1966年にラリードライバーとしてデビューしたジャン・トッドが、昨年キャリア50周年を迎えた。そこで親愛なる"ファミリー"から、3つのタイムピースが贈られた。
ファミリーの絆を物語る時計たち
時計業界では、著名なスターやアスリート、あるいはファッションセレブリティを"アンバサダー(大使)" に任命し、個々のファンの耳目を集めることでブランドの認知を広める努力をしている。しかしあまりにも多くのブランドがこの戦略を採用しているせいか、少々食傷気味なのも事実である。
その点、リシャール・ミルの戦略は風変りだ。もちろん著名人を起用することには変わりはないのだが、必ずしも"たくさんのファン" を持っている必要はない。それはリシャール・ミルが少量生産のブランドであり、そのどれもが極めて高価であるから。ごく限られた一部の愛好家のために作っている時計には、ブランド認知を広げる必要はないのだ。その代わりにリシャール・ミルでは、お互いに哲学や感性を共有できる人物に対しては、ビジネスを越えた"ファミリー" として迎い入れている。
ジャン・トッドもその一人だ。本誌を愛読するようなモータースポーツ愛好家にとっては釈迦に説法だろうが、モータースポーツの世界で大成功を収めた名将であり、特にスクーデリア・フェラーリを常勝軍団へと変貌させ、さらにはF I A(国際自動車連盟)の会長としても辣腕を振るう人物である。
ジャン・トッドは、モータースポーツの熱狂的支持者でありレーシングカーのコレクターでもあるリシャール・ミル氏の友人であったという関係から、ファミリーに加わっている(しかも奥様の女優ミシェル・ヨーもファミリーの一員)。なんとも贅沢な公私混同であるが、それがプライベートカンパニーの面白さでもあるし、何よりもファミリーがマーケティング戦略ではないことがよくわかる。リシャール・ミルの時計は、リシャール・ミル氏の分身でる、だから気持ちを共有できる人に愛してもらいたい。そう考えているのだろう。
2016年、ジャン・トッドは輝かしきレーシングキャリアにおける50周年を迎えた。彼の名を冠した3つの限定モデルは、リシャール・ミル氏からのプレゼントだ。そしてその優雅で心温まるファミリーの絆を、ジャン・トッドを愛する人々とも共有するために、少量のみ限定生産される。それはリシャール・ミルのユーザーもまた、大切なファミリーの一員であるからだ。
Jean Todt
ジャン・トッド
1946年生まれ、フランス出身。1966年にWRC(世界ラリー選手権)デビュー。主にコ・ドライバーとして、1981年までに輝かしい戦績を収める。レーシングドライバー引退後はプジョーのワークスチームのレーシングディレクターやF1の名門スクーデリア・フェラーリの監督も務めた。
左/プジョー・タルボ・スポールを率いて、WECに参戦。名車プジョー205を投入し、1985年と1986年を連覇、さらにパリ-ダカール・ラリーでも優れた戦績を収める。その後はル・マン24時間レースにも参戦し1992年と1993年で連覇を達成。レーシングディレクターとしても名声を得る。
右/1993年からフェラーリのレース部門を率いると、2008年シーズンまでの間に、8のコンストラクターズチャンピオンと6つのドライバーズチャンピオンという計14のタイトルを獲得。特にミハエル・シューマッハと成し遂げた2000年からの5連覇は、記憶にも記録にも残るF1界の偉業。
RM 11-03 Jean Todt
RM 11-03 ジャン・トッド
月の大小を把握してカレンダーが動き、一年に一度、3月1日のみ調整するだけで便利に使える年次カレンダーと、視認性に優れるオーバーサイズデイト、そしてフライバック式のクロノグラフを搭載。印象的なブルーのケースは、ジャン・トッドが好む色。約45ミクロンという超薄型のシリカ層を600枚重ね、ブルーの樹脂を浸透させて加熱することで生まれるクオーツTPT™の塊を切削して製作している。
グレード5のチタンで作られた自動巻き式の超軽量ムーブメント、Cal.RMAC3を搭載。ベゼルとケースバックはブルークオーツTPT™、ミドルケースはカーボンTPT™。パワーリザーブは約55時間。世界限定150本。1590万円(税別予価)
RM 050 Jean Todt
RM 050 ジャン・トッド
異なる2つの対象を同時に計測できるスプリットセコンド式のクロノグラフと、重力の影響を打ち消すことで正確な時刻を示すトゥールビヨン機構を搭載。どちらも極めて繊細な機構だが、チタンとカーボンナノチューブファイバーを使用することで、ムーブメントの重量はわずか9.5gしかない。そのため衝撃にも強くなり、しかも超複雑時計でありながら、日常使いできる快適さを実現した。
細部まで完璧な仕上げを施した手巻き式の超軽量ムーブメント、Cal.RMCC1を搭載。ベゼルとケースバックはブルークオーツTPT™、ミドルケースはカーボンTPT™。パワーリザーブは約70時間。世界限定5本。1億1500万円(税別予価)
RM 056 Jean Todt
RM 056 ジャン・トッド
地球上ではダイヤモンドに次ぐ硬さを持っているサファイアクリスタルを使ってベゼルとケースバック、ミドルケースを作って組み合わせている。巨大な塊から緩やかにカーブするパーツたちを削り出すのは非常に困難であり、それゆえ極めて高価な時計となる。搭載するムーブメントは右上で紹介したモデルと同じくCal.RMCC1。時計技術と材料工学の粋を結集させた、究極の腕時計といえるだろう。
超軽量素材で作られたハイコンプリケーション手巻き式ムーブメント、Cal.RMCC1を搭載。ベゼルとケースバック、ミドルケースは、すべてサファイアクリスタルで出来ている。パワーリザーブは約70時間。世界限定3本。2億2000万円(税別予価)
文:篠田哲生 Words: Tetuso SHINODA
銀座GSIX に、同ブランドとしては世界初となる
プロモーションストアがオープン
名だたる高級ブランドのブティックが軒を連ねる銀座。その中で最も新しく、そして注目されている新スポット「GINZA SIX」に世界初の"プロモーションストア" がオープンした。6階フロアにある銀座 蔦屋書店内にあるスペースでは、リシャール・ミルの時計を模したガラスのエッチングなど、上質な空間が作られ、リャール・ミルの時計が展示されている。
しかしながらここはあくまでも"プロモーション" がメインであり、実際に時計を手に取りたい、あるいはもっと細かい話を聞きたいとなった場合は、同じく銀座にある「リシャール・ミル ブティック銀座」、あるいは「NX ONE」へと送迎するシステムになっている。あまりにも特別な存在のために知る人ぞ知るブランドであるリシャール・ミルだが、注目のスポットに出店することで、その世界観はさらに多くの人に知られることだろう。高級感はあるがオープンなスペースなので、銀座を訪れた際には是非とも足を運んでほしい。
リシャール・ミル ライフスタイル ラボラトリー
GINZA SIX 6F 銀座 蔦屋書店
TEL:03-5568-2828
(電話受付時間:10:00〜20:00)
2024.02.22
【追悼】マルチェロ・ガンディーニが若者に伝えたい大切なメッセージ|トリ ...
人生の恩師 マルチェロ・ガンディーニを偲んで…世界中のクルマ好きを魅了した天才デザイナーが2024年3月13日、永眠した。去る1月12日、トリノ工科大がマルチェロ・ガンディーニに機械工学 ...
2024.03.14
イギリスにおけるマリン自動車博物館プロジェクト、その後の計画は?
カリフォルニアにある珠玉のクラシックカー・コレクションが並ぶミュージアム、マリン自動車博物館をご存知だろうか?主にフランス車のクラシックカーコレクターとして有名なピーター・マリンが所有するコレクション ...
2024.03.16
一難去ってまた一難。タトラT87と付き合うということ|『Octane』 ...
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1946年タトラT87に乗るデルウィン・マレットが、“クラシックカーあるある”ともいえる不調の連鎖についてのボヤキをお届け ...
2024.03.01
ビッザリーニが日本へ進出!2024年後半に東京にショールームを開設予定
イタリアの伝説的な自動車ブランドである「BIZZARRINI(ビッザリーニ)」が、日本へ進出、株式会社Corse Automotive(コルセ・オートモーティブ)」日本の正規ディーラーになることが発表 ...
2024.03.07
Ken Okuyama Carsの「kode61 バードケージ」第1号 ...
昨年、世界各国で注目を集めたKen Okuyama Carsのバードケージkode61(以下「kode61」)。5月にイタリアで行われたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステでワールド・プレミアを飾り ...
2024.02.14
フェイスリフトされた「真のドライバーのために設計」されたアストンマーテ ...
2月13日、東京・天王洲アイルのWarehouse TERRADA G3 buildingにてフェイスリフトされた、アストンマーティン・ヴァンテージがお披露目された。新しいルックスに加え、パフォーマン ...
2024.02.17
世界限定18本の希少な「コルム ゴールデンブリッジ 43」が日本初入荷 ...
スイスのラグジュアリーウォッチブランドであるコルムは、日本初入荷となる「ゴールデンブリッジ 43」を2024年2月9日(金)より発売すると発表した。本モデルは18Kローズゴールドを使用したケースに、3 ...