フランス・ミュールーズにある世界最大規模の自動車博物館を探訪|560台コレクションのごく一部を紹介【後編】

Tomonari SAKURAI

紡績王シュルンプ兄弟によるコレクションが展示される国立自動車博物館。その後半は弟フリッツの車、特にレースへの情熱で集められたレーシングカーのコレクションを中心に紹介していく。自らブガッティType35でレースに参加していたこともあり、ブガッティのコレクションは見物だ。自動車レースの黎明期からのコレクションが、レースの歩みと共に展示されている。ブガッティが中心だがそこにはフレンチブルーのレーシングカーが並んでいる。1908年ノルマンディーのディエップで行われたグランプリ ド ACF(オートモービル クラブ ド フランス)からル・マン24時間そして現代のF1まで。

レース発祥の地、フランスの何とも深い世界。博物館となってから国立自動車博物館から一部追加された近代のレーシングマシンまでが並び、レースそのものの歴史に触れることができるのだ。

今回はとにかくその展示車両を見ていただくことにする。

スイス国境にも近いので館内はフランス語の他、ドイツ語と英語の表記がある。ちなみに、この日入場券を買うのに並んでいるとフランス語はほとんど聞こえてこない。前にいたカップルはチェコから来たと話してくれた。

シュルンプ兄弟の後に追加されたコレクションのラリーカー。グループBのフォードRS200。

1989年のコートジボワールラリーで優勝したアラン・オレイユとジル・ティモニエールのルノー5GTターボ。

ここからはレーシングカーのコレクションルームだ。

レース黎明期は車もまだガソリン車とは限らない。1902年製のSERPOLLET Type Hは蒸気機関を積んでいる。完全にレストアされロンドン-ブライトンのヴェテランカーレースに出場する準備はできているとのことだ。

ド・ディオンの単気筒1265ccエンジンを積んだフォラージュType F。1908年のモデル。

エットーレ ・ブガッティが1910年のパリサロンで発表した最初の小型レーシングカーType13。これは1921年モデル。

1908年セジール ナダーン。1908年のモデル。1490ccシングルエンジンで数多くのレースに勝利した。その後ろには1921年Ballot 3/8 LCは2973cc8気筒エンジン。その年のグランプリで2位を獲得したマシン。

手前から:1924年の冬が明けたときType35が誕生する。ちょうど100年前の出来事。Type35の成功から1931年直列8気筒のType51が誕生。アルミホイールなどを使用してシリーズ最軽量モデル1926年のType35C。

手前から:当時Type35はイスパノ・スイザH6と同様に高額だった。多くのレーサーが入手しやすいようにその半額で販売したベーシックモデルType35Aを1926年から展開する。1929年には67台だけ作られたスーパーチャージャー付きモデル37A。スーパーチャージャー(Conpressur)付きのType35”C"。

1927年のアミルカー。この車でF1やル・マンで活躍する前にモーリス・トランティニアンがこのアミルカーで21歳の誕生日を優勝で飾った。

パナール・エ・ルバッソール X41 1925年。

ここからはフランス車以外のレーシングカーも並ぶ。パナール・エ・ルバッソール X41 1925年。

戦前のメルセデスベンツW125とW154。

1949年のタルボGP26C。フランスグランプリの優勝車。

フェラーリF2 500/625とゴルディーニ GP Type 16。

マセラティ300S 。

1954年トリノサロンで発表されたスペインのペガソ Z 102B。1964年シュルンプ兄弟は8台を購入した。当時86台製造されたモデルだが現存するのは世界でも20台余りという。その中の一台がここに展示されている。

ローランド ・ブガッティが指揮して1955年に作られたブガッティ唯一のシングルシーターのグランプリマシン。このType251は、最初のリアエンジン搭載のF1シングルシーターとして歴史に名を刻んでいる。

フロントエンジンのマシンでル・マン24時間で勝利することに限界を感じ、そこから誕生した250の市販バージョンがこの250LM。

1950年のシムカ-ゴルディニ 15S、ル・マン24時間に挑戦した。当時のゴルディニでは珍しくクローズドボディ。

戦前のシムカ-ゴルディニの二台。Type8とType5。

スイスのスクーデリア・フィリピネッティの購入したロータス24と映画「グランプリ」でジム・クラークが乗ったロータス33。

アラン・プロストの駆ったウィリアムズFW15C。

クライマックスエンジンを初めて積んだロータスType18。

運命を決めたゴルディーニ24S。1957年のキューバグランプリでデビューするもスタートできず。その後ル・マンではバルブにトラブルが発生しリタイア。その後アメデ・ゴルディニはルノーとの提携を決意した。

300SLでスターリング・モスはミッレミリアを征する。しかしこの年、ル・マン24時間で大事故を起こしてメルセデス・ベンツはレース活動を休止することとなる。1955年のことだ。

このポルシェ908LHは1968と72年ル・マンを走り、71年には栄光のルマンで脇役として登場した。

1978年のル・マン24時間で2位になったルノーアルピーヌA442A。ジャン=ピエール・ジャリエとデレック・ベルによってドライブされた。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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