共鳴する革新性とエンジニアリング

新進気鋭の時計ブランド「ロジェ・デュブイ」は、世界的な名門企業たちとパートナーシップを組んでいる。両者に共通するのは、革新性とエンジニアリングへの探求心。あくなき前進が新たなメカニズムや素材を作り出し、見たことのない時計が生まれるのだ。

機械式時計の基本構造は約400年前に完成したといわれる。しかしスマートフォンの時代に入ると、時計の存在意義が"実用品"から"贅沢な嗜好品"へと変化する。その結果、旧態依然とした時計業界に、新しい進化のベクトルが見え始めた。表現力を磨き、所有する喜びを高めるのだ。

Excalivr SpiderAventador S エクスカリバー スパイダーアヴェンタドール S

ムーブメントもケースもスケルトン構造になっている大胆不敵なモデル。時計精度を司る脱進機というパーツ群を、二つ搭載し、しかも斜めに配置するという驚異のメカニズムを提案。車のエンジンを思わせる構造美も一見の価値がある。ケース素材は車体にも使われる、軽くて頑強な特殊カーボンを採用する。世界限定88本。手巻き、C-SMC カーボンケース、ケース径45㎜。2310万円(税抜)

ロジェ・デュブイは、1995年に創業したスイスの時計ブランド。星形のスケルトンムーブメントやトゥールビヨンに代表される複雑機構を得意とする技巧派だが、創業数百年という老舗が多い業界ゆえに、どうしても"新興ブランド"という扱いになってしまう。しかしそれを逆に利用して、歴史と伝統にとらわれない時計作りに邁進している。

Excalivr Spider Pirelli-Double flying tourbillon  エクスカリバー スパイダー ピレリダブルフライング トゥールビヨン

通常なら一つでも十分に凄い「フライングトゥールビヨン(下から支えているため、飛んでいるように見える)」を二つも搭載。しかもムーブメントのブリッジは星形にデザインされ、繊細さの中に最高峰の時計技術が詰まっている。このモデルのストラップは、2017年のモナコGPにて優勝したS・ベッテルが、実際に使用したもの。世界限定8本。手巻き、Ti ケース、ケース径47㎜。3635万円(税抜)

近年力を入れているのは、モータースポーツとの密接な関係。時計とモータースポーツの関係は深いが、ロジェ・デュブイの場合は組み方が独特である。例えばランボルギーニとのパートナーシップでは、互いのエンジニアやデザイナーを交流させ、車体に使われるC-SMCカーボンをケース素材に使ったり、ランボルギーニのデザインコードを時計に落としこんだりと、哲学の部分から共有しあっている。ピレリとのパートナーシップでは、実際にF1レースにて使用された優勝タイヤを加工して、ラバーストラップを製作している。そして時計の色は、使用したタイヤの色(ハードは青、スーパーソフトは赤など)に合わせている。こういった意外性がありつつも、ファンの興味を刺激するツボをついたパートナーシップに力を入れているのだ。

せっかくのパートナーシップを、単なるロゴの貸し借りで終わらせては意味がない。両者に共通する哲学が響きあうことで、新しいデザインや機構が見えてくる。そのシナジー効果こそが、ロジェ・デュブイをさらなる高みに押し上げるのだ。

文:篠田哲生 Words:Tetsuo SHINODA 問ロジェ・デュブイ TEL:03-4461-8040 www.rogerdubuis.com/ja/

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