新旧ポルシェ618台がポルシェ・エクスペリエンスセンター東京に集う|PORSCHE FESTIVAL 2023

Porsche Japan

2023年6月3日(土)から4日(日)の2日間、ポルシェジャパンはポルシェのスポーツカー生誕75周年を記念し、“ハウスオブポルシェ”をテーマにアジア最大のポルシェコミュニティイベント「ポルシェフェスティバル」を開催した。新型車のジャパンプレミアやポルシェガレージをはじめ、本国のミュージアムからやってきた特別車両の展示やゲストパフォーマーによるライブなど、盛りだくさんのコンテンツで彩り、雨にも負けず成功裏に終わった。



1948年6月8日、当時の戦火を避けて故郷のドイツ・シュトゥットガルトからの疎開先であったオーストリアのグミュントの地で、「ポルシェ356 No.1ロードスター」が誕生した。それはポルシェAGの創始者であるフェルディナント・ポルシェの長男フェリー・ポルシェが設計したポルシェ初のスポーツカーだった。それから、ちょうど75年が経過した2023年6月3日と4日の両日、ポルシェジャパンは、ポルシェのスポーツカー生誕75周年を記念したアジア最大のコミュニティイベント「ポルシェフェスティバル」をポルシェ・エクスペリエンスセンター東京にて開催した。

イベント前日の6月2日は、全国的な大雨や台風 2号の影響もあり、東京から木更津に直結する東京湾アクアラインをはじめ、各地で高速道路が通行止めになるなど、開催があやぶまれるほどの天候となった。

実際に遠方からのオーナーには、参加を断念せざるをえなかった方も多くいたようだが、それでものべ3019人(初日:1381人、2日目:1638人)のポルシェオーナーとファンが集い、618台(初日:278台、2日目:340台)のポルシェ車が会場を埋めつくしたというから、ポルシェ人気の高さがうかがい知れる。

新型カイエンは「カイエン」、「カイエンS」、「カイエンE-ハイブリッド」のラインアップ。カイエンSは、ポルシェが開発した4リッターV8ターボエンジンを新採用。

ステージイベントのハイライトの1つが、「911ダカール」と「カイエン」の新型2モデルのジャパンプレミアだった。通常、新型車のプレゼンテーションといえば、CEOや商品企画担当者が登壇し車両説明を行うのが相場だが、今回は全編ムービーで解説するというユニークな演出だった。どこか見覚えのあるブガッティの映像があらわれると、松任谷正隆氏によるオープニングテーマ曲「 THE THEME OF WINNER」が聞こえてきた。ナレーションを担当するのは、声優・古谷徹氏。まさにあの『カーグラフィックTV』そのものだ。歴代ポルシェ911や911ダカールのルーツでもあるポルシェ953、そして911の4WDに関するヒストリー、そして3世代にわたるカイエンのモデル変遷など、トータルで20分を超える充実した内容で、とてもわかりやすくまとめられていた。

実際の番組のナレーション原稿を執筆し、このイベントの原稿も手掛けたというCG編集部の中村副編集長に尋ねると、こうして特定のメーカーとのタイアップで作品をつくるのは初の試みだったという。この映像の出来を見れば真似をしたくなるメーカーもきっとあらわれるに違いない。

4日(日)のジャパンプレミアには、サプライズゲストとして、元 F1ドライバーであり、1982年にグループCのポルシェ956を操り、ル・マンで6度目の優勝を果たした伝説のドライバー、ジャッキー・イクス氏が登場。イクス氏は、1981年からはラリーへの参戦も行っており、1983年にはメルセデスをドライブし、パリ-ダカールラリーで勝利する。いまなお、ル・マン24時間レースとパリダカの両方を制した唯一のドライバーだ。

ポルシェ953のオマージュである911ダカールを日本初披露。世界限定2500台ですでに完売という噂も。この車両はオプションのラリーデザインパッケージを装着し、ホワイト/ジェンシャンブルーメタリックのツートンカラー仕上げとなっている。

氏はポルシェ953の開発テストにも従事しており、1984年にはその953がパリダカで総合優勝を果たしている。ちなみにこの953の進化版が959であり、1985年よりパリダカに参戦。1986年にはレネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が 2位と959がワンツーフィニッシュを達成。この結果をうけて959は市販化されることになった。

911ダカールのボンネットにサインするジャッキー・イクス氏。この車両は今後、広報車として各メディアに貸し出される予定という。



イベント両日には、ポルシェオーナーやポルシェファンが交流することを目的としたミートアップスタイルのイベント「ポルシェガレージ」も併催。これまで東京、京都、富士スピードウェイを会場に3度実施しており、今回で4度目となる。全国各地から集結したオーナー自慢のポルシェをテーマ別に選考し、賞を授与するもので、今回は主催者であるポルシェジャパンが選ぶ「エキサイティング/パフォーマンス/ヘリテージ」の 3部門と、観客投票によって選ばれる「パッション/カラフル」の 2部門の計5部門を設定。2日間にわたり10台の受賞車が選ばれた。

およそ2kmにわたるコース上に並べられた「ポルシェガレージ」の参加車両。観客はゆったりとコースを歩きながら、好みの車両に投票する仕組みとなっていた。



一例をあげると、6月3日のヘリテージ部門に選ばれたのは、1960年式356 Bロードスターを所有するKさん。アメリカへ出張中に、偶然入ったダイナーでこのポルシェを新車から50年間所有し続けているという老夫婦と知り合う。名刺交換をして別れると、後日、病気のため体調がおもわしくないのでこの車を買ってくれないかというメールが届いた。新車からの整備履歴もすべて残されており、年式を見ると自分と同じ歳であることに運命的なものを感じて購入することを決めたという。いずれは次男に引き継ぐつもりと話す。

また、パフォーマンス部門に選ばれたのは、日本に数十台しかないという希少な911 GT3 RS(タイプ997)のオーナーOさん。台風2号の影響で、新東名高速などが通行止めになった6月2日に神戸を出発し、不慣れな道でスポイラーをブツけてしまうなどさまざまなアクシデントに見舞われながら、およそ16時間をかけて会場にたどり着いたという。会場からは大きなねぎらいの拍手が巻き起こった。実にポルシェらしいエピソードのつまったアワードだった。

3日のポルシェガレージでエキサイティング、パフォーマンス、ヘリテージの3部門に選出された車両。手前に見えるのはエキサイティング賞の1976年式カレラ。ハイコンプ仕様で、大雨の中をセミスリックタイヤで会場に駆けつけたとか。

4日のエキサイティング賞に選出されたのは、1998年式のボクスター。93年のボクスターコンセプトカーを忠実に再現した仕様で、ルーフには純正テクイップメントのトランスポーティングシステムを装備。

オープニングイベントに登壇した、ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフCEOは、「わたしが社長に就任して1年近くですが、日本のポルシェファンの皆さま方がいかに熱いハートをおもちであるか、そしてオーナーの皆さまが強い愛情をおもちであるかを実感しております。日本においてポルシェのブランドは非常に長い歴史があります。ポルシェジャパンはさらにこの歴史と伝統を育んでいく活動を今後も継続してまいります」と述べた。

開会宣言を行うポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフCEO。

ちなみに今年は911生誕 60周年、さらにヴォルフガング・ポルシェ会長の80歳の記念イヤーでもある。ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京という素晴らしい舞台をフル活用して、スポーツカー生誕80周年を待たずとも、次なるイベントに期待したい。

ピカチュウなど日本を題材にした作品で知られるアーティストのダニエル・アーシャム氏が、新作「RWBA」をワールドプレミア。ポルシェ911(タイプ964)をベースとした日本のポルシェチューナー、ラウヴェルト・ベグリフ(RWB)とのコラボレーション作。

ポルシェAGが監修するメディア「Type7」の編集長テッド・グシュー氏と日本の伝説のレーシングドライバー、生沢徹氏が登壇。


文:藤野太一 写真:ポルシェジャパン
Words:Taichi FUJINO Photography:Porsche Japan

文:藤野太一

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