シトロエンCX生誕50周年、20台以上が集まったミーティング。まさにシトロ“縁”

Shinichi UCHIDA, Chizuko UCHIDA

日本シトロエンクラブは5月19日、シトロエンCX生誕50周年記念CCJ全国ミーティングを富士見パノラマリゾート(長野県諏訪郡富士見町)にて開催した。会場にはCXだけでなくシトロエンの主要な車達を合わせて合計75台集合した。



いま見ても新鮮なCXのデザイン


いまから50年前の1974年、シトロエンDSの後継車となるCXがデビューした。日本にも西武自動車が正規輸入をしていたので、実際に目にした、あるいは乗った方も多いのではなかろうか。しかし、1989年の生産が終了してから(ブレークは1991年)35年経過したこともあり、最近ではあまり街中でも見なくなった。今回、会場には1975年モデルという最初期の2200シュペールをはじめ、ホイールベースをおよそ25cm延長したプレステージュ、アンビュランスベースの車両などを含めCXは23台が参加し、様々なバリエーションを見ることができた。







1955年に登場したDSほどの驚きはなかったものの、CXもいまから振り返ると相当進んだデザインだったことが伺える。例えばジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたフォルクスワーゲンの初代ゴルフも同年であるし、日本車に至ってはトヨタクラウンが5代目になった年でもある。そんな中で空力を意識した流麗なデザインをまとったCXが登場したのだから、やはり相当な注目を集めたことだろう。ネーミングであるCXとは空気抵抗係数Cxからとられたと伝えられている。実際にCx=0.3という当時の車達よりも30%以上優れた値を記録していた。特にリア周りでは逆ぞりのリアウインドウやスパッと断ち切られたようなテールエンドはかなり空力に貢献していそうだ。リアウインドウは空気の流れから、雨の日でもあまり汚れないとあるオーナーは語っていたので、きれいに空気を流していることが伺われる。





それにしても、このデザインはいま見ても全く古さを感じさせない見事なものだ。手掛けたのはロベール・オプロン。シトロエン時代にはCXだけでなくGSやSMなどをデザインし、ルノーに移ってからは25やフェゴなどをデザインしたデザイナーだ。フラミニオ・ベルトーニが去った後のシトロエンデザインを28歳にて率いていったのが彼なのだ。

個性的な初期モデル


今回の参加車両で非常に魅力的だったのは冒頭に記した初期のCX2200シュペールだ。当時のオリジナルカラーであり、訴求色であったボディーカラーをまとい、インテリアもオリジナルのまま。樹脂なので白っ茶けてしまったり、割れてしまうことが多いボビン式メーターなどを包み込むメーターナセルもまるで新車かと見まがう程のコンディションだ。







発売当初は2リッターと2.2リッターの2種類からスタートしたが、その大きい方の排気量、即ち2175㏄OHVのエンジンを横置きに搭載し、そこに4速のMTが組み合わされている。出力は112HPだった。DSから受け継ぎ、GSで進化したハイドロニューマチックを搭載。当時オプションでパワーステアリングも選べたが、この個体は非装着だった。

もう1台紹介したいのは、通常のCXをベースにホイールベースを25cmストレッチしたプレステージュだ。今回は3台来場したが、そのうちの1台は初期の車だ。フランスのカロッセ、ユーリエが1976年と77年のみ手掛けており、オリジナルのレザートップをはがすと溶接の跡が残っていたという。つまりユーリエが25cm分を切り継ぎした後ということだ。その後、シトロエンのラインで製造されるようになり、それからはオリジナルのボディーによるもので切り継ぎなどはないとのこと。その一方でわずかだがルーフの高さが違っており、ユーリエは標準のCXと同じであるのに対し、シトロエンで作られた方は若干高くなっている。どうやら後席の住人からもう少しルーフを高くしてほしいという要望があったからではないかと想像する。



活動的なクラブ


このイベントの主催は日本シトロエンクラブで、1965年に創立された歴史あるクラブである。大きな特徴はオーナーズクラブではなく、シトロエンとそこにまつわる文化やつながりを愛し楽しむクラブとされ、オーナーでなくても参加できることだろう。今回のイベントのように大きなものから、地域ごとのミーティングなど積極的に活動している。また、年に2回発行される会報は内容が充実しており、まさにシトロエンという歴史と文化を伝える良き教科書といえるだろう。



今回はCX生誕50周年ということでそこにフィーチャーした原稿としたが、会場を見渡すと2CVやDSといったシトロエンといえばこれとイメージしやすい車達から、アミ8ブレーク、AXやBX、XM、そして最新型のC5Xに至るまでが集まった。そこで最も感じたのは、分け隔てない“平和な”空気感だ。年式や車格に囚われず、シトロエンというブランドと車を愛し、そこを起点として人とのつながりを大切にする。まさにクラブの見本を見たという思いだった。それこそがクラブの多くの人が口にするシトロ“縁”なのだ。














文・写真:内田俊一 写真:内田千鶴子
Words and Photography: Shunichi UCHIDA Photography: Chizuko UCHIDA

内田俊一

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