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女神は吐息まで美しく ~クリーンなクラシックカーが走る未来~

品川区にあるジャベルは、1952年創業のシトロエン専門ショップだ。同社のポリシーは、安心して毎日でも乗れるシトロエンを販売すること。独自開発の排ガス浄化装置について、ジャベル2代目代表の竹村洋一氏に話を聞いた。

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五反田の山手線ガードをくぐり抜け、中原街道を南へ2 キロほど走ったところの右手に、赤いシトロエンDSの描かれた大きな看板が見える。シトロエン専門のスペシャルショップ「JAVEL」だ。ショールームにはDSやCXをはじめとしたクラシック・シトロエンが展示されているが、1階フロアの大部分を占めているのは整備工場。気軽に足を踏み入れて良いものか、迷ってしまいそうな雰囲気だ。

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そんな同ショップについて竹村氏は「中古車屋ではなく、あくまでレストア屋ですから」と語った。「最低限走ればいいから安くしてくれ、という要望にはお応えしていません。完璧に仕上げた状態でお渡しすることをモットーとしています。一部分だけ補修しても、全体のバランスが取れず、別の場所が壊れてしまいますからね。弊社のクラシック・シトロエンには、1年間の保証をつけています」

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ジャベルのレストアは、車のオリジナル状態を維持することを目的とはしていない。同社のコンセプトは、毎日安心して乗ることが出来る車を提供すること。壊れないように入念な整備をするだけでなく、必要に応じてエアコンなどの現代的な装備も取り入れつつ、クラシックカーにとっては過酷な日本の環境にも適したシトロエンを作り続けている。最近では、ダッシュボードをビニールではなく革張りにしたり、助手席の快適性を考慮してクーラーを中央に配置するなどの改良も施している。

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しかし、中でも最も特筆すべき装備は、排出ガスをクリーンにする独自のシステムである。触媒もO 2センサーも持たない本来のシトロエンDSは、運転した後、洋服や頭髪には排ガスの臭いがついてしまう事が当前だった。クラシックカーファンにとっては特に問題のないことかもしれないが、家族を始めとした周囲の人たちからは、冷たい視線を向けられることも少なくはなかったはずだ。

ジャベルが採用している排ガス低減装置は、ドイツのシトロエン・スペシャリストが開発したもので、エンジンの回転数に連動した排ガス制御を行うところが大きな特徴だ。O 2センサーと三元触媒を組み合わせた装置で、アイドリング中および緩やかにアクセルを踏んだときには排ガスを抑制する制御を行い、急激にアクセルを踏んだときは制御を行わない仕組みになっている。このため、70年代後半に排ガス対策のため取り付けられた装置とは異なり、シトロエンが本来持っているエンジンの性能をスポイルすることがない。鋭い走りはそのままに、有害な排ガス臭を低減し、快適に安心して走れる車に仕上がっているのだ。

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「最初、この排ガス低減装置は50万円のオプションとして装着していたのですが、今では全ての車に取り付けています。実はこの装置、キャブレターやインジェクションなどの差異に関係なく、どの車のエンジンにも使用することが出来るのです。デイムラーやロールス・ロイス等の高級車に応用すれば、さらに素晴らしい車に仕上がるのではないかと考えています」

そう語る竹村氏の将来の夢は、クラシック・シトロエンのカフェを作ること。近い将来、道路の拡張工事でお店を移転せざるを得なくなるので、それを機にオープンしたいと考えているという。排ガスのきれいなクラシックカーが集うカフェで、美味しいコーヒーを愉しむ。そんなカフェがもしできたら、その時は筆者も足を運んでみたいと思った。

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JAVEL
〒142-0063 東京都品川区荏原2-18-10
TEL:03-3784-5051 営業時間:9:00 -18:00
定休日:毎週月曜日、第2・4日曜日、祝日
URL: www.javel.co.jp

文:オクタン日本版編集部  Words:Octane Japan
写真:奥村純一 Photography:Junichi OKUMURA

※この記事はオクタン日本版Vol19(2017年9月5日発売)を転載したものです。本誌内において、竹村洋一氏のお名前が竹本洋一と記載されていました。また、排ガス抑制装置の説明につきましても、一部誤りがございました。ここに訂正すると共にお詫び申し上げます。(オクタン日本版編集部)