たった6人のオーナーだけが夢見心地な時間を味わえる、究極のラグジュアリーガレージハウス

Takaaki MIURA

同じ価値観の入居者が自然に関係を深められる場所


千葉県袖ケ浦市。都心から東京湾アクアラインをわたり姉崎袖ケ浦ICを降りて少し走ると、広大な敷地の中に建つ漆黒の建物が現れる。ここは首都圏で賃貸ガレージハウス『inCELL(インセル)』を手掛ける(株)インフィストデザインが新たに立ち上げた高級賃貸ガレージハウスブランド『Garesidence(ガレジデンス)』の1棟目となる物件。『袖ケ浦ZEN PAVILION』だ。

700坪ある敷地には平屋で長屋造りのガレージハウスが向かい合うように建つ。部屋数はわずか6つ。とても贅沢な空間だ。代表取締役である須田 力さんは、ここにどのような想いを込めたのだろうか。

株式会社インフィストデザイン 代表取締役 須田 力さん

「平屋のガレージハウスを造るということは、3年ほど前から考えていました。しかしそれを実現させるのは簡単なことではありません。アイデア、土地、そしてオーナーの理解。この三角形がきれいに出来上がって初めて動き出せるのです」

構想が頭に浮かんでから3年で完成というのは、かなりトントン拍子で話が進んだのでは? そう投げかけると須田さんは「とんでもない。僕がこれまで手掛けたものを考えると、相当慎重に、じっくり時間をかけて造り上げています」と笑う。

間口が広く取られたガレージ。余裕を持って大切な愛車を置くことができる。

無機質なコンクリート造りではなく、壁紙を貼り、床石を敷くことでラグジュアリーなガレージに仕上げられた。

須田さんには『袖ケ浦ZEN PAVILION』で叶えたい夢があったという。それは建物が完成して入居が決まったら終わりではなく、そこからさまざまな関係を構築できるようなものを造るということ。

「日本ではガレージハウスに限らずほとんどの物件で入居者が決まり満室になると、僕らはそこを訪れることができません。でも僕はどんな人が入居してくれて、どんなライフスタイルを楽しんでいるかを自分の目で見たい。ずっとそう思っていました。稀にご縁があって中に入れていただけることもありますが、大家に近い立場の人が来ると相手に気を遣わせてしまいます。だとしたら最初からさまざまな人が集える場所を造り、それを楽しんでくれる人に入居してもらおう。それが『袖ケ浦ZEN PAVILION』のコンセプトにもなりました」

中庭からガレージにある車が見えるように設計。もちろん他の部屋の車も見える。PAVILIONと名付けた所以だ。

モダンなジャパニーズスタイルの長屋は中庭を介し、ガレージと居住スペースが向かい合っている。つまりここにどんな車で来ているか、どんなライフスタイルを楽しんでいるかが互いに丸見えだ。だが、これこそが須田さんの狙いだ。ここは『車』や『バイク』という共通の趣味を持った人が集まる場所。ならば互いに遠慮するのではなく、自然にコミュニケーションがとれる環境にしたほうが週末を楽しめるはずだ。『パビリオン(博覧会)』と名付けたのもそんな願いが込められているから。

ただ、すべてが開放的な空間には問題もある。もし和を乱す人が入ってしまったら、他の入居者の週末の時間が台無しになってしまう。そのため『袖ケ浦ZEN PAVILION』では独自の入居審査を行っている。

「ものすごく高飛車な言い方になりますが、誤解を恐れずに言うと入居いただく方をこちらで選ばせていただきます。例えば賃借契約書に禁止事項などを書くのは簡単ですが、ルールがないと和を乱すことも平気だという人は最初からお断りする。価値観の近い方にご入居いただくことで、安心してセカンドハウスでの暮らしを満喫していただけるとともに、『Garesidence』で過ごすことを誇りに思っていただけるはずです」

カーディーラーを巻き込んで定期的にイベントを開催予定


ここで建物内に目を移してみよう。6つの部屋の広さは居室とガレージを合わせて75.96㎡〜122.13㎡。リビングスペースは天井が高く、天窓から淡い光が差し込んでくる。中庭側には広い木製のテラスを配置。長い大屋根がテラスの外まで伸びているので、直射日光がリビングにダイレクトに入るのを防いでくれる。部屋の両面に配置された大きな窓を開けると涼しい風が抜けていく。これなら夏場でもエアコンが必要ないのではないかと感じるほど心地良い。



プライベートをしっかり確保しながら、他の部屋に入居する“仲間”の存在も感じることができる絶妙なバランスが取られている。

おもしろいのは、中庭に面した大屋根には雨樋がつけられていないこと。雨を景観の一部と捉え、屋根を伝って滴る雨水やその音も楽しんで欲しいという須田さんの思いを形にしたものだ。もちろん大屋根は長く張り出しているので、よほど風が強い日でない限りテラスにまで吹き込むことはないという。

中庭を介し、向かい合うように配置されたテラス。水盤に反射した光が庇に映りさまざまな表情を見せてくれる。

そして言うまでもなくそれぞれの部屋の主役はガレージだ。ガレージはシャッター間口が4970mmある広さ47.82㎡のタイプと、シャッター間口が7700mmある広さ72.45㎡のタイプがある。ガレージには小さい方で余裕をもって2台、広い方だと3台の車をゆったり入れることができる。

愛車を眺めながらくつろげるように設計されたガレージ。

「ガレージハウスにはさまざまな楽しみ方があり、ご入居いただいた方に自由に過ごしてもらえたらと思います。ただ、僕がここでイメージしているのはオイルにまみれながら旧い車をレストアするという使い方よりも、部屋からガレージにある車を眺めたり、気の合う仲間とガレージで一晩過ごしたりするような使い方です。だからガレージはコンクリート打ちっぱなしではなく、壁紙を貼って床も石敷きにしています」



ラウンジや水盤が設けられた中庭に愛車を置くこともできる。

『袖ケ浦ZEN PAVILION』を象徴する存在が6つの部屋をつなぐ共用スペースの中庭だ。中央には掘りごたつをイメージしたラウンジがあり、奥には広い水盤が配置される。中庭には車でアプローチすることもできるので、愛車を駐めて仲間や入居者同士で車を見ながら語らうこともできる。そしてこの中庭からもガレージ内にある車を眺められるようになっている。

「ガレージは居住スペースより一段低くなっていて、逆にラウンジに座ると車のほうが高い位置になります。自然に目線の高さが変わることで、さまざまな角度から愛車を楽しんでいただけるようにしています」

時間の経過とともに陰影が変化する。その中に愛車があることでさまざまな表情を楽しむことができる。

この広い中庭では居住者が過ごすだけでなく、輸入車ディーラーなどが参加するイベントも開催される。もちろんその時は居住者以外の人も中に入ることが可能だ。居住者にとっても好きな車のイベントが自分の別荘で開催されるのは大きな楽しみになるに違いない。そしてイベントを運営する須田さんも堂々と『袖ケ浦ZEN PAVILION』に赴き、居住者たちとの会話を楽しむことができる。冒頭で話した「どんな人が入居してくれて、どんなライフスタイルを楽しんでいるかを自分の目で見たい」という夢を実現させたのだ。

『袖ケ浦ZEN PAVILION』は2023年2月中旬に竣工したばかりだが、すでに『Garesidence』の第2弾、第3弾のプランが進行している。それらは『袖ケ浦ZEN PAVILION』とはまったく違うアプローチになるという。いずれの形でも車好きが至福の時間を過ごすことができるガレージになることは間違いない。愛車と過ごすプレミアムな時間を提供してくれる須田さんの今後の展開に期待したい。




Garesidence 袖ケ浦ZEN PAVILION
千葉県袖ケ浦市
https://infist-incell.com/list/sodegaura_zen_pav/


文:高橋 満 写真:三浦孝明
Words: Mitsuru TAKAHASHI Photography: Takaaki MIURA

高橋 満

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