『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。マークはヘヴィニングハム・コンクールに1927年式フォードモデルTで向かうが道中で車が止まってしまう…
すべてが順調に始まった。週末に行われるヘヴィニングハム・コンクールに参加するため、私はフォード・モデルTをトレーラーに積んでサフォークに向かった。コンクールには参加していなかったが、その前日に行われるツアーには参加する予定だったからだ。穏やかなサフォークの田園風景を、モデルTのエンジン音を響かせながら快調に走り抜ける。
ヘヴィニングハム・ホールの芝生の上で、ケイティ・フォレストが所有する1912年製バーカー製ボディのロールス・ロイス・シルヴァーゴースト・ツアラーの隣に車を停めていたときのことだった。ヘヴィニングハムに自家用飛行機で参加したロブとその父親がやってきて、地上での移動手段がないのでよければ乗せて行ってもらえないかと聞いてきたのだ。くじ引きの結果、ロブが私のモデルTに乗ることになり、昼食後にはゴーストに乗り換えることになった。
ツアーには、モダンなスーパーカーやハリー・メトカーフのランボルギーニエスパーダなど、多種多様な車両が参加していた。ロブと私は自分たちが一番遅い車であることを自覚していたので、後方に位置取り、ツアーをスタート。天気は晴れ渡り、モデルTの高い運転席からの眺めを楽しみながら進んだ
しかし、走り出してすぐエンジンの調子が悪いことに気づいた。点火レバーを常に最大にしていなければならず、ディストリビューターのクランプが緩んだのではないかと何度か調整のために停車した。
しかしついに、その調整も限界に達してしまった。車はまったく力を出せず、エンジンは過熱し、排気音もいつもと違う。点火タイミングがどんどん遅れているようで、ついにエンジンが完全に停止してしまった。しかしその時、ちょうど農家の前を通りかかったので、勇気を出してその家の住人に「しばらくここに駐車してもいいですか?」とお願いした。
この場所で故障してしまったことは不幸中の幸いだった。若い家主のトムとヴェロニカは、この家を最近購入して改修中とのこと。トムはアストン・V8ヴァンテージと、彼がレストアした古いフォードソンのトラクターを持っているので、すぐに意気投合。焼けつくような日差しの中でモデルTのディストリビューターを分解する気になれなかった私を、ヴェロニカが親切にも車とトレーラーを取りに行くために送迎をしてくれると言ってくれたのは本当にありがたかった。
こうして、ロブと私のツアーは終わりを迎えたが、そのおかげで田舎のフェアや飛行機のフライイン、公道でのタイムアタック、そしてコンクールなど、ヘヴィニングハムの週末を存分に楽しむことができた。特に嬉しかったのは、多くの旧友に再会できたことだ。その中には、私のモデルTを管理しているオックスフォードシャーの「Tサービス」(tservice.co.uk)のリチャード・リマーもいた。
リチャードは、私が休暇中に車を調べてくれると申し出てくれた。そして、翌週、彼がディストリビューターを外してみると、なんと2つの問題が見つかった。まず、ディストリビューターヘッドがシャフト上でずれており、これは固定ネジが十分に締まっていなかったことが原因だった。さらに、タイミングチェスト前面のスパイラルギアも緩んでいたのだ。
皮肉なことに、このディストリビューターは後付けの改造品であり、私の車で唯一1920年代フォードの純正部品ではない部分である。ヘンリー・フォードなら、この状況を見て面白がったに違いない。
文:Mark Dixon
Mark Dixon
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