ビューティフルカーライフ Vol.7
今回は新進気鋭の日本画家・小原祐介さんに、愛車フォルクスワーゲン ゴルフGTIのこと、そして日本画とカーケアの共通点について話を伺った。
日本画の道に進んだきっかけは「パレット」です。日本画受験用のパレットというのは作家それぞれが自作するのですが、予備校時代に初めて見たそれがとてもカッコ良く見えたんですね。しかしパレット作りというのは非常にコストがかかるものでして、高校時代にそれを追求していたら、日本画以外の画材に割くお金がなくなってしまったのです(笑)。
車にはまったく興味がなかったのですが、免許を取った翌日に実家のセダンでなんとなく箱根に行ってみたら「な、なんて楽しいんだ!」という感じでいきなりハマりました。最初に買った車はFD( 3 代目のマツダRX-7 )だったのですが、事故に廃車となり、大怪我を負いました。その怪我を治している期間中に僕の心も落ち着いたのでしょうか、現在の作品の主なモチーフである「草木や花」を心静かに描くようになりました。
ちょうどその頃に友人からゴルフ2のCLIを譲り受け、それが壊れてしまった際に専門店に探し出してもらったのが、現在乗っている89 年式のGTIです。購入時すでに走行距離は16 万kmで、現在は27 万kmに達していますが、本当にいい車ですね。もちろんFDのような速さはありませんが、自分の能力の範囲内で最大限楽しめるというか、そういった種類の美点があります。
ボディケアについても昔は頑張ってましたよ。近所のガソリンスタンドでしょっちゅう磨いてもらい、自分でもシュアラスターの「マンハッタンゴールド」を厚塗りして。しかし─クリア層は無限にあると勘違いしていたほど、わたしの知識が不足していたせいなのですが、とにかく磨けばいいと思い頻繁に磨いたせいで一部のクリア層が完全に削れてしまいました。以降は「気がついたら洗車する」程度にとどめています。が、海に近い場所に住んでいますので、潮風の影響でボディの状態はあまり良くないですね。
ですが本日、シュアラスターラボの青木さんに「スピリットクリーナー」で手磨きをしていただき、そのうえでシュアラスターの最上級ワックス「MASTER WORKS 」を施工していただいたところ、見違えましたね。赤が赤として、しっかり戻ってきたのです。そして驚いたのが、ワックスというのは厚塗りをする必要がなく(たっぷり塗れば塗るほど良いと思っていたのですが!)、そして余計な溶剤が入っていない上質なワックスはごく少量でもスッと伸び、拭き上げも非常にラクだということです。
自分の専門分野で言いますと、日本画の絵具というのは"分量配分"が難しいんです。岩絵具とニカワと水の最適な割合を知るまでにはかなりの試行錯誤を必要とします。しかしワックスに関しては今回、青木さんから"適切な分量"を盗むことができましたし、盗むというか、それは「少量で構わない」というシンプルなものでしたので、これからは自分でGTIに「MASTER WORKS 」を施工してあげたいと思います。そしてこの車にはできれば一生ずっとキレイなまま、時間をともにしていたいですね。
小原祐介
1978年千葉県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻日本画コース修了。色の持つ魅力を繊細な感性とセンスで新たな境地へと誘う若手日本画家。海外からの評価も高い。
文:谷津正行 Words:Masayuki TANITSU 写真:奥村純一 Photography:Junichi OKUMURA
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