ヴィンテージブームが続くパリの人気イベント「Salon de Vintage」を訪問

Tomonari SAKURAI

ますは前回のガソリンの続報。フランス全土でガソリンが枯渇しているのはウクライナとロシアの戦争のせいだと思い込んでいた国民がいる。ちょっと調べれば近隣諸国ではそんなトラブルはないことがわかる。9月の下旬からフランス各地の製油所で大規模なストライキが始まっていたのだ。僕もこのころは日本にいて、フランスに帰国するとトレーラーのストライキのニュースが飛び込んできた。だが、そのころはまだ甘く見ていた。ところが根は深く、賃上げとボーナスを要求していたのだ。

収拾を図ろうと国も仲介に入りそれらの要求を認めさせたといわれるが、賃金を上げた分は価格に上乗せがくる。企業の利益のために国が加担したという見方もあって、国民も政府の対応に不満をもつ。結局、未だに収拾が見られず国民の生活が脅かされていることから、国は労働者を“徴用”する事態に。ストライキ中の労働者を国が無理矢理働かせるということで、「労働者のストライキの権利を奪った」とさらにストライキが発生。まったく先が見えない。

元々ガソリンの価格が高いBPは、今のところ在庫があれば1リッター3ユーロ(約440円)で販売を開始している。それでも長蛇の列になっている。

そんな中、10月18日火曜日は併せて鉄道やバスがストライキに突入するという。もう“車趣味”などと平和なことは言っていられないような、恐ろしい事態がまだまだ続くようだ。

サロン・ド・ヴィンテージ、ここパリでは“パリ デザイン タンプル”と名付けられている。ここがタンプル通りにあるからだ。

気を取り直して、パリ市内のイベントを覗くことにした。以前にも紹介した「Salon de Vintage(サロン・ド・ヴィンテージ)」だ。パリのマレ地区にあるカロー デュ タンプル。中世から市場だった所に19世紀にガラスとレンガと鉄骨で建てられた衣料品の市場で、現在はパリの文化センターとしてイベントや展示に使用されている。今回で25回目を迎えるヴィンテージをテーマにしたこのイベントは、年に数回行われているほど人気のイベントとなっている。現在ではパリだけでなく、レンヌやミシュランのクレルモンフェランとフランスの各地のほか、ルクセンブルグなどフランス国外でも開催されるまでになった。

中世からの市場が19世紀に建築家アーネスト・ルグランとジュール・ド・メリンドールによってパビリオンとなったカロー デュ タンプル。

フランスではレコードをヴィニールという。新譜もLPレコードで出てくるほどのレコードブームが到来中。ヴィンテージはさらに盛り上がる。

ヴィンテージをテーマにしているということで、このイベントでは家具、モード、アクセサリーやレコードが並ぶほか、ヴィンテージカーも参加している。前回は、興味のありそうな来場者を捕まえては運転席に座らせたりと、走行こそしないものの楽しげな場となっていた。今回はどんな車が登場するか楽しみに出かけてみたのだ。しかし、今回は4台が整列して並べられているだけでちょっと寂しい空間になっていた。

1970年代のカブリオレでそろえた4台。ワクワクさせる車というよりは、価格も現実的な実際に楽しめるセレクトといったところだろう。安心の1年間の保証付きということだ。

1975年VW COX1600、71年プジョー304、72年トライアンフ スピットファイアと、価格も日本の感覚でいうと200万円前後で購入できる現実的なヴィンテージカーのセレクトだ。

やはり、古着のコーナーが活気がある。落ち着いた家具のコーナーでも、ソファーの買い手が決まったり、今日はアレが売れただの景気のいい話が聞こえてくる。まだまだヴィンテージブームは続いていきそうだ。

ヴィンテージなモードがやっぱり人気。

モダン家具も好調で、グイグイ来ている様子。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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