個性派1000馬力のムルティプラから最新EVまで!パリモーターショーを賑わせた車たち

Tomonari SAKURAI

MONDIAL DE L’AUTO。パリサロンとも呼ばれるパリモーターショーが2018年以来4年ぶりの開催となった。とはいえ、日本だけでなくドイツからも出展のない異例ともいえる開催。足を運んでみると、あと数年でパリをはじめとする大都市で電気自動車以外の走行が禁止ということもあり、モーターショーというよりも電気自動車の見本市ともいえる様相だった。いま、電気自動車で力をつけてきている中国やベトナムなどのメーカーがここぞと展開している。モーターショー会場に足を踏み入れても、見慣れないブランドばかりで異次元の世界に迷い込んだと思うほどだ。とはいえ、平日の午前中でも凄い入場者の数である。

4年ぶりの開催となるMONDIAL DE L’AUTO。

その見慣れないアジアのブランドに立ち向かうというわけではないだろうが、MADE IN FRANCEのブースが設けられ、フランス製の電気自動車関連もアピールされていた。電気自動車を作る小さなフランスの企業を盛り上げるべく新しいレースを開催する。2023年9月に開催予定のeCup200がそれで、ミシュランなどのフランス企業を取り込んで盛り上げていくという。

そんな電気一色の中、なんとなくガソリンの臭いがする一角が。このために集められたフェラーリ296GTB、SF90そして458アペルタなど珠玉の16台。この一角はペルスーネージュ財団のもので、このブースに入るには5ユーロの入場料がかかる。この入場料は、心理的障害を受けた子どもやその家族を支援するために寄付される。そんなチャリティーのブースが今回のパリサロンに登場している。

ペルスーネージュ財団のブース。寄付を集めるために、コレクターの協力を受けて実現したチャリティーのブースだ。

不参加の大手ブランドもあるなかで、地元フランスのメーカーはもちろん健在。電気自動車をアピールするも、現行モデルなども展示してなんとなく見慣れたホッとするエリアでもある。今まではルノーの一角を使っていたアルピーヌも、独立して大きなブースを構えている。

ル・マン制覇を目指し登場したプジョー9X8。今年のル・マンには間に合わずWEC第4戦から参戦し、第5戦の富士では4位と5位に入っている。

800馬力を超える100%電気のコンセプトカーDS E-TENSE PERFORMANCE。

アルピーヌが今回発表したコンセプトカー「アルペングロ」。OC_salon_017.jpg:山に朝日や夕日を受けて赤く染まるという意味のネーミングから、イルミネーションもイメージカラーの青とその赤が使用されている。

アルピーヌのもう一台A110R。

賑わうそれらのブースに負けず劣らず大きなブースを構え、賑わっているブースがあった。ワイドボディにウィングの付いた派手なフィアット・ムルティプラがある。このムルティプラは、クラウドファウンディングでなんと1億円以上を得て1000馬力のムルティプラを作ろうというプロジェクトで完成した車両だ。これを企画したのは二人のYou Tuberだ。Vilebrequin(クランクシャフトの意味)というチャンネルで、200万人を超えるチャンネル登録者数を誇る。「オイルなしで車はどれだけ走るか」など馬鹿馬鹿しい話から、このような1000馬力を超えるムルティプラまでも作ってしまう人気のチャンネルで。憲兵隊やメーカーも協力するほどの影響力のあるものになっている。ここでは登場した車両を並べたり、なんとグッズ販売は列ができるほどの人気ぶり。You Tuberのブースがメーカーのブースと肩を並べる時代なのだ。

1000馬力のユニットを積んだフィアット・ムルティプラ。

有名ブランドの出展がなく、今はだ名の知られていないアジアの電動自動車メーカーが席巻したパリサロン。あと数年で、街を走る車が今この場所と同じ新興ブランドによって塗り替えられるのでは?というのは意外に笑い話では済まされないかもしれない。新時代の幕開けかもしれない、そんな感じのするパリモーターショーであった。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

Tomonari SAKURAI

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事