美しきカルチャーの世界へと誘う│Chantilly Arts & Elégance Richard Mille

Photography: Kazuhiro NANYO

2年に1度の開催に時期が変更された、フランスのシャンティイ城を舞台とする特別なイベント。クラシックカーの数々が並ぶが、ここではアートとの融合が重要なポイントとされる。様々なパフォーマンスで、来場者を美しきカルチャーの世界へと誘うのだ。

第5回目を迎えたシャンティイ アート&エレガンス リシャール・ミルは、例年の9月1週目の週末から、隔年の6月末または7月1週目へと時期を切り替えての開催となった。
 
この変更は、同じく隔年開催のル・マン・クラシックも主催するピーター・オートが、奇数年に静的イベントであるシャンティイを、偶数年に動的なサーキット・イベントであるル・マン・クラシックを配するという、年間スケジュールの調整をおこなったためだ。9月早々のフランスでの新学期・新年度の始まりを避けるという意味合いもあろうが、カリフォルニアのペブルビーチや英国のコンクールズ・オブ・エレガンスといったアングロサクソン圏でのイベントとカレンダー上の重複を避ける意味合いもあるだろう。


 
日曜の一日のみのイベントで、ドメーヌ・ドゥ・シャンティイを舞台に繰り広げられるコンクール・デレガンスと、43 のオーナーズ・クラブによるガーデン・パーティという、メインのプログラムに変わりはない。ちなみに当日はF1 ハンガリーGP 決勝だったというのに、ピクニックの優雅さを競い合う各クラブの間を、自ら電気カートのステアリングを握って、FIA 会長のジャン・トッド本人が審査員として巡回していた。このシャンティイのコンクール・デレガンスならではの、本気にしてユーモラスな光景だ。


 
一方で自動車メーカーの展示のみならず、フランスを代表するライフスタイル・ブランドの協賛も増えている。ベスト・オブ・ショーもヒストリックカーだけでなく、各メーカーの最新コンセプトカーから選ぶ部門もある。ベスト賞こそマクラーレンのスピードテイルに譲ったものの、VW が手掛けるMEBプラットフォームを用いつつ"バハバグ"を思わせるEV 、"VW ID. バギー"は、観客の投票による賞を獲得した。EVだからという理由ではなく、EV 時代ゆえデザインの自由度や少量生産に対応しやすくなることで、開放的な2シーターオープンのような特殊ボディが実現味を帯びるという、カロッツェリア文化の新しい在り方やポテンシャルが注目されたのだ。


 
100周年を迎えたベントレーや110 周年のブガッティとともに、もうひとつ注目された記念展示は、F1制覇から50年目を迎えたマトラだった。F1へのアプローチとなったF3マシンのMS5から、1969年のチャンピオン・マシンたるMS80、そして不遇の4WD F1マシンだったMS84 、MS120Cまで、レーシングカーが9台も集まった。たった数年のうちに葉巻型フォーミュラから洗練されたウィングカーにまで発展したマトラならではの、強烈な進化の速さにあらためて驚嘆させられる展示内容だった。



今年もコンクールにおける各部門の受賞車とオーナーは噴水広場における「名誉の周回」が許され、さらに各ベストの車にはステージ上でオレンジ色の紙吹雪に包まれる栄誉に浴した。この表彰式に先立って恒例の馬術スペクタクルも行われたのだが、今年はなんと、自動車の祖先である、馬車10数台によるデモンストレーションが繰り広げられた。1頭立ての軽馬車から2頭立てのフェートン、6頭立ての乗り合い馬車まで、何十頭もの馬を同時に使ったスペクタクルは、馬術の街であるシャンティイでしかありえない。



冠スポンサーでイベントのコンセプターであるリシャール・ミルは、公式プログラムの序文でこう述べている。「通勤や買物、通院など必要のため車で走る距離と、新しい発見やバカンス、社交といった蕩尽のため走る距離は、自ずと性質は異なるものの、後者は私たちに絶対必要なもの。シャンティイを訪れるのも後者の時間を過ごすためで、そうした移動とスピードを担う乗り物としての車に是非、想いを馳せていただきたい」

写真・文/ 南陽一浩 Words and Photography: Kazuhiro NANYO 取材協力/Peter Auto URL: www.chantillyartetelegance.com/

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