親日家として知られるアストンマーティン・ラゴンダ社CEO、アンディ・パーマー氏。お盆期間中にプライベートで来日した際に、メディアのグループインタビューに応じてくれた。
冒頭に「(投資家などに)真実が上手く伝わっていないのではないでしょうか、成長率は今までになく好調です。アストンマーティンは前年比(小売りで)26%拡大、北米市場ではほぼ倍になっており、日本でも約40%の成長を遂げています。2018年の上場から、2019年は過渡期であり、2020年にDBXが出てくるまでは、と考えています。コンサルテーションの不調や、英国や欧州の市場で苦労している状況はあったものの、焦点が株価下落などにばかり行ってしまっているのではないでしょうか」と現状を解説。
アメリカ市場の好調については「主な理由はヴァンテージです。年頭にリースプランを開始し購入しやすくなったことも大きな要因です。同じリースプランを日本でも立ち上げる予定ですが、このプランでは(ポルシェなどと比べて)頭金は多少高くなりますが、毎月の支払いは約半額になります。」という。アメリカ市場と同様の反応を日本市場でも示してくれれば、ヴァンテージの売り上げも相当伸びるに違いない、と見ているそうだ。
また、英国や欧州での落ち込みについては正確に情況を把握しているそうで、「今後もセカンドセンチュリープランに変更はありません。重要なのは成長することで、我々は成長しています。車が売れなくなった訳ではなく、継続性のある成長を保証するためには(セカンドセンチュリープランは)必要だと考えています。今後、カギとなるのはもちろんDBXで、今年末に立ち上げを予定しています」
「我々としてはセカンドセンチュリープランにコミットしているので、今後も成長を続けていきます。時間が経てば、(株式市場や投資家と)どちらが正しかったか証明されるはずです」と続けた。
年末に登場予定となるブランド初のSUV、DBXについて、現在はエンジニアリングの検証を行う段階。アストンマーティンでは年間約6500台販売しており、それにDBXをプラス4000台販売する予定だそう。「造りすぎるのは良くないので、新工場の生産も5000台に制限、ネットでは4000台位の生産になるかと思います」。車については「世界で一番美しくて熱狂的な車を造るというのがアストンマーティンのDNA、最終的には皆さんに判断して頂かないといけないが、実際にDBXを見て、運転して、音を聞いて頂ければ、すべてが伝わると思います」と自信をのぞかせる。
また、メルセデスとの技術共有についは「エンジニアリングの哲学としては流用できるものは最大限活用すべき。リスクを最小限に品質を最大限に上げていくため、他モデルやメルセデスからもってくることも。どうゆう風になるかは12月までお待ちください」と語った。
ラゴンダEVは「立ち上げ予定は2022~2023年。もちろん、100%のEVで、プラットフォームはDBXからほぼ流用、EVコンポーネントを載せるため改良します。ターゲットは主に医師や中小企業の社長、現在テスラに乗っていて、非常にプログレッシブな思考の方」という。「アストンマーティンはハイブリッドも導入していきます。1台目のハイブリッドがヴァルキリー、これによりハイブリッドが燃費だけでなく、パフォーマンスも発揮できるということを証明。また、今後、立ち上げていく各モデルにはハイブリッドをバリエーションに加えていく予定です。基本的には、アストンマーティンはハイブリッド、ラゴンダはEVと分けて考えています」とも。
最後にブランドについては、「あまりモデル数を増やさないこと。モデル数が増えて新工場も立ち上がるが、生産台数は1万4000台(ベントレーやフェラーリと同じ生産レベル)に限定していきます。これによって車の希少性を保証することができるのです」「SUVが我々のブランドに相応しいのか、いくら議論しても結論に至らないかもしれません。しかし、現実的にはベントレーもランボルギーニもロールス・ロイスもSUVを造っていますし、近い将来にはフェラーリも出します」
「重要なのはアストンマーティンのDNAに相応しい機種であるということ。歴史を見るとアストンマーティンには2つの特徴があります。1つめは美しいプロポーションであること。2つめは創立以来(アストンマーティンとラゴンダ双方に共通して)最先端のものを造っていたということ。したがって、アストンマーティンが伝統的な車を造らなければいけないというのは間違っていると思います。創立以来、最先端を造っていますから。例えば、ヴァンテージがこのようなスタイリングであるということは、小さな会社だが柔軟性をもって最先端のものを造る、というルーツに立ち返っているのです。我々が引き続き美しい車を造って、ノウハウが最先端であるということを保証すれば、引き続き市場も受け入れてくれると思います」と締めくくった。
オクタン日本版編集部
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