B&B Italia Sustainable interview #1 美術家 ミヤケマイ|テクノロジーと上手に付き合い、 持続可能な社会を作る

昨今、より強く訴えかけられている“サステナブル”という合言葉。ご存知の通り、環境・社会・経済の観点から持続可能な世の中を創り出していくという考え方である。 しかし、ただ環境に配慮すればいいということではない。ライフスタイルにこだわりを持ち、あらゆる面で充実したプロダクトと歩んでいくことが、真のサステナブルと言えるだろう。
 
イタリアの家具ブランドB&B Italiaもまた、その責任を果たすべく取り組んでいる企業の一つだ。耐用年数を迎えた際にそれぞれのパーツを分解し、環境に配慮した廃棄処分ができる仕組みが、新作のOutdoor Collectionでも採用されている。
 
このインタビューシリーズでは、サステナブル精神のもとものづくりを行う3名の人物に持続可能な社会についての考え方を伺い、B&B Italiaのプロダクトと共に紐解いていく。



「私たちはモノがあふれる時代に生きています。しかし、だからかもしれませんが不必要なモノを手に入れるのは好きではない。必要なもの、そこにしか存在しえないモノを大切にしたいのです」と語るのは、美術家のミヤケマイさん。だから彼女は古い素材など、“そこにあるモノ”を使って、“そこでしか成り立たない作品”を作る。

「例えば、その作品がどこに展示されるのか? 私にとってはそれがインスピレーションの源になります。例えば銀座にあるSHISEIDO THE STOREのウインドウギャラリーは、私がアートディレクターとして携わった仕事ですが、街と社会に密接にかかわる場所なので、リアルなメッセージを街に発信することを考えました」

ミヤケマイさんが大切にしているメッセージの一つが“サステナブル”。SHISEIDO THE STOREのウインドウギャラリーでは使い古された金属製の生活道具や廃材で作品を作るアーティストを起用し、また自身の作品でも、伝統的な日本美術に環境変化に対応した現代的な感性を取り入れる。

ミヤケマイ
美術家。日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自の物事の本質を問う作品を制作。
過去と現在、未来までをシームレスにつなげながら
骨董、工芸、現代アート、デザイン、建築、プロダクト、文学など既存のジャンルを超えて活動している。
金沢21世紀美術館、大分県立美術館(OPAM)などで展示。
メゾンエルメスやイタリア文化会館などでインスタレーションを手掛ける。
京都芸術大学特任教授も務める。
http://www.maimiyake.com/



「日本の文化は、四季以上に細かく自然の移り変わりを意識し、日本美術もそれに大きく影響されています。例えば雨の表現ひとつとっても、時期によって異なります。しかし年々気温が上昇している状況を考えると、変化していく季節に合わせて新しい取り組みは必至なのではないかと考えています。私は掛け軸の作品が多く作っていますが、そもそも掛け軸というのは日本の湿度の中でまっすぐにかかるように計算されています。だから本来は冷房環境ではなく、窓を開けて空気を入れて暮らす必要があるのです。しかし、実際問題として、猛暑の中ではできない場合も多々あります。その為、守ることだけが日本文化ではなく、多くの職人と交流し、素材を選び、そこから新しい芸術を探し出すことも大切な気がしているのです。様々な新しい技術や素材を、時代や環境の変化に対してフレキシブルに対応し、変化しながらクリエイティブに乗り越えていくことは、私は嫌いではないです」

変化せず、完璧を求めることが正しいわけではない。むしろ変化する環境に合わせられる文化だけが、持続可能なのかもしれない。



作品:足柄山(2017年作)
工芸の作家が制作した作品と軸先からインスピレーションを得て、ミヤケさんが作品を作るというユニークなプロジェクト。
文化出版局の雑誌『ミセス』にて〈クロヤギ シロヤギ通信〉として連載された。

 
「サステナブルという考え方は、東洋的思想に近しいですよね。東洋には、“我(われ)”という概念があります。我には、“わたし”という意味もあれば、“あなた”という意味もある。つまり自分と他人がシームレスにつながっているということであり、自分だけ良ければそれでいいということにはならない。これは自然との付き合いにも通じるのではないでしょうか? 西洋文化では、家やコミュニティーは外の人やもの(自然)から自分たちを守るという発想があります。しかし日本の場合は、他者も自然も“お互い様”の関係でいられる。これは日本の住まいの考え方にも近いのです。湿気の多い日本では、雨風をしのぐ天井は重視したものの、壁に対する意識が薄かった。外からは、虫の音や人の声も聞こえてくる。内と外の関係は極めてシームレスなのです」

日本人は自然と共に暮らし、外と中をシームレスに繋いできた。縁側や障子はその象徴であろう。



外と中をシームレスに繋ぐのは、B&B Italiaも得意とするところだ。2020年の新作アウトドア家具 Hybrid(ハイブリッド)は、巨匠アントニオ・チッテリオがデザイン。ボリューム感のあるクッションによって構成される家具は、一見すると屋内用に見える。しかし特別な素材によってアウトドア仕様になっており、家の内と外をハイブリッドしているのだ。しかも完全に分解できて、最適な形で処分できるように環境にも配慮されている。


家具:B&B Italia Hybrid(ハイブリッド)
アントニオ・チッテリオが手掛けたアウトドア家具で、ボリューム感のあるマットレスを
質感の良いファブリックで包み込むことで、やさしさ手触りと座り心地のよさを実現。
屋内家具のようなデザインにすることで、内と外をシームレスにつなぎ合わせることから、Hybridと命名された。
自然の色彩との調和を演出したテキスタイル。
2種の奥行きと8つの幅サイズ、そしてアームレストやバックレストの高さも2種類あり。
豊富なコレクションから好みの組み合わせを作り出す。




「この家具のデザインもファブリックのテクスチャーも、屋内用の家具にしか思えません。家具は機能も大切ですが、趣味性や快適性も大切です。伝統を守ることだけでなく、新しい技術革新によって素晴らしいモノが生まれるということは、いいことだと思います。天然素材が素晴らしいと思われがちですが、技術によっては天然素材よりも扱いが簡単で自然に優しい素材も作ることもできる。現代の技術を生かして、自然や人類のための製品を作れたらいいですよね。このHybridという家具は家の内と外をシームレスに繋ぐ存在です。そのためにも外の環境が崩れてしまったらシームレスには繋がれません。日本は環境に恵まれているため実感しにくいのですが、水や空気、気候、疫病などを心配しなくてよい暮らしは、とても健全で贅沢な世界です。いまは、それを守ることが大切なのです」

中と外、自然と自分をシームレスに結びつけるには、よりよい環境が求められる。サステナブルな社会を作るということは、日本人が日本人らしく暮らすということでもあるのだ。

文:篠田哲生 写真:yunkmr Words:Tetsuo SHINODA Images:yunkmr


【B&B Italia Outdoor Collection 2020 展示について】
本記事で登場した「ハイブリット」を含むB&B Italia Outdoor Collection 2020は、2020年6月26日〜7月28日までの期間、B&B Italia Tokyoショールームにて実物を確認することができる。また、実店舗のみならず、バーチャルショールームでも見学することができるので、公式ホームページよりゆっくりお楽しみいただきたい

B&B Italia Tokyo
〒107-0061 東京都港区北青山2丁目5−8青山 OM-SQUARE1,3F
営業時間:11:00 ~ 18:00
定休日:水曜
事前予約制:ご来店予約はこちらから
Tel:0120-595-591
Mail:info@bebitalia.co.jp  
※新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から予約制でご案内中

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