A.

西川 淳

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