6月26日に米国カリフォルニア州サンタモニカで開催されるRM Sotheby’sのオークションに、きわめてユニークな車が出品される。チェコの自動車メーカー「タトラ」が手がけた、大型リアエンジン・サルーン「T603」である。
タトラの歴史は自動車よりも古く、前身は1850年に創業した馬車メーカーだった。自動車の製造を始めたのは1897年のことで、1930年代からは、大型の流線型高級車を数多く手掛けたことで知られる。
1936年から1950年にかけて生産されたT87は「アウトバーンでの高速走行に最適な優秀車」という評価から、ナチスドイツ軍の専用車として使われたことは有名な話だ。
そんなタトラが戦後に生み出したモデルが、1957年に誕生したT603である。
宇宙船を彷彿とさせる流線型のモノコックボディは、全長5,065mm、全幅1,910mmという、アメリカ車並のフルサイズ。Cd値(空気抵抗係数)は0.36と、当時としては屈指のエアロダイナミクスを誇った。ホイールベースは2,748mmと、全長が5m以上あることを考えると短い。リアエンジン車の特徴でもあるオーバーステアを抑制する目的で、バランス調整のためフロントのオーバーハングが伸ばされたといわれている。
パワートレインは排気量2,545ccの空冷V型8気筒エンジンで、タトラの伝統に従ってリアに搭載された。サーモスタットと連動した空冷用のエアフラップなど、機構的にもユニークなものを備えていた。
乗車定員は前3人、後3人の合計6名。広いグラスエリアがもたらす開放的な視界が魅力だった。
リア中央に設けられた背びれのようなテールフィンがタトラ車の伝統だったが、T603には装着されていない。流体力学の研究が進み、効果がないことがわかり、不採用となったのだ。リアのガラス中央に設けられたピラーが、テールフィンの名残である。
今回オークションに出品される車両は1960年式。だが、T603のヘッドライトが写真のような4灯式になったのは1964年のことで、それ以前は3灯式だった筈である。この車の詳細はまだ公表されていないが、どのようなヒストリーを歩んできた1台なのか、気になるところだ。
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