勝利の女神は、地元パイロットに微笑んだ

RED BULL AIR RACE CHIBA 2017で
室屋義秀選手が見事優勝

今年のレッドブル・エアレース千葉大会では、事前・当日のテレビ番組でも、現地でも、"Yoshi"という名前を聞くことがとても多かったように思う。実況解説もしかり、ライバル選手へのインタビューしかり。あちらこちらで"Yoshiが...""Yoshiは..."と話題になっている。そう、もちろんYoshiとはアジア人唯一のマスタークラスのパイロットである室屋義秀その人だ。

life_170605_RBA (1).jpgBalazs Gardi/Red Bull Content Pool

室屋選手が注目を集めるのも当然だ。昨年の千葉大会でも優勝し、今年も前節のサンディエゴ大会での優勝を引っ提げて母国大会にやってきた。期待とともにそのプレッシャーはいかほどのものだったのだろうか。

life_170605_RBA (2).jpgArmin Walcher / Red Bull Content Pool

予選日は3万5000人、決勝日には5万5000人の観客が見守るなか、予選で4位につけた室屋選手は、決勝初戦は対戦相手をわずか0.007秒上回るタイムでゴールし勝利。ラウンド・オブ・8ではペナルティを課されたものの、相手選手にもペナルティが課せられ、室屋選手がファイナル4へ進出した。

そしてファイナル4では「スーパーラップでなくてもいいので、ノーペナルティでいこう」という戦略が功を奏し、室屋選手は2年連続で千葉大会を制したのである。

life_170605_RBA (3).jpgJason Halayko/Red Bull Content Pool

室屋選手はこう語る。「前回の(優勝した)サンディエゴ戦は覚醒しているような感じがあり、自分自身でも勝てるんじゃないかという感覚がありました。ですが、今回は非常に苦しい戦いでフライトもサンディエゴほどではなく、ミスもあるなか、ラッキーで勝ち上がることができた。自分の力だけで勝ったんじゃないなと思っています」

日本の名機や伝説の航空機も飛行

2017年はスペシャルサイドアクトとして、日本の名機「零戦」と伝説の航空機「DC-3」が空を飛ぶというプロジェクトも実施された。

life_170605_RBA (4).jpgArmin Walcher / Red Bull Content Pool

「零式艦上戦闘機(零戦)」は三菱重工業が1942年に製造した零式艦上戦闘機二二型で、全長9.06メートル、全幅12メートル、重量1863キロ、最高時速540.8キロ。これは平和への思いが込められた「零戦里帰りプロジェクト」の一貫で、南太平洋のパプアニューギニアに落ちていた残骸から復元されたもの。世界に現存する4機(レプリカを除く)のうち、現在も空を飛ぶことのできる貴重な1機だという。

life_170605_RBA (5).jpgJason Halayko/Red Bull Content Pool

一方のDC-3は2008年にスイスの時計メーカー、ブライトリング社が完璧に修復した齢77歳の機体である。「ブライトリングDC-3」ワールドツアーとして、2017年3月にスイス・ジュネーブを出発し、中東、インドを経て東南アジアと、世界各地をまわりながら日本へとやってきたものである。DC-3について詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。

地元で連覇を果たした室屋選手、日本へ里帰りした零戦、1940年の機体で世界一周にチャレンジするDC-3。それぞれの夢とロマンをこれからも応援していきたい。

RED BULL AIR RACE
公式サイト:www.redbullairrace.com

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