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ポルシェ911GT1の優勝20周年を祝う Spark Festival 2018

ル・マン クラシックと時を同じくしてフランスで開催されたスパーク・フェスティバル。初めての開催とあって、知る人ぞ知る存在である。と同時に、その存在を知らなかったことが悔やまれるイベントかもしれない。独創的で自由な、そのイベントをレポートする。

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2018 年初夏。ル・マン クラシックの前週に、フランスのエクサンプロヴァンスにあるグラン・サンブーク・サーキットでスパーク・フェスティバルが開催された。本年が初開催のため、イベント名には馴染みがないかもしれないが、オクタン読者の方なら" Spark "という名はきっとご存じだろう。そう、モデルカーブランドのスパークによるサーキットイベントだ。

グラン・サンブークは、スパークモデル代表であるウーゴ・リペールの生まれ故郷で、スパークとは大変縁の深い場所だ。今回のイベントは、1998 年のル・マン優勝ドライバーであるステファン・オルテリとの「911GT1 優勝20周年を祝うイベントをやりましょう!」という会話から始まった。その後ポルシェ・ミュージアムの協力も得て、このサーキットに911GT1が持ち込まれるに至ったのだという。

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600ヘクタールという広大な敷地に集まったのは、およそ100 ~ 150 台の車と200 台ほどのバイク。注目車両はやはり何といっても20 年前のル・マンで優勝し、このイベント開催のきっかけとなったポルシェ911GT1だ。他にも、1978 年のル・マンウィナーであるルノーアルピーヌA442B や、今年の優勝車両TOYOTA TS050 Hybirid LMP1を祝した展示も行われるなど、随所で周年を記念した展示が行われていた。

デモラン、レーシングカー走行、プロのレーシングドライバーとの同乗走行といったコンテンツの中でも、今回のイベントで特筆すべきものは同乗走行ではなかろうか。他のイベントでは抽選や先着など、限られた人にしかチャンスが巡ってこないプロドライバーとの同乗走行が、スパーク・フェスティバルでは、希望すればほぼ誰でも体験することができた。しかも、ほとんどのドライバーはル・マン ウィナーという特別なものだから、贅沢なことこの上ない。

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また、このイベントならではの企画として「サファリツアー」も紹介したい。敷地の随所にある、自然に溶け込んだサーキットの特徴を活かした独創的な車両ディスプレイ。木々の間に、丘の中腹に、コースの脇に、ひょっこりと動物が現れたかのように歴代の名車がさりげなく置かれている。そう、作為的に「停める」のではなく、自然の中に「置く」という表現の方がしっくりくるのだ。各所に置かれた名マシンを、ゲストが歴代ランドローバーに乗って見物するサファリツアーは、さながら車のサファリパークのよう。大人たちが皆、童心に帰って盛り上がってしまうのも納得だ。

分刻みのタイムスケジュールが存在しないことも、スパーク・フェスティバルの注目すべきポイント。例えばサーキットでは、メカニックが車両の整備を終えて走行可能な状態になると、ドライバーたちはいつでも好きなタイミングでコースインすることができる。基本的にはランチタイム以外は走行が自由で、それはレーシングドライバーが駆るマシンへの同乗走行だけではなく、ゲストの一般車両も同様だ。約300 人のゲストは、この自由でのびのびした雰囲気を謳歌し、73カレラや904カレラ、250GTOといったマシンを持ち込んでサーキット走行をしたり、その見物に興じたり、思い思いにリラックスして楽しんでいた。

残念ながらメインイベントのデモ走行では、911GT1を実際に走らせることはできなかったが、ル・マン4 度の覇者であるアンリ・ペスカローロがマトラMS630をドライブしたり、ヘリコプターの
操縦も行ったりするなど、見所は満載だった。アンリの他にも、アラン・マクニッシュ、アンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエ、ステファン・オルテリ、ローレン・アイエロ、ディティエ・オリオールなど、集まったレーシングドライバーの顔ぶれも豪華で、多くのドライバーの賛同によってこのイベントが成り立っていることが伺える。

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WRC 総合チャンピオンであるディディエ・オリオールらは優勝20 周年(ラリーモンテカルロ1998 年優勝車)をこのイベントで一緒に祝うために、TMGのサポートにより車両を持ち込んだ。このように、ドライバーだけではなく、トヨタやポルシェ、VWといったメーカーの協力が得られたのも、営利目的ではなく、純粋に「車が好き」な人が集まり、心から楽しむというコンセプトに共感が得られたからなのだろう。

「 実車が好きで、レースが好きな人が集まっている」とはスパーク担当者の弁。なるほど、スパークのモデルカーは細かい部分まで忠実に再現してとことんリアルを追求している。不明確な部分があると完成に至らないというほどの、車好きなモノづくり集団だからこそ、その情熱に惹かれて人々は集まってくるのだろう。集まる場がミニカーショップであっても、サーキットイベントであっても、人々の思いは変わらない。仲間が集まり、思い思いに楽しむ場、それがスパーク・フェスティバル。この雰囲気を誌面で伝えきれないのが残念ではあるが、スパーク・フェスティバルは今後は2 年に一度の開催を目指していくとのこと。また、グラン・サンブーク・サーキットではSpark Motosportによるドライビングスクールが常時開催されており、希望すれば誰でもプライベートなスクール・走行会を楽しむことができる。

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文:オクタン日本版編集部 Words:Octane Japan
写真:SUPER FILM Photography:SUPER FILM