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Octane Special Collection  SCOTTY CAMERON putter's story (vol.4)

これまでメディアで紹介されることのなかったスコッティ・キャメロンの「フィッティング」を、今回初めて取材した

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ゴルフの「フィッティング」といえば、ユーザーにあう自社ブランドクラブのなかでも最高のパフォーマンスが引き出せるものを見つけること、さらにはそのマッチしたクラブの購入を推奨するのが一般的で、フィッティング費用は30分から1時間で数千円程度のものが多い。

ところが、スコッティ・キャメロンが理想と考えるパッティングに則った「フィッティング」は、1時間3万円ながらもユーザーに口コミで広がり、さらにはリピーターも非常に多いという。また数多くのツアープレーヤーが何度もフィッティングスタジオに訪れている。今回は、他とは違うその人気の秘密を丁寧にひもといていきたい。

0016.JPG川端プロは、クロスハンドグリップでピン型のパターを使う

驚くべきデータ収集と解析能力を備えたパッティングスタジオ、そしてアナリスト

2017年の賞金王に輝いた宮里優作選手をはじめとし、松山英樹選手、小平智選手、菊地絵理香選手など名だたるプレーヤーのアドバイスも行っているという、エグゼクティブ パッティング アナリストでScotty Cameron Golf Gallery Tokyoの責任者でもある福田竜太氏。今回、彼の指導によりフィッティングを受けるのは、最近芯になかなかあたらないことが悩みだというティーチングプロA級の川端恭子プロだ。

0007.JPG緊張をほぐすかのようにヒアリングを行う福田氏。

全方位から実に8台ものハイスピードカメラでストロークを撮影し、ヘッド軌道、フェースの向き、ボールの回転、手の動きやシャフトの傾き、体の重心移動、頭の動きと次々にデータを解析していく。実は、福田氏は実際のストロークを見た段階で川端プロのパッティングの問題におおよそのあたりをつけ、そしてデータを見た段階で完全に把握できていた。

0004.JPGあらゆるデータを即座に分析する。

0006.JPG正しいボールの動きをわかりやすく説明してくれる。

まずは横からの軌道とボールの動きを確認。ボールをグリーン上においた時、ボールはわずかに沈んでいるということをご存知の方もいるだろう。その凹みを乗り越え、無回転でスライド、そして順回転で転がっていくのが正しい動きなのだが、数多くの世界トップランクのプロを見てきたスコッティ・キャメロンがこれを実現するため導き出した理論は「ロフト3.5°~4°かつライ角71°のパターでシャフトが地面と90°の角度でインパクトする」というものだ。

彼女の場合、インパクトではロフトが多い為ボールが飛び出し、バックスピンがかかっていた。つまり、インパクト前からわずかに軌道が上へ向かっているのだ。これではボールを狙ったところに打ち出せず転がりも安定しないし、距離感もあわない。

0010.JPGフォローでの左肩の高さが、アドレス時の位置よりも高いところにあり、上下動が大きいことがわかる。

さらに、カップ側からのデータをもとにテークバックとフォローの動きを、PGAツアーのリッキー・ファウラーのストローク映像と比較しながら福田氏の説明は続く。リッキーと比較すると、やはりインパクトからフォローにかけて軌道が上へ向かっていることが明らかだった。

自分でも気づかなかった驚きの事実

次に真上からのストロークをチェックする。若干押し出し気味のストロークになっているのだが、福田氏が指摘する原因は彼女自身も気づいていない意外なもので、それは頭の動きだった。テークバックのときに一瞬アウトサイドへパターが動いてからインサイドへ向かう軌道となっている。

これは、頭が始動時に前に動いている、つまり上半身がやや前のめりになっていて、言い換えるなら上半身が動いているということになる。この癖は、ハイスピードカメラでしっかりと捉えられていた。そして、そのまま重心が右へスライドされ、右に重心を残したまま切返すので、フェースを閉じる前に縦の軌道がややアッパー傾向になり、結果的にフェースを開いたままインパクトを迎えるため、ボールが右へ打ち出されるのだ。当然、芯でヒットできていない。

0008.JPG0009.JPGアドレス時と比較して、インパクトでは頭が右側に残っているのがわかる。

続けて、真正面から全身が写っている映像から福田氏の見解が伝えられる。川端プロはクロスハンドで左手が下に来るため、左肩が右肩よりも低い位置でアドレスしているのだが、そのせいでストローク中に強い肩の上下動をおこし、さらには横の動きが正しく使えていない状態になっていた。

ここで福田氏は、タイガー・ウッズ自身がお手本にするという1980年のタイガー・ウッズの映像を使って、正しいアドレスと動きを説明する。平行な両肩とどっしりと安定感のある下半身、そして低いヘッドの動きとインパクト音を聞くまで顔をあげないなど、無駄のないコンパクトな再現性の高いその美しいストロークは、パッティングのひとつの完成形と言っても過言ではない。

分析をもとに改善へ

0011.JPGちょっとした癖でも、パッティングには大きく影響する。

現状の問題点がわかったところで、実際のパッティングを修正していく。まずはアドレスだが、クローズに構えているためスクエアに戻す。さらに、重心が高いことでひざや太ももがクローズに入る癖があったが、福田氏は7アイアンのアドレスでパターを構えることを提案、これでしっかりとしたアドレスが出来上がった。

ビフォーアフターで比べてみると、修正前はボールを覗き込む構え方であったが、修正後は背筋が伸びて、肩もほぼ平行になった安定したアドレスである。

0023.JPG頭が動かないように意識させてストローク。

これだけでも大きく変わったのだが、やはり頭の動きが時折顔をのぞかせるため、福田氏から頭を固定したストロークの提案がなされた。これにより、テークバック時の右への動きを抑えるだけではなく、インパクト時の球筋を見るための視線を切るという二つの効果を生み出し、ボールの転がりがよくなってラインに乗る確率が高くなるという。

0038.JPG体の開きと肩の上下動を抑えることを意識させる。

そして、彼女のパッティングが改善されてきたことを見極めた福田氏から、最後の提案として、テークバックとフォローの大きさの変更を打診される。

実際のストローク、またデータからもわかる通り、テークバックはかなり小さい。これは助走が短いため、フォローが大きくなるというメリットはあるものの、テークバックからフォロースルーへ振る力を必要とするせいで、パンチがはいりやすいというデメリットと紙一重でもあるのだ。

0025.JPGテークバックの振り幅を2倍程度に広げる。

通常のショット以上に繊細な感覚を必要とされるパッティングでのこの修正は、プロだからこそ大きな違和感があるものだが、テークバックをこれまでより大きくした川端プロのストロークは、ボールの転がるスピードこそ遅くなったものの、非常にきれいな順回転がかかったことでラインにしっかりと乗り、結果的には芯をとらえる確率が高くなったようだ。

フィッティングを超えるフィッティング

このフィッティングで、芯に当たらないという悩みも、体の使い方を修正することで解消されつつある。今回は、パッティングが修正の段階で大きく改善されたため、福田氏はより理想形を目指して提案を重ねていくことができたが、アマチュアは一つのポイントを修正するだけでも大きく改善されるという。

福田氏は映像やデータから得られる情報を瞬時に分析して、癖や欠点を明確化し、最も効果のある修正ポイントをもとに改善案を提案する。単純にクラブを合わせるのではなく、スコッティ・キャメロンが打ち出す理論から導かれる正しい体の使い方を、フィッティングを受けるユーザーに伝えているのだ。

0018.JPG【アドレス正面】向かって左:フィッティング前 右:フィッティング後

0020.JPG横からみるとアドレスが大きく変わったことがわかる。向かって左:フィッティング前 右:フィッティング後

「他社のパターを使っていたとしても、どなたでもスコッティキャメロンのフィッティングが受けられます。極端なことを言うと、このパッティングスタジオに来られた方が、愛用のパターでパッティングが楽しいと感じていただけたなら、私はもちろん、スコッティもとても喜ぶと思います」と、福田氏は語った。

もちろん、スコッティキャメロンシリーズのフィッティングが中心だが、正しいパッティングを知ってもらうことが重要なので、パターは自分が使いやすい他社のものを使ってもいいのだという。

正しいパッティング理論を習得した上でプレーするゴルフは、これまで以上に楽しく充実したものになるに違いない。

Scotty Cameron Golf Gallery Tokyo
東京都港区南青山5-3-2 The Jewels of Aoyama 3F
TEL:03-5766-6060


文:オクタン日本版編集部
モデル:川端恭子
写真:篠原晃一