進化する「時の守護神」|THE TIME KEEPER「CVSTOS」

CVSTOS

2005年にふたりの若者が立ち上げたクストス。挑戦を掲げるブランドはやはり次の20周年にむけて新たな素材と技術革新に余念がない。その最新モデルと動向について見てみよう。



挑戦することはどの世界においても前進するために必要な行為であり、挑戦なくして成功もあり得ないというのは当然といえば当然のことだろう。2005年、スイスの時計業界に若き実業家とデザイナーのふたりが挑戦の狼煙を上げた。

2005年といえば新しい世界秩序が頭をもたげてきた時期でもあった。各地でテロが頻発する一方で、世界の経済は西洋諸国を中心に大きく成長しながらスピードを増し、日本では東証が出来高でバブル期を上回った。なにより、インターネットというテクノロジーが台頭し、楽天や当時のライブドアといった振興企業が既存メディアの株を大量獲得するという、それまでは考えられなかったニュースが飛び込んできた時期でもある。それらはすべて次世代のテクノロジーを信じ、重厚長大な価値観に流されることなく、自信に満ちて堂々とした、若い世代の挑戦そのものだった。

“守護神”という名前を冠した時計ブランド、クストスが誕生するのはそんな2005年だ。その時計はまさに次世代の時計作りを予見するように、テクノロジーを信奉し、スポーティーで、エレガントだった。

クストスは「ハイテク・スポーティー・エレガンス」をブランドの根源的価値に掲げるが、2020年に15周年を迎えるにあたって発表されたのが「チャレンジクロノⅢS」だ。この挑戦と名付けられたモデルをクストスは、スーパースポーツカーを彷彿とさせる高度なパフォーマンスとラグジュアリーなテイストを極限まで追求して誕生したチャレンジングなクロノグラフのコレクションであり、創業以来のクストスの哲学を体現するモデルと位置付けている。

ボディはチタン合金の中でも30%も満たない最高水準のグレード5チタンを採用。インデックスにはアラビア数字とバーインデックスをリズミカルに配し、時分針はシャープなソード針、9時位置のスモールセコンドはシチリアのシンボルマーク(巴紋)がデザインされる。

ケースサイドには力強い厚みを持たせ、サイドガードとリュウズガードが備わる、新しいデザインのトノウケースを採用する。

ここに紹介しているのはその挑戦のシリーズ。モデルイメージはそれぞれの名称のとおりに「陸・海・空」と「都市」にある。それは挑戦する者にとってのフィールドに常に“守護神”として寄り添うクストスの姿勢とも捉えることができるだろう。それを証明するのが2018年より続く国内最大のモータースポーツ「AUTOBACS SUPER GT」のオフィシャルタイムキーパーを務めているという事実。モータースポーツにおける計時の重要性をいまさら解くまでもないが、テクノロジーとスポーツと、スポーツマンシップというエレガンスを見守る役割こそが、クストスのブランドそのものと言ってもいいだろう。ちなみに、GT500クラス、GT300クラスのシリーズチャンピオンドライバーには、その健闘とCHALLENGEを讃え、クストスのオリジナルチャンピオンウォッチの贈呈をしている。

ラバーストラップはプッシュボタン操作で開閉するクラスプを採用することで着脱の煩雑さから解放された。

そして忘れてはいけないのが、クストスは機械式腕時計のブランドであること。それは紛れもなく人間が考え出した文明を発展、継承していくことこそがエレガンスであるという信念によるものだろう。「チャレンジクロノⅢS」をはじめとしたチャレンジシリーズの外装に使われるグレード5チタンはチタン合金のなかでも30%に満たない現代の最高水準の金属だ。しかし、その駆動を担うのは歴代の時計師たちが編み出してきたゼンマイということ。サーキットを走るGTカーのエンジンと同じく、叡智の結晶だ。



挑戦を続けるクストスのメインコレクション


その名称から明らかなように、クストスのメインコレクションは挑戦のフィールドによってデザインモチーフから機能までがラインナップされる。グレード5チタンをはじめ先進的素材を採用し、軽量でタフな相棒だ。

CHALLENGE CHRONOⅢ-S
チャレンジクロノⅢ-S
疾走感をつきつめた究極の曲線美、メカニックにデザインされたスケルトンの機械部分、また、マルチコンポーネント構造を強調したデザインなど細部に至るまでこだわりを見ることができる。モデル名に加えられた Sは SPORTYを意味し、スタイルやディテールの機能性、個性、革新性をより一層強調している。自動巻き、グレード5チタンケース、ケース径縦53.7mm×横44.0mm、100m防水。280万5000円(税込)


CHALLENGE SEA LINER P-S AUTOMATIC SAPPHIRE
チャレンジシーライナーP-Sオートマティックサファイア
機械式時計にとっての敵であった磁力をムーブメント内部に採用するという新たな技術革新を追及。ムーブメント内部のブリッジには、実際の船艇でも使用される高級材 (チーク材)がストライプ状に接合されており、美しさと耐久性の両方を兼ね備えている。自動巻き、サファイアクリスタル、ケース径縦53.7mm×横41.0mm、50m防水。709万5000円(税込)


CHALLENGE JET LINERⅡ P-S AUTOMATIC
チャレンジジェットライナーⅡ P-Sオートマティック
モデル名の通り航空機を想起させるシリーズであり、本物の航空機体さながらの構造美や素材を探求し、軽量化を実現したモデル。シーライナーでも採用されているように、大型スモールセコンドの動きを抑制するため、微弱な永久磁石を使用するという新技術を搭載している。自動巻き、グレード5チタン、ケース径縦53.7mm×横41.0mm、100m防水。143万円(税込)


METROPOLITAN P-S SKELETON
メトロポリタン P-Sスケルトン
“洗練された都会”をテーマに制作されたメトロポリタンコレクションは、デザインにおいては伝統と革新を、機能においては正確さと信頼を、仕上げにおいては美しさと洗練を実現する新たなコレクション。ケースバックから見えるローターにはQRコードが刻印されており、製品情報を登録することがきでる。自動巻き、グレード5チタン、ケース径縦51mm×横42mm、50m防水。313万5000円(税込)


フランクミュラーウォッチランド東京
TEL:03-3549-1949
URL:http://cvstos.jp


文:前田陽一郎(オクタン日本版)Words:Yoichiro MAEDA(Octane Japan)

前田陽一郎

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