2017年8月中旬に米国カリフォルニア州モンタレーで開催された自動車の祭典「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」にて、1台の車が大きな注目を集めていた。日産が海外で展開している高級車ブランド「インフィニティ」が発表したコンセプトカー「プロトタイプ9」である。
芝生の上に置かれたオープンホイールの車は、一見すると1930年代から40年代にかけて活躍したグランプリ・レースカーのように見える。しかし、「プロトタイプ9」と名付けられたこの車のパワートレインは電動モーター。紛れもなく現代の車である。
プロトタイプ9のコンセプトは「1940年代にインフィニティがグランプリ・レースカーを作っていたとしたら、どのような車だっただろう」というもの。パワートレイン以外の部分は、とことんクラシカルなディテールがこだわり抜かれている。
サスペンションはリーフスプリングで、フロントがリーディング・アーム式リジッド・アクスル、リアはド・ディオン・アクスル。
センターロック式のワイヤホイールには、薄いバイアスタイヤ。ブレーキは4輪ともドラム式だ。
フロントウィンドウは無く、小さなウィンドシールドが装着されているのみ。
車名の数字「9」は、インフィニティのモデル名に冠されるアルファベット「Q」にちなんでいる。
単座のコクピットには、簡素なシートとミニマムなスイッチ類。メーターがステアリングホイール中央に配置されたデザインが極めてユニークだ。
メーターが日本語表記であるところにも注目したい。
シフトレバーは「停止」「前進」「後退」のみ。電気自動車に複雑なトランスミッションは存在しないのだ。
ボディパネルの製法も、往年のレーシングカーと同じ、職人による叩き出しだ。
グリルやボンネットマスコットにだけ、インフィニティらしい高級車のディテールが与えられた。
プロトタイプ 9に搭載されたモーターの最高出力は150psで、最大トルクは32.6kgm。後輪駆動で、0-100km/h加速5.5秒、最高速度170km/hというスペックだ。走行シーンは動画で見ることが出来るので、気になる方はご覧いただきたい。
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