人の感性で仕立て上げられる"美しさ" 愛車を「リフレッシュ」!

ここにあるランチア・デルタは見ての通り"ピカピカ"だ。ボディが丁寧に磨かれていることはさることながら、こうして全体を見たときの完成度を上げているのは、愛情を込めて仕立てあげられたディテールの美しさである。今回、愛車の「リフレッシュ」を施してみて実感したことをオクタン編集部入社2年目でクラシックカー大好きな私がそのままレポートする。

1987年 ランチア・デルタを所有してから1年半ほどが経った。普段の足として雨の日でも買い物に行くし、イベント取材のために峠道、泥道を走ることもある。正直なところ、丈夫なカバーはかけているものの屋外保管であるため湿度管理もできていない。そうこうしているうちに、どんどんとボディカラーがくすんできたし、窓には水滴によるシミができてしまっていた。オリジナルの"たこやきホイール"を気に入っているのだが、点在している小さな傷に砂が入り込んで全体的に茶色くなっていた。かつては綺麗な黒だったはずのミラーやドアハンドルも、素材の劣化によって白くなってしまっているし、割れている箇所も見られる。グリルに付いていたいくつかのバッヂも、新品のときを知らないものの色あせていることはよくわかる。

リフレッシュ前のデルタ。どこか薄汚れている感じがする。


エンジンルームといったら、インシュレーターの老朽化もひどく、なかなかの汚れようであることはよく分かっていた。インテリアについてもフロントウィンドウの手が届きにくい隙間に汚れがたまっていたり、ダッシュボードもどこか薄汚れている。すべて自分の手で綺麗にしようと試みたことはもちろんあったが、綺麗になっても"なんとなく"程度なのだ。ピカピカにして、余計だと自分では思っているステッカーやリアスポイラーをすべて取り、ナローボディの良さを全面に出すということは私の「夢」でもあった。そんな夢を叶えてくれたのが、今回"デルタ蘇り計画"をお願いした千葉ガレージである。

磨きをかけている様子。磨くと出てくる白い粉は劣化したワックスなのだそう。こうして、2〜3人がかりで完成まで向き合ってくれるのだからうれしい。
 
杉並区に位置する千葉ガレージは、知る人ぞ知る"車を蘇らせる"プロフェッショナルだ。生粋の車好きでもある千葉邦彦さんが代表を務めている。ここでは千葉さんの豊富な経験を活かして多種多様な車を取り扱っており、希少なクラシックカー、スーパーカーが入庫していることも日常茶飯事だったりするが、車種や年式に制限は当然ない。

たとえば、送迎用の車を大事な日に向けて完璧に綺麗にしたいというような場合にもおすすめだ。また、もともとは3台ほどだった作業ベイは、2020年10月に行われた改装によって6台に拡大し、シャシー裏洗浄をスムーズにするためのリフトも備えられた。これはずっと千葉さんの念願だったそうで、リフトアップされた車を見ているだけでも楽しいという。そんな現場で働く少数精鋭の職人たちは、いつ訪問してみても熱心に、自らが納得いくまで車と向き合っている。私は何度も千葉ガレージを訪れているのだが、『こんな場所にデルタのお掃除を頼んでみたい。どんなに生まれ変わることか』と常々心の中でひっそりと思っていた。千葉ガレージに頼めば、「夢」が叶うと思っていたのだ。そして、それが遂に今回実現した。
 
千葉ガレージでは、いくつかメニューが用意されている。洗車のみ、エンジンルームのみ、インテリアのみ、フルコースなど。日数でいえば、2泊3日~のものが多いが、数カ月かけられるものもある。普段の足として乗っている車を出しても大丈夫なよう、1泊2日のクイックリフレッシュも用意されている。数カ月かけるものは、徹底的にインテリアも足回りも一度すべて取り外してひとつひとつ綺麗にするというメニューだ。そして今回私は、少し特殊パターンで2泊3日という短い期間だったが、ボディ全体、エンジンルーム、ホイール、インテリアのクリーニングを行っていただいた。

エンジンルームのbefore

エンジンルームのafter


ボディにあったステッカーはすべて一度剥がし、オリジナルに準じてひとつだけ残しておくことにしたグリルバッヂ"HF 4WD"のリペイント、ボディの小さな傷のリタッチ、浮きボンネットを元に戻す&リアスポイラーの取り外しまでしていただいた。作業工程をずっと見ていたが、人間の手作業だからこそ、そして人の感性だからこそできるものばかりだと心から感じたものだ。ステッカーを剥がしてから、全体を磨いていくとボディラインがきりっとみるみるうちに浮かび上がってきて、ジョルジェット・ジウジアーロの顔が思わず浮かんでしまったほど。『そうか、彼がデザインした車は"これ"なんだ』と。

今回はクイックリフレッシュであったため、パーツは取り外さずに拭き上げなどが主な作業となったが、それだけでも普段乗る分には充分すぎるほど綺麗になる。 

劣化して白くなっていたドアノブも黒さを取り戻した。ボディとの細かな接地部分や、ウィンドウモールの隙間も手作業で丁寧に仕上げてくれる。 

 
完成に近づくにつれて凛としていく愛車の姿を見ることに大きな喜びを感じるのは当然なのだが、実際にこうして作業工程を見ている中で何よりも嬉しかったのは愛車にここまでひたむきに向き合ってくれる人がいるということだった。言ってしまえば"他人の車"であるにも関わらず、どうしたら本来の美しさを取り戻せるかと真剣に考えてくれる姿には感動すら覚える。愛情を注がれて美しく蘇ったデルタを見てみると、うっとりしてしまう。それと同時にもっと大切にしようという思いが自然と湧いてきて、さらに好きになってしまった。

汚れが蓄積していた給油口周りまでピカピカに。「見えないところこそ、綺麗にしておくのが大事」というのが千葉さんの信念でもある。 

ホイールの細かな汚れはすべてなくなっていた。そして、マフラーも新品かと思えるほど輝いている! 人間にもいえるが、後ろ姿こそ大切だったりするのだ。 

 
こうして言葉を並べてみたが、この感動はいちオーナーとして仕上がりを体感してみないと伝わらないであろうから、短期間メニューからでも一度お試しいただき、車を好きな人同士としてこの喜びを分かち合いたいものだ。




株式会社千葉ガレージ
住所:〒168-0062 東京都杉並区方南2-4-6
電話:03-5913-7170(要予約制)
参考価格:1泊2日クイックリフレッシュ
16万5000円(税込)~
https://www.facebook.com/chibagarege

文& 写真:髙野智子(本誌) Words & Photography:Tomoko TAKANO(Octane Japan )

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