ロータス・エランの燃料タンクを交換してみた|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1969年ロータス・エラン S4に乗るジェームス・エリオットが燃料供給系の不具合問題に着手した。



すべての始まりは、半年ほど前に『Octane』UK版の記事「Gearbox」(取材対象者のお気に入りグッズを紹介する連載企画)の取材でジョン・シミスターのもとへ向かったときだった。実際のところは、2022年11月頃から始まっていたともいえるが。スピードを上げて運転すると、燃料供給パーツに関係していそうな問題が発生している兆しがあったのだ。私は当然のように無視したのだが(後ほどわかるが、それには正当な理由がある)、数カ月間で徐々に悪化していった。そしてついには、地元で時速30マイルでのんびりドライブする(まぁいつもそうだったが)とき以外は、何らかの対策が必要になってしまった。

シミスターのお気に入りのものを撮影していると、彼は以前にエランのオーナーだったときの合金のタンクをまだ持っている、と教えてくれた。それは私が1999年から10年間を共に過ごしたイエローのS2のもののようだ。彼はガレージからタンクを引っ張り出してきてくれたが、溶接部分のひとつから少し漏れがあるかもしれない、と言っていた。きっと何とかなるだろう。

タンクをもって最初に訪れたのは、ギルフォード近郊に新しくオープンした96クラブ(96club.co.uk)の素晴らしい施設だった。ずっとマイケル・スコットのクラブのファンだったが、この施設はラリーの準備からフルレストアまで、あらゆることに対応できるワークショップ設備を完備している。最近、このクラブは非常にレベルアップしていると評判だ。正直なところ、Jotaの元メカニックで、安全装置の設計エンジニアでもあり、自動車工学の修士号も取得しているアレックス・ハーンデンのような有能な人物に、燃料タンクのチェックごときを頼むのは少し気が引けた。それでも、彼はやってくれた。というか、そんな感じだった。漏れを確認したが、現地にはアルミ溶接の機材はなかった。すると彼は、バシャッと塗りを行ってドサッと置いた。決して乱暴というわけではなく、一連の作業はとても美しかったということは付け加えておきたい。

96クラブのアレックス・ハーンデンが「新しい」タンクに漏れがないかチェック。

自宅に戻り、新しいタンクを固定用の穴へ向けて最小限の自力の「調整」をしながら、所定の位置に取り付けた。その時、横の別のソケットについた、悪名高いエランの燃料ライン(これをシャシー内で紛失すると大変だ)が、燃料ポンプから出してもあまり伸びないことがわかった。そこでクラシック・チーム・ロータスに頼み、追加のラインに加えてユニオン(結合部)、ホースカップリング、スプリングクランプなどを入手し、どうなるかわからないが追加パーツを製作した。



その後、当初の給油問題の原因と思われる新しいポンプと、クラシック・チーム・ロータス(classicteamlotus.co.uk)からも部品が届いた。以前にこれの交換をしたことがあるが、どっしりしたスクリュードライバーを使っても、大変な作業だった。エアボックスやキャブレターなどを外し、その場で分解して、バルクヘッド側のボルトを取れば、古い方を取り出すことができる。新しい方は、スターターモーターを外して下から取り付けるのが、最良の方法だ。



いま、この記事を書いてはいる。しかし恥ずかしながら、すべてが順調で燃料補給の問題も解決したかどうかを確認するためにエンジンをかけたことは、まだない。でも、まぁなんとかなるさ。

明るい話題としては、新しいノンリターンバルブのおかげで、電動キットを装着しなくてもヘッドランプが作動するようになった。これには2つの教訓がある。まずひとつは、より小規模で安価な修理から先に試すこと。ふたつ目は、シャシー・クロスメンバーが空気を保持しているということは、つまり、頑丈にできているに違いない、ということだ。万歳!


文:James Elliott

James Elliott

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