人々の生活を支えてきたトーネット社の#14。今でもその伝統は214として受け継がれている。
"ホンモノを守る"ために"変えた形"
ト―ネットの代表的な作品「#14」。1859年に開発されたこの椅子は、40年間に5千万脚を販売したと伝えられている。根拠はないものの、今日までの累計は2億脚にも及ぶという。そして現在でも、「214」として製作・販売が続いている。
この椅子が、現代モデルに変更されたのには理由がある。曲木家具の製作が始まり、トーネットはヨーロッパの各地に工場を構えて生産体制を強化した。急激に増大する需要に備えるためだ。しかし、当時は生産過程において『生産管理』という概念が存在していなかった。そのため、同じ#14であっても工場によって若干のフォルムの違いが生じていたのである。
その後、戦争により生産は一時中断。戦後、西ドイツのフランケンベルグにて再開をしたが、彼らの他のほとんどの工場は、共産圏に属することになってしまった。そして各地の工場は、それぞれフォルムの違う#14を生産し続けた。この枝分かれした歴史に終止符を打つために、1960年トーネット社はデザインを一新し、他の工場には真似できない最も美しいフォルムへと仕上げたのだ。そして、それを機に「214」という新たな名を与えたのである。
もちろん整え直したものの、形に大幅な変更はない。椅子の形状そのものが機能であるため、6個のパーツによる作りは当初のまま変わらない。もともと完成されたデザインであり、重要な部分はしっかりと受け継がれている。
デザインが変わってからも、永きに渡って愛されている事を証明するトピックがある。2016年『GOODD ESIGN AWARD』のロングライフデザイン部門を214が受賞したのである。#14の時代から現在までの歴史が認められ、このような評価を受けたのだ。本物の血筋を受け継ぐ214が、より多くの人に愛されていく事を願いたいものである。
現代ではベーシックなカラーに加え、受注生産で複数のカラー展開を行っているという。ライフスタイルに合った好みの色を選択できるようになったのは、ユーザーにとっては嬉しいことである。古き良き伝統を受け継ぐこの魅力的な椅子を、これから先も大切に守ってほしい。
THONET 214 K
214をベースとした観賞用の椅子も販売されている。リボンのように巻かれた椅子の脚が、技術力の高さを象徴している。
W430 D520 H840 SH460 ¥203,000円(税抜)
【株式会社アイデック 東京ショールーム】
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