富士桜高原。その地に自ら設計した別荘を建てたデザイナーがいる。なぜこの場所を選んだのか、話を伺いに訪れた。
Owner 牛建 務氏 Tsutomu USHIDATE
インテリアデザイナー。カリフォルニア・デザイン大学で工業デザイン、環境デザインを学ぶ。約20年間アメリカ・ロサンゼルスにて第一線で活躍。アメリカ建築学会賞、DDA 賞など受賞作多数。現在は日本に拠点を移し、インタースペースタイムを設立。約2年前に自ら設計を手がけたこの別荘を建築した。
求めているのは"非日常"空間
「2年くらい前かな。たまたま近くを走っていたら目の前に富士山が広がっていて、直感的にここだなと思った」
牛建さんはこの富士桜高原別荘地を選んだきっかけをそう話す。「ボクはね、標高1000mのところにいるとバイオリズムが良くなる。いつも好きで出かけていた場所も偶然同じような高地で、それをある医者に聞いてみたら、人には落ち着く気圧などがあるというからやっぱりかと」 標高1000m、富士山のふもとに約660万㎡、総区画数3830の日本最大級の別荘地が広がっている。緑が生い茂り、野鳥の鳴き声が絶えず聞こえてくる。中央自動車道の河口湖ICからクルマでわずか15分、渋滞がなければ東京からもおよそ1時間半で辿り着くことができる"非日常"空間だ。
10代でデザイン留学のために渡米、その後、ブロードウエイ、バロックス、メイカンパニーなどの大型商業施設のデザインを手がけてきた。アメリカ滞在中、いまも趣味のひとつである車に出会った。「生活の中で、唯一自分の意志でコントロールできるものが車で、時間も行きたい場所もすべて決められる。プレッシャーの多い仕事から解放される特別な空間」。これまで乗り継いた車はもう数えきれない。BMWもメルセデスもポルシェもベントレーもフェラーリもランボルギーニもすべて手に入れた。ポルシェのカップカーにスリックタイヤを履かせてサーキットを走るまでになった。
自ら設計したという細長くすらりと伸びた別荘を訪れると1 階部分にはいつもは通勤の足として使っているBMW X6が駐まっていた。奥には何やらサンダーバード2号を彷彿とさせる色をした不思議な箱が置かれている。中にはなんと納車間もないラディカルが収められていた。レーシングカーとスポーツカーの狭間を模索していたら、いつの間にかそこに辿りついたのだ。「とことんまで追求するタイプ。クルマなんて乗ってみないとわからないじゃない」と笑う。近く、この地からもほど近い富士スピードウェイに走りにいく予定だという。現在は拠点をアメリカから東京へと移し、日本をはじめアジア諸国でもデザイナーとして活躍する。そのスケジュールは4年後まで埋まっているというほどの多忙さだ。そして、少し時間ができれば息抜きのためにこの場所を訪れる。「軽井沢や八ヶ岳など、10年以上別荘地を探してきて、ようやくここに辿り着いた。軽井沢のほうが飲食店も多いしいいという人もいるがボクが求めているのはそれじゃない。あくまで非日常。そして何より富士山が目の前にある」。俳人の高浜虚子は『ホトトギス』に日本のことをこう詠んでいる「初空にうかみし富士の美まし国」。
四季折々の富士山を臨む、これ以上素晴らしいことな
ど他にないと思うのだ。
富士桜高原別荘地 富士観光開発 現地販売事務所
所在地:山梨県南都留郡 鳴沢村字富士山8545番137
TEL:0555-86-2769
1/約500坪という牛建邸の目の前に広がる富士山。四季折々の姿を眺めることができる2/映り込みを考慮しあえて斜めに設えられた鏡や二重の天井など、至るところ計算尽くめの居間 3/熱効率を計算の上リビングの真ん中に設置された薪ストーブ 4/数ある所有車のうちの1台がSTOが輸入するイギリスのラディカルSR3SL。専用設計されたガレージは、スチール製のボックスをチェーンで引き上げて開くという凝った構造。まさに大人のおもちゃ箱だ 5/飛行機にインスピレーションを受けた室内空間。非日常を感じさせる工夫が随所に盛り込まれている 6/趣味のオーディオルーム。希少な1950年代のアメリカのウエスタン・エレクトリック社製のスピーカーが覗く
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