『Octane』UKスタッフのマレットが、自身が30年以上所有する1946年式タトラの自力での修理に挑む。しかしトラブルは留まるところを知らず予想以上に悪戦苦闘し…
以前の記事では、タトラの電子制御式ディストリビューターを従来のポイント式に戻したことをお伝えしたが、古い車というのは私の経験上、ひとつの問題を解決すると、必ず他の隠れた問題が露呈する。
このタトラもディストリビューターの交換によって再び動き出したかと思うと、今度は前輪のブレーキやハブ周辺から「カラン」という音が聞こえるようになった。そしてさらにまた新たな問題が発生。車が始動しないのだ。これには困った。少し前まで新しく取り付けたディストリビューターで完璧に動いていたのに…
キャブレターのスロートに燃料を少し注入し、スターターを押してみると、エンジンが一瞬だけ動いたが、すぐに停止してしまった。これは、必要な場所に火花は飛んでいるものの、十分な燃料が供給されていないということだ。インライン燃料フィルターの中身が、まるで長く溜まった池の水のような色になっているのに気づき、まずはそれを交換してみることに。
交換は終わったが、現代の燃料はこの手の古い車に悪影響を及ぼすという話をよく耳にしていたので、キャブレターの中も確認してみることにした。するとフロートを固定するスピンドルにドライバーを当てるためには、キャブをマニホールドから取り外さなければならないことが判明。やっとのことでキャブを取り外し、フロートを外すと、そこには驚愕の光景が広がっていた。
フロートチャンバーの底には粘り気のある緑色のスライムのような物体が付着しており、現代の燃料の影響について言われていることがすべて真実であることがわかった。それほどまでにひどい状態で、まるで原始的な生命体がそのスライムの中を蠢いているのではないかと、もはや少し期待してしまったほどだ。真鍮製のフロートの底面も、水位線まで鮮やかな緑色に変色していた。
フロートチャンバーを清掃し、エアラインで汚れを吹き飛ばした後、キャブを元に戻した。そのまま同じ燃料を使いたくなかったので、エンジンベイに設置された電動燃料ポンプ(ちなみに燃料タンクは車の前部にある)からペットボトルにガソリンを満たし、そこから一時的に供給することにした。
友人が後ろで様子を見守る中、私はイグニッションをオンにし、スターターを押した。するとV8エンジンからいつも聞いている低い音が聞こえた直後、「止めて!止めて!燃料漏れだ!」という焦った叫び声が聞こえた。再度試みるために、今度は友人がスターターボタンを操作し、私が様子を見守る。すると、キャブレターから大量のガソリンが噴き出しているのが見えた。これはニードルバルブの問題だろうと結論づけた。
キャブのトップを再び取り外し、ニードルバルブを取り外してみると、見た目には問題なさそうだったが、念のため新しいものを注文することに。
数日後、ソレックス用の新しいバルブが届いた。バルブを取り付け、満足のいく結果を期待してポンプをオンにしたが、またもやキャブの口から燃料が噴き出してしまった。
この車は、私が所有してから30年間、一度もこんな風に燃料を噴き出したことがなかったため、非常に困惑している。次のステップでは、燃料圧力レギュレーターを取り付けることになりそうだ。フロントブレーキからの異音もまだ解決しておらず、正直、プロフェッショナルの手を借りる必要が迫っているのを感じている。
文:Delwyn Mallett
オクタン日本版編集部
2024.10.08
本物とは何か|N°001 MINAMI AOYAMA DESI ...
アストンマーティンがデザインした邸宅、「N°001 MINAMI AOYAMA DESIGNED BY ASTONMARTIN(以下、N°001南青山)」は何もかもが異例尽くめ。アスト ...
2024.10.07
新たな伝説がここに。マクラーレン最新作「W1」がアンベール
マクラーレンから新たな伝説が誕生した。その名はW1。過去にF1、そしてP1といずれもスーパーカー界に大きな足跡を残した名車を生んできたマクラーレンの最新作である。Wは世界=ワールドのイニシャルだ。1は ...
2024.10.03
「ステアせずシェイクで」|自力でDB5のボンドカーを完全再現した男の物 ...
アストンマーティンDB5を見かけると、頭にジェームズ・ボンドのギターリフが浮かぶ人は少なくないだろう。映画に登場する車の中でも、007専用に造られたアストンマーティンが最も有名なのは間違いない。だが、 ...
2024.09.23
International Bugatti Meeting 2024 ...
2024年5月19日から25日にかけて、イタリア南部にあるシチリアにてインターナショナル・ブガッティ・ミーティングが開催された。欧米を中心に世界各国から66台もの希少なブガッティが参加し、精悍かつ華や ...
2024.10.02
優しい目をした従順な跳ね馬?フェラーリ・ドーディチ・チリンドリの走りや ...
マラネッロの新型フラッグシップ、ドーディチ・チリンドリ。イタリア語の名前を訳せば“12気筒”。なんとも直球ど真ん中なネーミングに驚かされたものだけれど、よくよく思いおこすとマラ ...
2024.10.04
ヨーロッパ遺産の日に、軍事博物館とブシュロンを訪れる|文化や歴史に触れ ...
ヨーロッパ遺産の日とは、各地で普段は訪れることができない場所が公開されたり、美術館などが無料で開放される特別な日だ。 アンヴァリッド併設の軍事博物館、中庭での展示 前回お伝えしたケリングに続いて、次に ...
2024.09.24
VWタイプ2の荷台にミウラのフロントが!? 秘蔵のジャンクヤードの全貌 ...
1950年代後半に北米に渡ってきたドイツ人移民、ルディ・クラインは当初、精肉店を営んでいたがヨーロッパの名車の解体・パーツ売買が儲かると気づき、1967年に「ポルシェ・フォーリン・オート・レッキング」 ...