※この記事は2017年のUK版Octane本誌で紹介された日本車の記事です。

ロータリーエンジンは、マツダの名を世界に知らしめたと言っても過言ではない。高い技術力を必要としたロータリーエンジンの開発は、冒険的であり技術的躍進でもあった。

1968年マツダのロータリーエンジンの世界には、コスモ以外にR100(ファミリア)が加わった。それに続き1970年代には R130、RX-2、RX-3、RX-4、RX-5、RX-7などが導入され、ほとんどのモデルは英国でも販売された。

英国マツダでは、ロータリーエンジンの歴史を刻んだいくつかの車を所有しており、オクタン英国版編集部は幸運にもそれらに乗る機会を得た。(1968年 COSMO Series IIの記事はこちらから

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1973年 マツダ RX-3 クーペ
このRX-3は、とても面白い。1146cc 12A型エンジンとともに、初期のRX-7ものの5段MTトランスミッションがオリジナルの10Aトランスミッションに代わり搭載されている。直線のエグゾーストやワイドなタイヤなど、日本や米国でのレースで活躍したレーシングバージョンのRX-3の感覚を感じられる雰囲気だ。弊誌に協力してくれるマーク・ヘールズ氏は英国でそれに乗りレースをして、コーナーを2輪だけで曲がっていたのを思い出す。

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エンジンの回転数は驚くほどよく吹き上がりを見せる。トルクはとても強く、トランスミッションもなめらからで加速も良い。ただ、シャシーは重くステアリングがあまい印象だ。

見た目は非常に良い。小型化された米国のポニー・カーみたいで、しかも、Cピラーに「Super Delux」と言い張れる車なんて、誰でも欲しくなってしまうに違いない。

1986年 マツダ RX-7 Mk1
この車両は、スコットランドのマツダディーラーが、新車時から何年ものあいだ倉庫に保管していた個体だ。最近になり復帰を果たしたので、走行距離は300マイルほど。車内の質も臭いも新車そのものである。

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1986年当時の排ガス強制で、サーマルリアクターがエグゾーストシステムに装備されたことにより、パフォーマンスを低下せざるをえなかった。しかし、この世代のRX-7は見事に美しい作りとなっている。ガラス面が際立つリア、フロントにはポップアップ式ヘッドライトと、まるで当時のトライアンフ TR7と シボレー カマロを融合させ、両者よりもまとまった仕上がりを感じさせる。

1994年 マツダ RX-7 Mk3
Mk1とMK3の間の1986年から生産されたMk2は、ポルシェ928や944とデザイン的合致を感じさせられるものであった。英国マツダは現在Mk2を所持していないが、このMk3は英国で1992年から販売された数少ないモデルの一つだ。

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メディアは当時この車を賞賛した。237馬力、0-62mphまで5.1秒のスペックを発揮する、13B型ツインターボロータリーエンジンは今見てもすばらしい。エンジンは4500回転まで吹き上がりもそこそこだが、そこから驚くほどの跳ね上がりを見せる。ハンドリングも反応がよく、乗り心地も安定していて、前世代よりソフトな印象だ。

なぜ英国で販売が伸びなかったのか?それは、間違いなく高く設定された価格にあった。EUの排ガス規制により、RX-7は1997に販売中止を余儀なくされたが、生産は2002年8月まで続いた。

2007年 マツダ RX-8
このマツダ最後のロータリーエンジン車は、初代コスモ誕生から40周年を記念した特別仕様車のRX-8だ。RX-7より大きくなった車体の中には、後ろ向きに開くリアドアにより実用的な4シーターが装備されており、モダンで実用的な印象だ。そして、ロータリーエンジンの性能も健在である。

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221馬力を発揮する。しかし、重量の増加と排ガス規制の厳格化から、低回転ではあまりパワーは感じられない。ともあれ、9000回転を示すレッドラインがすべてを物語っている。RX-8は、人を引きつけるデザインの中に、実用性を上手く保っていると言えるし、なにより運転していてとても楽しい。RX-9にも期待したいものだ。

Words John Simister
Photography Matt Vosper, Louise Siggers

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