B&B Italia Sustainable interview #3 プロダクトデザイナー 深澤直人|一生付き合える製品を作る それがデザイナーの役目である。

昨今、より強く訴えかけられている“サステナブル”という合言葉。ご存知の通り、環境・社会・経済の観点から持続可能な世の中を創り出していくという考え方である。 しかし、ただ環境に配慮すればいいということではない。ライフスタイルにこだわりを持ち、あらゆる面で充実したプロダクトと歩んでいくことが、真のサステナブルと言えるだろう。
 
イタリアの家具ブランドB&B Italiaもまた、その責任を果たすべく取り組んでいる企業の一つだ。耐用年数を迎えた際にそれぞれのパーツを分解し、環境に配慮した廃棄処分ができる仕組みが、新作のOutdoor Collectionでも採用されている。

このインタビューシリーズでは、サステナブル精神のもとものづくりを行う3名の人物に持続可能な社会についての考え方を伺い、B&B Italiaのプロダクトと共に紐解いていく。



環境にやさしい家具とは何だろうか? 自然由来の素材を使ったり、廃棄処分しやすい素材を使ったりすることも大切かもしれない。しかしデザイナーに求められるのは、“いつまでも使ってもらえる製品”を作ることに他ならない。

「例えば汚れて魅力がなくなったり、飽きて愛着がなくなったりして家具を廃棄されてしまう。それは環境に対して悪影響をもたらすことになるでしょう。使うほどに愛着が増えていく家具をデザインすること。それこそがデザイナーが可能な、最もサステナブルなことだと思います。それに一生愛していける家具であれば、高価であってもその価値はあると思います」と深澤さんは断言する。


深澤直人
1956年生まれ。国内企業でデザイナーとして活動したのち、1989年に渡米して、
世界的デザインファーム「IDEO」に加入。
1996年に帰国してIDEO東京オフィスを立ち上げ、2003年に独立。
現在は大学教授や無印良品のデザイン・アドバイザリー・ボードメンバーなど、多方面で活躍している。
https://naotofukasawa.com/


“イタリアンデザイン”と聞くと、華やかな発色や独創的なフォルムなど、個性の強いモノを想像しがちだ。特に自動車業界では、そういった印象が強いだろう。しかしB&B Italiaでは、デザイナーと開発部門がコミュニケーションをとりながら素材や構造を研究することで常に新しい挑戦を行っている一方で、家具のデザインはシックで落ちついたものが多く、長く使っていけるのだ。


「Ayana(アヤナ)」
天然のチーク材を使用したアウトドア家具。
無塗装なので、徐々に変化する木の質感も楽しめる。
木製ピンのみで組み合わせているため、破損しにくくなっているのも特徴だ。
家具のバリエーションは、ソファやアームチェア、テーブルなど豊富に揃う。


「これまでの技術は、“古くならないこと”に力を注いできました。しかし時間の経過と共にモノが朽ちていくのは当然のこと。むしろ経年変化することで、よりリッチに、より魅力的になること。それが求められているのではないでしょうか」そのような考え方が投影されているのが、自身がデザインしたB&B Italiaの新作アウトドア家具コレクション「Ayana(アヤナ)」である。

「Ayana アームチェア」
正面のみならず、シート後ろの構造美も見どころだ。


「Ayanaは、天然のチーク材を主役にしています。本来あれば隠れてしまう構造や木質をむき出しにしているので、経年で木の風合いが変化していきますが、これは過去にデザインしたチーク製のベンチ『チチカカ』での経験が生きました。丸棒を使って構造を見せるように作るのは、コスト面や製造工程の難しさから、背面の丸棒は当初反対されました。丸棒の太さに関しては、木の太さが繊細さと強度を両立させるポイントなので、理想の太さや長さを探し出すために、現場で加工しながら進めていきました」


「Ayana ソファ」
木製フレームでありながら軽やかさと強度を両立させている。
魅力ある柄のファブリックが、家具にさらなる個性を加えている。


チーク材は強い耐湿性があり、油成分を内包しているため、アウトドア家具には理想的な素材。しかもAyanaのソファやアームチェアは、木と木の接合部分に木製ピンのみを使用しているため、より自然の風雨にも強くなっている。丸棒が組み合わさる姿は、まるで古代の木造建築のよう。アジア的でありながら、北欧のエッセンスも加わった無国籍な空気感が、逆に様々なテイストや空間に馴染むのだ。しかもシックな色合いのファブリックは、柄を華やかにすることで空間にアクセントを加える。すべてを統一させるのではなく、ちょっとしたズレを重ねておくことでリッチなアウトドアリビングを作り出すのだ。

 

「Ayana ダイニングテーブル」
天板には、天然石のサーペンタインを使用。
耐久性が高い素材で、独特の荒々しい質感で存在感を作る。


「高温多湿で雨も多い日本の気候ですと、アウトドアリビングはちょっと難しいところもありますが、世界では屋外と屋内の中間領域を楽しもうという考えがあります。アウトドア=キャンプではありません。外でくつろぐ時間が大切なのです。例えばイタリアでも夕方になると、そこからはプライベートタイムであり、軽めのお酒と軽食を楽しむアペリティーボなどを楽しみますよね。そういった”くつろぎの場”としてアウドアリビングがあるのです。外の空気が流れてくる空間で過ごすというライフスタイルは、日本でもこれからもっと広がっていくでしょう」

これからの家具デザインは、屋内用だからとか、屋外用だからという考え方は薄まっていくかもしれない。もちろん素材や強度などは、用途ごとに対応しなければいけないだろう。しかし、暮らしの場としてのリビングが、屋内と屋外の中間にまで拡大していくことは間違いなさそうだ。

木製フレームの経験変化を楽しめる「Ayana」は、暮らしの幅を広げ、心地よい時間を提供し、人生を豊かにするパートナーとして、長く愛していきたい家具である。それこそが“サステナブルな暮らし”を作るのだ。
 
文:篠田哲生 写真:浦野大輔 Words:Tetsuo SHINODA Images:Daisuke URANO


【B&B Italia Outdoor Collection 2020 展示について】
本記事で登場した「ハイブリット」を含むB&B Italia Outdoor Collection 2020は、2020年6月26日〜7月28日までの期間、B&B Italia Tokyoショールームにて実物を確認することができる。また、実店舗のみならず、バーチャルショールームでも見学することができる。ぜひともゆっくりお楽しみいただきたい

B&B Italia Tokyo
〒107-0061 東京都港区北青山2丁目5−8青山 OM-SQUARE1,3F
営業時間:11:00 ~ 18:00
定休日:水曜
事前予約制:ご来店予約はこちらから
Tel:0120-595-591
Mail:info@bebitalia.co.jp  
※新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から予約制でご案内中
 
 
 
 
 

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