BMW新型M5、40年の歴史を経てついに電動化へ

BMW

去る10月2日、麻布台ヒルズにあるBMWのブランド・ストア『FREUDE by BMW』にて新型M5の発表会が催された。"高性能エグゼクティブ・セダン"というカテゴリーを切り拓き、スポーティでダイナミックなモデルとして実に40年の歴史を紡いできたM5も、ついに第7世代で電動化されることになった。



4.4リッターV8ツインターボ・エンジンにM専用プラグイン・ハイブリッド・システム「M HYBRID」が組み合わせられることになったのだ。この内燃エンジンと電気モーターの組み合わせはXM譲りであり、北米IMSAシリーズのデイトナ24時間レースで成功を収め、ル・マン24時間レースなどにも参戦している新型MハイブリッドV8耐久レースカーの駆動コンセプトと同じである。



エンジン単体の最高出力は585ps(430kW)/5,600-6,500rpm、最大トルク750Nm/1,800-5,400rpm、電気モーターは最高出力197ps(145kW)、最大トルク280Nmを誇る。これによりシステム・トータル最高出力727ps(535kW)、システム・トータル最大トルク1,000Nmとなっている。ボディ下部に蓄電容量22.1kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーが搭載され、バッテリーのみでの走行は70kmとなっている。

参考までに0-100km/h加速は3.5秒、80km/h-120km/h加速は2.2秒と発表されている。車両重量2,400kgを超えるヘビーウェイトとしては、電気モーターによるアシストが絶大であることを予感させる。日本仕様にカーボンルーフが標準装備されるのは、車両重量を極力抑えようとしているBMW JAPANによる配慮だろうか?最高速度は250km/hだが、オプションの「Mドライバーズ・パッケージ」を装着すれば最高速度は305km/hまで開放される。

M5は一昨年は17万台以上、そして昨年は20万台以上が世界で販売されるほどの人気を誇っているそうだ。日本ではビジネス・オーナーや士業に人気で、必ずしもサーキットへ行かずとも、通勤や日々のM5との移動で感じられるダイナミックな走行性能、あらゆる運転状況における抜群の安定性、高精度なハンドリング性能が好まれているとのことだ。







「キャリアを自在にコントロールするオーナー像に重ね合わさる部分がある」と発表会で述べられていたことが印象的で、2002年に放映され一部で話題になった7シリーズのテレビCMを思い出してしまった。

クロスバンク型のツインターボ・エンジンはモータースポーツのシーンからフィードバックされた技術のひとつで、排気干渉を抑えながら鋭いレスポンスとスムーズで力強い加速を実現させている。BMW Mモデル専用に開発された8速Mステップトロニック・トランスミッションのハウジングには電気モーターを組み込んでいる。同社が特許取得した"プリ・ギアリング"により、コンパクトな電気モーターながら、大きく重いユニットでしか達成できないようなトルク向上を実現させている。



「電動化せざるを得ないのではなく、"未来"であり、"挑戦"であり、"広がり"である」というコメントが頼もしかった。なお、車両本体価格は1998万円で、先代M5から据え置かれている。個人的にはツーリングの登場が待ち遠しい。


文:古賀貴司(自動車王国) 写真:BMW
Words: Takashi KOGA (carkingdom) Photography: BMW

古賀貴司(自動車王国)

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