モータースポーツが持つスピード感や高級感を取り入れる時計が多いが、その先鞭を切ったのはタグ・ホイヤー。レース黎明期から計測機器を作り続け、名門チームのサポートや公式計時でF1レースを盛り上げた特別なブランドだ。
時計は時刻を表示する以外に、"計時" という役割がある。そのルーツは19世紀初頭のホースレース(競馬)にあった。貴族たちは愛馬の能力を誇るために、走行タイムを計測するシステムを作らせた。これがクロノグラフの始まりだ。やがて時代が流れると、貴族たちの興味は馬から自動車へと移った。19世紀後期にはパリで世界初の自動車レースが考案され、その熱狂は世界中へと広がっていく。その際に自動車の進化と肩を並べるようにしながら、計時システムもレベルを上げていく。
自動車レースの最高峰である「F1」では、多くの時計メーカーがチームやドライバーをサポートしている。しかし別格の扱いを受けているのが「タグ・ホイヤー」である。名門マクラーレンのドライバーをサポートし続け、アイルトン・セナとの関係も有名なタグ・ホイヤーだが、それだけで "別格" となることはない。実はタグ・ホイヤーこそ、F1の競技レベルを進化させた張本人なのだ。
タグ・ホイヤーは1971年にスクーデリア・フェラーリの公式計時を担当するようになる(当時の社名はホイヤー)。当時のスクーデリアにはニキ・ラウダやジャッキー・イクスらトップドライバーが集結していたのだが、タグ・ホイヤーの正確な計時技術によって正確な戦略を組み立てることが可能になり、他チームを圧倒。公式計時を担当した8年間でドライバーズタイトルを2回、コンストラクターズタイトルを3回獲得している。
さらに1976年にはコンピューター制御の計時システム「ACIT」を考案してレース計時に革命を起こすと、1992年にはコンピューター会社のオリベッティと組んで、F1の公式計時を担当するようになる。つまり現在のF1の計時システムは、タグ・ホイヤーの力なくして成立しなかったのだ。
F1の歴史を語る上で、タグ・ホイヤーとの協力関係を外すことはできない。だからこそ、モータースポーツウォッチの最高峰として、揺るぎない存在となれたのだ。
タグ・ホイヤー公式ページ:www.tagheuer.com
原文:篠田哲生 再編集:オクタン日本版編集部
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