18台限定のベントレーバトゥールは、「ドレスを着せただけの、コンチネンタルGT」なのか?

Octane UK

「ドレスを着せただけの、ただのコンチネンタルGTじゃないのかい?」と、不機嫌そうに友人が言った。道路に駆り出せばすぐに、こういった人たちを黙らせることができるのだが。バトゥールは、一部の内部構造こそベントレーの永続的なモデルであるGTが使用されてはいる。しかし、それを使って成された技はまるで魔法のようだ。なにしろ価格が165万ポンド(+税金)なのだから、そこまで期待しても罰は当たらないだろう。

バトゥールの製作を任されたのはコーチビルダーのマリナーで、ハンドビルドでのその製造台数はたった18台のみであった。この車はエクスクルーシブであるだけでなく、W12エンジンの最後の砦であると同時に、ガソリンではなく電気が推進力を提供する未来へのヒントを与えてくれる。結果として、現在ベントレーが販売しているどのクーペとも似ても似つかぬ外観で、どこへ行っても華やかさを放つクーペが誕生した。ちなみに、すでに完売している。

ターボチャージャー付きで大排気量の6.0リッターW12エンジンは、730bhpと737lb ftを発生させる。また、0-62mph加速は3.3秒、最高速度は200mph以上だ。コンチネンタルGTと同様に、動力は8速のデュアルクラッチギアボックスを介し、4輪全てに供給される。そのパワーデリバリーは、バトゥールの数あるドライブモードのどれを選んでも、とにかく爆発的だ。穏やかにスロットルを踏み込めば、制限速度まで思ったよりも少し速く到達する。余裕のある場所と制限速度超過の許可さえあれば、このベントレーはいとも簡単にスピードリミットを超えてくる。

ビスポークのボディワークが、最終かつ最強バージョンのW12エンジンを覆う。

コーナーでは、とても素晴らしいGTらしいフィーリングで、そのパワーを使いこなそうとすれば、驚かされるだろう。ひとたびそのグルーヴをつかめば、カーブからカーブへときっちり曲がり、楽しげにペースを上げていく。グリップはもちろん、乗り心地も素晴らしい。バトゥールには、アグレッシブさを約束するスポーツモードがあるにもかかわらず、ベントレーらしさは変わらない。ただ、車体のサイズには気をつけてほしい。レミントン・スパの道よりも、LAのストリートの方が合っているだろう。

そのパフォーマンスは、バトゥールの魅力の一部に過ぎない。カスタマイズの幅の広さにも驚かされるが、その仕上げと造りの良さには何日も見とれてしまうほどだ。空調のスイッチ類はゴールドで(オプションでチタンも選択可)、同じくゴールドのドライブセレクトのホイールも輝きを増している。縫製や仕上げにいたっては、夢のような出来具合だ。当然ながら、外装は美しく施されている。しかし、その下にある複合のボディパネルの美麗な織り目が見えないほどには、厚くはない。特注のカーボン製ボディワークであるため、それを丸ごと隠してしまっては、逆に粋ではないだろう。

内装は非常にラグジュアリーで想像力豊かな素材が使われる。

しかも、サステイナビリティにも配慮されている。レザーは持続可能な資源から調達されたもので、外装パネルの一部はカーボンファイバーではなく、亜麻をベースにした素材が使用されている。ベントレーによると、この素材は強靭で、地球にも優しいのだという。

バトゥールは、特別な存在だ。ベントレーの未来を示す素晴らしいショーケースであるだけでなく、W型12気筒エンジンのトルクフルな時代の終焉でもある。ドレスを着せただけのコンチネンタルGTでは、決してない。


文:Alex Goy

Alex Goy

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