サミー・ヘイガーが所有する唯一無二のラ フェラーリがオークションに|落札者は本人の誕生日パーティーに呼ばれる可能性も!?

Barrett-Jackson

10月10日から13日にかけてアメリカ・アリゾナ州スコッツデールにて、バレットジャクソンによるオークションが開催される。“世界最大”を謳うこのオークション、毎年よくもここまで出品車両を集められるものだと感心させられる。その数、1000台は下らないのだ。オークションがメイン・イベントではあるが、開催期間中には自動車メーカー各社によるプロモーション(同乗走行の類)、音楽フェスティバル、食べ物の出店多数、そして夜な夜なパーティーが繰り広げられる。競りに参加せずとも楽しめる自動車の祭典になっている。

そんなバレットジャクソンに出品される、1台のフェラーリ・ラ フェラーリに目が留まった。ラ フェラーリは499台生産された限定車だが、これは「アヴォリオ・クリーム」と呼ばれるボディカラーをまとった世界で唯一の車両である。持ち主はサミー・ヘイガーで、サミー自身は“カプチーノ”と呼んでいる。今年始めのバレットジャクソンのオークションに出品されていたが、バッテリーが寿命で交換作業のために出品が取り消された車両である。





音楽好きであればピンと来るサミー・ヘイガーであろうが、軽くおさらいをすると1973年、アメリカ西海岸のハードロック・バンド、モントローズ(Montrose)のヴォーカリストとしてデビューした。モントローズを脱退後、1976年にソロ活動を開始し、ギターも演奏。1980年のアルバム『バイオレンスの逆襲』には、ジャーニーのスティーヴ・ペリーとニール・ショーンがゲスト参加。

1984年の『非情のハイウェイ55号 (原題: I Can't Drive 55)』では、自身のフェラーリ512BBをミュージックビデオに登場させたことで話題となった。余談ながら、邦題の「55号」は「55マイル」の間違いであることも、今となっては笑える小話になっている。1986年、ヴァン・ヘイレンのアルバム『5150』から『Balance』まで5枚のアルバムにヴォーカリストとして関わったが、1996年には脱退。またソロ活動に戻り、99年以降は、サミー・ヘイガー・アンド・ザ・ワボリタスとして活動している。

そんなサミー・ヘイガーが2015年式のラ フェラーリを出品している。2014年にマラネッロを訪れたサミー、フェラーリ本社でラ フェラーリのコンフィギュレーション(新車オーダー時の仕様決め)をしたそうだ。当初、黄色のボディカラーにストライプを入れて…等々、試行錯誤して出来上がった最終イメージを見て、そのカッコ悪さに落胆。たまたまショールームに飾られていた、1960年代のアヴェリオ・クリームをまとったフェラーリの写真に一目惚れしたそうだ。





内装の本革もクリーム色を選択し、カーボンファイバーパーツをあしらってみたところ、結果的にはサミーが所有するボンバルディア・チャレンジャー300(ラ フェラーリと一緒に映っているジェット機)のインテリアと同じに仕上がったそうだ。写真では尾翼番号が消されているが、サミーの誕生日である10月13日から「1013」が用いられている。



そう、今回のオークション最終日がサミーの誕生日なのである。サミーのラ フェラーリが競りにかけられるのは12日の土曜日で、サミーは“落札者をプライベートジェットで翌日の誕生日パーティーに連れて行こうかな”と車両紹介動画でコメント。ミュージシャンとして成功しただけでなく、飲料ブランドで巨万の富を得たサミーも今年で77歳。ラ フェラーリの性能にもはや自身の身体が追い付かない、と告白している。



運動性能に優れたスーパーカー/スポーツカーの類は、いつか買うではなく、若いうちに無理してでも買っておくべきなのだろう。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司(自動車王国)

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