エンジニアリングが価値を生む ~PORSCHE DESIGN~

機械式時計は"精密さ"が価値となる。それは正しい時間を示すだけでなく、ケースやデザインの精密さも同様の意味を持つ。
エンジニアリングを極めるということは、美学に生きるということなのだ。

多数のパーツが寸分の狂いもなく正確に動くことで、最高のパフォーマンスを引き出す。それはスポーツカーも機械式時計も同じである。車においては、最高速度や動力性能が高性能を示す指標であるように、機械式時計の場合は、精度やフォルムの美しさが一つの価値となる。

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ポルシェデザインは、かのフェルディナンド・アレキサンダー・ポルシェ博士によって、1972年に設立されたプレミアム・ライフスタイルブランド。ポルシェの精密性と完璧さをベースとしたプロダクトを発表し続けており、時計はその一つだ。

ポルシェデザインの時計は、ぜいたく品としての時計の文脈にはそぐわない。極めて機能的であり、寸分の隙も無いからだ。しかしこの完璧さが、プロダクトとしての魅力を生み出す。アナログな時計なのに、精密機器としての美しさを持っているのだ。

このモデルの最大の特徴はクロノグラフでありながら、ケースサイドにプッシュボタンが存在しないこと。ケースとシームレスにつながるモノブロック構造を採用しており、クロノグラフ操作は、ケースの2時位置と4時位置を押すとケースサイド自体が動くという「ロッカースイッチ」なる手法を使っている。しかも絶対的な機密性を保持しているので、水中でもクロノグラフ操作が可能になった。エンジニアリングの粋を集めた時計には、時刻を示す道具という本質を超えた面白さがあるのだ。

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MONOBLOC ACTUATOR
モノブロック アクチュエーター

30分と12時間の積算計を縦配列し、9時位置にはファンクションインディケーター。3時位置にはダイヤルになじませるようにブランドロゴがさりげなく入る。先端が三角形の針はGMT表示になっている。

自動巻き、Tiケース、ケース径45.5㎜、10気圧防水、48時間パワーリザーブ。92万円(税抜)

文:篠田哲生 Words:Tetsuo SHINODA

ノーブルスタイリングギャラリー
TEL:03-6277-1600

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